先発出場を果たした小林祐希 [写真]=三浦彩乃
プレー機会の少ない選手たちにとって絶好のアピールの場となるはずだったハイチ代表戦は、結果的に「私が監督になってから最悪な試合」(ヴァイッド・ハリルホジッチ監督)となってしまった。
しかし、その中でも存在感を示した選手たちもいた。その一人がA代表4試合目にして初スタメンを飾った小林祐希だ。試合後、小林は「失点した後のバタつきがずっと変わらない。そこをうまくコントロールするのが自分の仕事だったので少し悔しい」と振り返ったが、立ち上がりからピッチ上を幅広く動いてボールを引き出し、タメや楔のパス、サイドチェンジで相手のマークをズラして多くの好機を演出した。
「ニュージーランド戦もその前も代表の試合を見ていて、皆が高い位置に突っ込み過ぎてスペースがなくなっていた。あえてそこに入らずに(遠藤)航の脇や、相手のサイドバック、サイドハーフ、ボランチの脇。時に開いたり時に内側を使って(酒井)高徳くんとか、(杉本)健勇とか、(倉田)秋くんとかがフリーになればいいと思って動いて、パスもテンポ良く捌けた」
その狙い通りのプレーで序盤からゲームを掌握した小林だが、プレーテンポの部分では「オレは意識的に遅らせたけど、それが1つ遅れていると監督が見たのならそれはズレ。評価するのは監督」と語り、「前半に関してはそのズレを相手が嫌がっていたと思う」と感じつつ、今後も自身の持ち味とチームとしてのやり方をすり合わせていく必要があるとの考えを示した。
自身のプレー評価について尋ねられると、「評価するのは自分じゃない」と語る小林だが、今回の試合で随所に“違い”を生み出していたことは、誰の目にも明らか。球際への強さや前への推進力が求められ、実際にそういったタイプが多い中盤の人選にあって、試合の流れを的確に読んでゲームをコントロールできる小林の存在は貴重だ。
あとは、ワールドカップで対戦するような強豪国を相手にしても、課されたタスクをこなしつつ、自身の特徴を発揮できるか否か。そういった意味でも、11月の代表戦(ベルギー代表戦とブラジル代表戦)で見てみたい選手の一人と言えるだろう。
代表への生き残りを懸けたサバイバルへ。まずは、「自分のチーム(ヘーレンフェーン)に帰って試合に出続け、ハイパフォーマンスを出し続ける」ことが重要となる。
取材・文=平野由倫
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