インタビューに応じた大迫 [写真]=野口岳彦
ケルン加入3年目の2016-17シーズンは、渡独後の大迫勇也にとって文字通りベストシーズンになった。6月のロシアワールドカップ・アジア最終予選のイラク戦で1ゴールを決めるなど、日本代表でも充実一途。まさに波に乗っているストライカーに、来シーズンや8月に控える大一番への意気込みを聞く。
インタビュー=遠藤孝輔
写真=野口岳彦、Getty Images
■とにかく意識したいのはゴール
―――大迫選手にとって、2016-17シーズンは非常に充実した1年になりました。具体的にどのようなプレーに手応えを得られましたか?
大迫勇也(以下、大迫) 1対1で勝てるようになったことですね。ゴール前もそうですし、それ以外のプレー中も。しっかりと相手に負けなくなったところが良かったです。前でしっかりボールを持てて、余裕が出てきました。そこが大きいですね。
―――二ケタ得点への強い思いをお持ちですが、昨シーズンは7ゴールでした。ゴール数以外で、あえて悔いが残る部分はありますか?
大迫 いえ、とにかく意識したいのはゴールですね。それを積み重ねたいです。ゴールに対する意識を、もっと、もっと持ちたいですね。アシストも大事ですけど、やっぱりゴールなので。そこは本当に考えていきたいです。
―――例えば、昨シーズンは意識的に守備の負担を減らすようにしたそうですね。
大迫 (守備意識は)減らしたい気持ちもありますけど、チーム事情もあるので。守備の負担を気にするより、ゴール前に入る回数を増やしたいですね。
―――味方からのチャンスメークが増えた最大の理由は何でしょうか?
大迫 まずはボールを失わないことが一番。その結果、みんな預けてくれるようになりました。
―――ピッチ外のコミュニケーションが深まったのも一因ですか? 例えば、ケルンU-21のGKコーチである田口哲雄さんは、長澤和輝選手(現浦和レッズ)が退団後、自然とドイツ人選手と話す機会が増えたと話していました。
大迫 (性格の)良い選手が揃っているので、話しかけてくれたことも大きいです。ただ、ピッチ外のコミュニケーションもあったかもしれませんけど、やはりプレー面ですね。サッカーをする中で、認めてもらえたことが大きいです。
―――シーズン終了後、ペーター・シュテーガー監督から労いの言葉はありましたか?
大迫 『お疲れさま。来シーズンが大事だから、しっかり休んでくれ』と。オフに監督と連絡を取り合うことはありませんね。
―――改めて、シュテーガー監督が目指すサッカーはどういったものでしょう?
大迫 現実的なサッカーをすると思います。あまりリスクを冒さないサッカーだと思いますね。(――チームとしての改善点は?)昨シーズンは攻撃に重心を傾けたら、守備で脆さを見せました。もっと攻撃的なサッカーがしたいですね。
―――ケルンの平均ボール支配率は、18チーム中16番目の低さというデータがあります。
大迫 ボール支配率が高ければ攻撃的というわけでも、良いサッカーというわけでもありません。流れもあるし、時間帯にもよるので、臨機応変に。攻められる時にしっかりと攻めきるだけの力があるチームが理想です。
―――来シーズンはヨーロッパリーグ出場も控えています。ミランやアーセナルなどと対戦する可能性もありますが、対戦したいクラブはありますか?
大迫 もちろん、そういったクラブとの対戦が決まれば楽しみです。ただ、まずはブンデスリーガが大事。そこで安定した戦いができてから、ヨーロッパリーグを考えたいですね。
―――スペインやイングランドへの移籍願望はありますか? あるいはブンデスリーガで面白い、興味深いと感じるサッカーをしているクラブがあったりしますか?
大迫 まずはブンデスリーガで結果を残したいという思いだけです。上位のチームはいいサッカーをしています。ただ、自分に合うかどうかは分かりませんし、今はケルンの選手なので、他のチームのことは考えたくないです。ケルンが今後どんなサッカーをするのか、どう成長していくかを考えたいです。(今夏に魅力的なオファーがあった場合は?)来た時に考えます。
■代表は結果を出さなければならない義務がある
―――日本代表に話を移させてください。まず、8月31日の大一番、オーストラリア戦に向けた意気込みをお願いします。
大迫 大事な試合です。ワールドカップに行けるか、行けないかが決まる試合なので、やるしかないです。そこでしっかり結果を出して、勝って決めるしかない。みんながしっかりとした覚悟をもってやるのが大事だと思います。
―――オーストラリアのDF陣は屈強で高さのあるタイプが揃っています。攻略するポイントは?
大迫 まだ、オーストラリアの守備陣については分かりません。ビデオも観ていませんので。ただ、僕らにとっては相手がどうこうよりも、自分たちができることをしっかり整理することが大事だと思います。
―――守備的に臨んだ昨年10月、アウェーでのオーストラリア戦後、長谷部誠選手は「臨機応変に戦うという意味では、まだまだ発展途上」と話していました。
大迫 戦術は監督が決めることなので、監督次第です。でも、監督が守備的にやろうと言っていて、僕らがひたすら守備的にやることもおかしいので、そこは臨機応変に。ただ、どの監督も自信をもって自分たちのサッカーを貫いていると思います。
―――臨機応変に戦う、アウェーでの戦い方の上手さといった部分で、ケルンと日本代表を比べるといかがでしょうか?
大迫 どうですかね。代表は能力が高い選手が揃っているので、みんながうまく力を引き合わせることができれば、いい結果を得られると思います。もっともっと個々がレベルアップして、しっかりとコミュニケーションがとれれば面白いですよ。
―――最後に、大迫選手にとって日本代表とは?
大迫 毎試合、常にしっかりとした覚悟を持って臨んでいます。全選手が目指すところですし、しっかりと結果を出さなければならない義務があります。それだけのプレッシャーもありますしね。