2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選の第3戦が6日に行われ、日本代表はホーム・埼玉スタジアム2002でイラク代表と対戦し、2-1で勝利した。この試合のハーフタイムに、PlayStation®4のサッカーゲーム『ウイニングイレブン2017』を使って“考えるサッカー”を身につける「ウイトレ」のCMが放送された。
リアルサッカーとテレビゲーム。一見すると、相性がよくないと思われがちなこの二つを組み合わせ、子どもたちのサッカーの能力を引き上げる。「常識にとらわれない」。そんな現代的なアイデアが詰まった今回のCMは、テレビゲームとスポーツの関係において新しい発見をくれたのではないだろうか。『ウイニングイレブン 2017』を使ったトレーニングに参加した少年たちが、サッカー解説者の中西哲生氏から様々なアドバイスを受け、ゲームを通じてピッチを俯瞰で見る感覚を身につける。もしかしたら、数年後の日本代表チームにはこうした最新の技術を駆使したトレーニングを積んだ選手たちが主軸になっていくのかもしれない。そんな可能性を感じさせてくれる映像だった。
ところで、日本代表の試合ではこれまでもさまざまな企業が選手や監督を起用し、クスッと笑ってしまうものから、視聴者に改めて色々と考えさせるようなものまで、たくさんの印象的なCMが放送されてきた。その中でも今回は、編集部が独断と偏見で選出した「人々の心を動かした」CMを紹介したい。
1本目は、まだ記憶に新しい「輪になれ、audi篇」。2014年のブラジル・ワールドカップに挑む日本代表を応援する『adidas円陣プロジェクト』の一環で放送された。同プロジェクトでは日本代表を支援する企業がそれぞれの製品やサービスを生かしたCMを公開したが、中でもアウディ ジャパン社のものは斬新だった。「サムライブルー」をイメージした11台の限定車が当時の監督・アルベルト・ザッケローニ氏の周囲に円を作り、同氏の指揮の下、エンジン音でアイーダの「凱旋行進曲」を演奏するといったものだ。それぞれ違った特徴を持つ11台のモデルが一つの音楽を奏でるというテーマがあり、思わず感嘆してしまうような迫力ある映像だった。
こちらのCMは覚えているだろうか? 2015年に公開されたマイクロソフト社『Surface Pro 3』の「Spark Movie篇」。こちらはMF松井大輔(ジュビロ磐田)やRIP SLYME(ヒップホップグループ)のSUさんが出演して話題となった。学生時代に個人技を武器にサッカーで活躍してきた男性社員が、仕事でも独りよがりなワンマンプレーをしてしまい、取引先へのプレゼンテーションに失敗。しかし、気持ちを新たに先輩や後輩の力を借りて再挑戦するというストーリーだ。3分に及ぶ長編映像でサッカーとビジネスにおけるチームプレーの重要性が的確に表現され、「あの時、周りの人にうまく頼れていれば……」と共感を誘う内容になっている。
同じく2015年に公開されたキリン社のCMで、MF遠藤保仁(ガンバ大阪)が起用された「PASSER篇」も紹介したい。60秒の流れる映像を見て、彼が再び代表ユニフォームに袖を通す姿を想像した人も多いことだろう。このCMには、「誰よりもパスを送り続けてきたその選手へ、今度は人々からパスが送られる。誰かに力をもらった人は、必ず誰かに力を送る」という力強いメッセージが込められている。長年、日本代表を支えてきたキリン社とサッカーの関係、そしてサポーターとサッカー選手の関係を表現した印象に残る作品といえる。
今年から放送されているキリン社の企業CM「『兄の応援』篇90秒 ~兄とかわいい弟(ゾウ)の物語~」は、タイトル通り、主人公の兄弟のうち弟がゾウという驚きの設定だが、見事“感動系”CMに仕上がっている。兄弟の成長や絆、夢に向かって頑張る姿を描いたハートウォーミングなストーリーは、まさに心を動かす。その一方で、SNSでは一部の視聴者から「(キリン社のCMなのに)キリンじゃなくてゾウなのかよ(笑)」といったツッコミを受けるなど、お茶の間の笑いを誘うことにも成功したようだ。
今回は以上の5本を紹介したが、それぞれに心を動かされるCMがあるだろう。みなさんも、この機会にこれまでの日本代表CMを振り返ってみてはいかがだろうか。最新作の「ウイトレ PS4×ウイニングイレブン」もあなたのお気に入りに仲間入りするかもしれない。
By サッカーキング編集部
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