日本代表への思いを語った香川真司 [写真]=Bongarts/Getty Images
鬼気迫る香川真司がそこにいた。
開始早々にスルーパスを通した。クロスに頭から飛び込んだ。受けてターンして前を向き、縦パスを入れたのは十八番。目指すはゴールのみ。迎えた29分。
左で起点となり、外にはたいてバイタルエリアへ。向かって左半身でパスを呼び込むと、視界の隅に「見えていた」。裏に抜けるラファエル・ゲレイロを感じた。右足の外側で1タッチ。繊細な回転をかけてゲレイロの足元に落とすアシストを決めた。ドルトムントのホーム、ジグナル・イドゥナ・パルクに詰めかけた6万4500人が最も沸いた瞬間を演出した。
1日のチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第4節、APOEL戦で挙げた先制点。停滞するチームで、香川は組み立てを一手に引き受けていた。周りが動かなければ、自ら動いて攻撃の血流を促す。専守防衛の相手を崩すべく、果敢にミドルシュートを放った。「やっぱりミドルは難しい。でも、シュートを選択することが何より重要だから」。後半に追いつかれて引き分けた一戦。香川がいなければ、連動性に乏しいドルトムントの攻め手は体をなしていなかった。
試合が終わり、1時間ばかり。真冬の足音が近づくドイツの夜は深まり、日付変更線を越えようとしていた。心と体をゆっくり冷ました香川がミックスゾーンに現れた。
やり取りは当然、日本代表落選に及んだ。
宙を見やり、大きく息を吸い込んで、少し苦笑した。「うーん。正直、このタイミングかっていうのは感じています」
ブラジル代表、ベルギー代表と相まみえる欧州遠征。世界と日本の差を測るまたとない場だった。「ワールドカップに向け、僕たちが積み上げてきた戦いをガチで試せる絶好の機会だと思っていた。そこに対する悔しさというか……」
APOEL戦が象徴する。今は「レベルの高い、競争の激しい舞台で、本当に良いプレーを出せている」という手応えがある。だから、なぜ、“今”なのか。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の選考に複雑な心情を連ねた。
「メンバーから外れるとしたら、もっと早いタイミングがあったのかなと。昨年、一昨年、まだ(自分のプレーに)安定感がない時があったので」
「状態が悪い中でも自分を必要としてくれていた。そこに信頼を感じていたし、呼ばれたことに対する責任も全うしてきたつもり」
「個人的に話はしていないので、理由はわからない。ぜひ、聞いてみたい。話し合う必要があると思っている」
次第に口調は早まる。熱を帯びる。「この2試合で結果が出れば(今回のメンバーは)すごく評価されるべき。ワールドカップを想定した相手に、どこまでやれるのか。やれたら、もちろん、俺は受け入れるしかない。で、やれなかった時にどう考えるのか」
守っては1対1の力感、攻めてはとにもかくにも縦への速さが今の代表では重視される。技術とアイディアを駆使する自身の流儀とは趣が異なる現実も理解している。「僕が合っているのかっていったらわからないところが、クエスチョンマークがついているのはわかっている」
そして、続けた。「ただ、ワールドカップですから」
4年に一度の大勝負。思うに任せないことは必ず起きる。自信を携えて臨んだはずのブラジルでは1勝もできず散った。「あの時は経験も、やりたいプレーができなかった時の柔軟性も足りなかった」。そこからの3年間は「うまくいかないことばかり。でも、悪い流れを良い流れに変えるための試行錯誤を続けてきた」。そんな自負がある。欧州でも指折りの強豪で定位置争いにさらされながら、シーズン終盤を迎えれば決まって先発の座を奪い返していた。ロシアに挑む来年は29歳。今度こそ、ワールドカップで何が起きても動じないだけの経験を積んできた自負がある。劣勢を覆し、日本を勝利に導く自分を繰り返しイメージしながら。
本番まで、あと半年。できること、やるべきことは整理されていた。「ここで、こうやって結果を残し続けるだけ。次のテストマッチは3月。そこに照準を合わせるだけ。僕自身の目標が消えることはない」
代表復帰の可能性はいかほどか、すでに構想から外れているのか、は当の監督しか知りえない。ただ一つだけ、これだけは明確な気がする。
今までもそうだった。苦境が、また香川を強くする。
文=中川文如
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