10月6日、17歳以下の世界一を決定する世界大会『FIFAU-17ワールドカップ』の戦いが幕を開ける。
開催地はサッカー界においてはアジアの新鋭国、世界の歴史においては最古参の伝統国であるインド。広大な国土を持つこの国の6都市(ニューデリー、コルカタ、ムンバイ、マドガーオン、コチ、グワハティ)を股にかけて、FIFA主催の国際大会における最年少タイトルを争うこととなる。
大会は参加24カ国を4チームずつ6組に分けたグループステージからスタート。各組上位2チームと3位の成績上位4チームの計16チームがノックアウトステージに進む方式だ。日本はE組に属し、ホンジュラス、フランス、そしてニューカレドニアの順で対戦し、まずはグループ突破を目指すことになる。もっとも、3試合で終わるつもりは毛頭ない。DF菅原由勢(名古屋グランパスU-18)が「目標は優勝」と断言していたが、この気持ちは21人のメンバー全員が共有している。別に過信があるのではなく、それだけの準備をして、実績も積み上げてきたという確信あっての目標設定だ。
とはいえ、簡単な目標でないことは言うまでもない。スペインやドイツといった欧州勢の地力の高さは言うまでもないが、新興国が力を見せるのがU-17カテゴリーの特徴でもある。特にアフリカ勢は歴代の大会でも力を示しており、今大会ではアフリカ王者のマリが最注目国の一つに挙げられる。日本とも昨年の大会で対戦しており、「マリとの試合は本当に衝撃だった」(菅原)と口をそろえるように、本当の意味での実力チームだった。そのマリと競り合ったナイジェリアなども有力候補だろう。
もちろん、王国ブラジルは今回も注目だが、レアル・マドリードへの加入も内定しているFWヴィニシウスが大会直前になって欠場を決めるなど、やや不穏な空気も流れる。逆に予選には出場していなかったスーパースター候補、FWディエゴ・ライネスが加わったメキシコも、このU-17年代では結果を残してきたチームであり、要注目だろう。他にはU-20W杯で活躍したFWサージェントを擁するアメリカも注目チームの一つだ。
もっとも、U-17カテゴリーはどの国も国際経験を欠くだけに、番狂わせも多い。日本の分析チームはイラクやイランも、その潜在能力とインドで戦うという特異な舞台であることを考慮すると勝ち残ってくる可能性があると観ている。もちろん、日本もそうしたポテンシャルを秘めたチームの一つだろう。恐らく山場となるのはブラジルやスペインなどの強国との対戦になることが予想されるラウンド16。そこを乗り越えれば、一気に可能性は広がることとなる。
文=川端暁彦