U-17W杯決勝トーナメントに進出した日本。初戦はイングランドと対戦する [写真]=佐藤博之
1勝1分1敗。1998年のフランス・ワールドカップ――つまり、2000年以降生まれの彼らにとっては生まれる以前の話――において、達するべき目安として掲げられた数字を残し、U-17日本代表はインドで開催中のU-17W杯グループステージを2位で通過することとなった。
大会開幕から2日遅れとなる8日、E組の日本はホンジュラスとの初戦を迎え、ほぼパーフェクトな内容で白星を飾る。“事故”のリスクを避けながら慎重に試合へ入り、CKからMF中村敬斗(三菱養和SCユース)が先制点を奪う。中村はそのまま前半だけでハットトリックを完成させ、FW久保建英(FC東京U-18)もその中村のアシストでトドメのゴールを突き刺す。自陣からのビルドアップでミスが出る流れから、ホンジュラスにCKからのゴールを許してしまったものの、それ以外は隙のない内容だった。後半も2点を加えた日本は6-1と大勝スタートを切った。
続く第2戦の相手は欧州の伝統国フランス。U-17欧州選手権得点王のFWアミーヌ・グイリ(リヨン)らを擁するグループ最大の難敵が相手だったが、「こんな強度の高い試合は初めて」(MF奥野耕平/ガンバ大阪ユース)と振り返る選手もいたほど、他の2試合とは明らかにクオリティの違う相手との試合となった。立ち上がりにいきなりグイリの猛威にさらされると、守備時の消極的な選択も目立つようになり、13分に早くもグイリにゴールを許してしまう。後半にも一瞬の隙をつかれてグイリにゴールを許し、日本の得点はFW宮代大聖(川崎フロンターレU-18)の1点止まりだった。
単純なボール支配率で言えば日本が優勢だったが、フランスはボール保持時には効果的なサイドチェンジを使って日本のディフェンスを横に揺さぶり、ウイング、あるいはサイドに開いたセンターFWのグイリがドリブルで切り崩すという形で何度もチャンスを作る。さらに奥野が「カウンターで何度も縦に走らされた」と言うように、先制を許してしまったことで試合を通して相手のカウンター対応を迫られ、酷暑の中で体力面も削り取られてしまった。「自分たちが思っていたようなプレーはできなかった」とMF平川怜(FC東京U-18)も振り返ったように、なかなか狙いとしていたサッカーを表現できないまま試合終了の笛をきくこととなってしまった。
そして先発9名を入れ替えて臨んだニューカレドニア戦では、予想されていた連係面の不備に加えて、ゲーム体力の問題や経験の少ない選手たちが過緊張になってしまったこともあり、2試合2大敗で力が落ちると観られた相手に対しても、なかなか有効な攻めを繰り出せず。結局、中村が開始早々に個人技で奪った1ゴールにとどまり、逆にニューカレドニアにCKからの失点を許し、彼らに「歴史的」と言える勝ち点を献上してしまった。
こうした流れになると、「世界との差」という言い方をされがちなのだが、「グループステージは相手が引き込んでくる展開になった」と平川が言うように、むしろ日本がリスペクトされる中で、相手が守備をしっかり固めて来る中で苦しんだ印象も強い。また、日本側が出すべきモノを出し切れない、不完全燃焼の試合が続いたという感触も監督・選手が共有しているところだ。相手の強さに屈したというより、自分たちの強みを表現できないもどかしさを抱えながらのグループステージだった。
![久保建英](https://www.soccer-king.jp/wp-content/uploads/2017/10/12090220171014JPNvNCL1494-1-1.jpg)
ニューカレドニア戦は途中出場するも不発に終わった久保建英 [写真]=佐藤博之
予想以上の大観衆に包まれながらの試合となっていることも、ここまではネガティブに作用してきた。インドの観衆は些細なプレーにも大いに沸く一方で、ミスに関しては露骨に不満も示す。これをやり甲斐と感じられるのがあるべきプロフェッショナルの姿だが、U-17年代ではまだまだ「こういう大観衆の前でやるのは初めてという選手も多い」(森山佳郎監督)中で、実力を発揮できない選手もいた。その意味で言えば、グループステージは良い予行演習として機能したかもしれない。失敗もまた経験だ。
GK谷晃生(G大阪ユース)は「『客がいたからできなかった』といってもどうにもならない。もうミスを恐れずに、ミスして笑われてもいいし、自分たちがアグレッシブに、チャレンジャーとしてやるのみだと思います」と強く語った。選手同士でも、あらためて前向きにチャレンジしていくのだという姿勢は共有されているようだ。
やはり、うまくいかない流れの中で暗くならないのがこのチームの良いところだろう。大会に向けて新たにチーム付きになったスタッフの一人が「こんなに明るく元気なチームは観たことない」と目を丸くしていたが、前向きにチャレンジしていく空気こそ、森山監督が鍛えてきたチームの真骨頂である。対戦相手が「たぶん大会で一番か二番目に個の力がある」(谷)というイングランドに決まったことについても、「こういう相手と戦うために来た」(久保)という挑戦者の感覚を持てるはずだ。要するに、「ここまで来たら思い切ってやるしかない」(森山監督)のである。
イングランドが大会最強クラスの相手であることは衆目の一致するところ。そして小細工なしの正面突撃を常に選択する伝統を持つ相手であり、こちらに殴り掛かる意思さえあれば、自然と真っ向勝負になるだろう。まずはここまでの2年半で培ってきた攻撃と守備の技術と戦術、そして挑戦者としてのメンタリティーを試合の最後まで出し切れるかどうか。当然「イングランド対策」も講じるはずだが、まずは何よりも自分たちの力を出し切ることが肝要だ。それさえあれば、自然と勝機も見えてくることだろう。
文=川端暁彦
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By 川端暁彦