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【コラム】ケルンで復調の大迫勇也、日本代表のエースとして後半戦はさらなる“結果”を

2018.01.22

大迫勇也は再びケルンで輝けるか [写真]=Getty Images

 1月20日に行われたブンデスリーガ第19節、ハンブルガーSV対ケルン大迫勇也は12月2日のシャルケ戦以来、5試合ぶりに先発出場を果たし、冬の移籍期間にシュトゥットガルトから復帰したシモン・テロッデと2トップを組んだ。

「オフ期間は鹿児島の実家にも行きましたけど、温泉旅行でも走ってました。熱海だったんですけど、坂がすごかった。いいトレーニングになりましたよ。しっかり筋肉もついてきたんじゃないですか」と本人も笑顔で話したように、今シーズン後半戦に向けて自分自身を追い込んでフィジカル強化を図ったという。

 その効果が出たのか、この日の大迫は立ち上がりからキレのある動きを見せる。開始早々の6分にはテロッデの落としに反応。鋭い動き出しからゴール前に突進し、相手DFキリアコス・パパドプーロスのイエローカードを誘った。さらに11分にはクリスティアン・クレメンスのスルーパスに抜け出し、ゴール前で決定機を迎える。しかしながら、惜しくもシュートを打ち切れずに得点には至らなかった。

 それでも27分、デロッデの先制点を巧みにアシストする。CKの場面でニアサイドの大迫は頭でボールをすらし、ファーサイドにいたテロッデの1点目を演出。デロッデとの連携もまずまずで、2人で連動しながら攻守両面でチームに貢献した。この試合では63分にマティアス・レーマンと交代したが、スタメン奪回に向けて大きな一歩を踏み出した。

大迫勇也

得点とはならなかったが存在感を示した [写真]=Bongarts/Getty Images

 大迫は昨シーズン25得点を挙げたアントニー・モデスト(天津権健)に代わる得点源として期待されていたが、ここまでわずか1得点。予期せぬ苦境にあえいでいる。チームも最下位に低迷し、12月上旬にはペーター・シュテーガー監督(現ドルトムント)が解任されてしまった。シュテーガー体制では絶対的主力として位置付けられてきたが、後任のシュテファン・ルーテンベック監督はFW陣の見直しに着手。後半戦からはデロッデを軸に据えている。現在はそのパートナー探しの真っ最中で、ウィンターブレイク明け初戦のボルシアMG戦ではシモン・ツォラーを起用。今回は大迫にチャンスを与えた格好だ。彼自身もこの試合の重要性をよく理解していたはず。今シーズン3勝目につながる先制点に絡んだことで、ある程度の期待に応えたと言っていいのではないだろうか。

 ここから大迫に求められるのは、やはり得点という結果。昨シーズン7得点を挙げた後、「まだまだ得点が少ない。今季は2桁を狙いたいですね」と意欲を口にしていただけに、後半戦でのゴールラッシュが強く求められるところだ。

「前半戦はケガ人が多くて、なかなか前で試合に出られなかった。それが一番大きかった。だけど後半戦は選手が戻ってくるし、ヨーロッパリーグ(EL)もなくなって試合間隔が開くからコンディションも上がってくる。そこでいかに自分が結果を出せるかだと思います。僕としては2桁を貪欲に狙い続けたいですけどね」と大迫自身も改めて闘志を燃やしている。

 そのためにも、ルーテンベック監督が信頼を寄せるデロッデとのコンビネーションに磨きをかけ、昨シーズンのモデストとの関係を彷彿させるような「阿吽の呼吸」を見せる必要があるだろう。デロッデは後半戦スタートから2試合3得点と気を吐いているだけに、彼といい距離感を保ちながら、自らにも得点チャンスが回ってくるような方向へと導ければ理想的。そうやって「生かし、生かされる関係」を構築できれば、得点量産も現実になり得るのだ。

 同じブンデスリーガでプレーする武藤嘉紀(マインツ)が後半戦2試合で3得点と爆発していることもいい刺激になっているはず。日本代表で当落選上にいると言われる武藤が猛アピールを見せているのだから、半年後に迫った2018 FIFAワールドカップ ロシア行きが確実視される大迫はより大きなインパクトを見せないわけにはいかない。

「まずはクラブで1戦1戦しっかりと戦うことがW杯に近づくのかなと。まだ選ばれる保証もないし、結果を出した人が行くものだと思うから、自分にプレッシャーを与えながら頑張りたい」と本人も強い危機感を吐露していた。

大迫勇也

4年前のブラジルW杯は不発に終わった [写真]=Getty Images

 4年前のブラジルW杯でコートジボワール戦、ギリシャ戦に先発しながら仕事らしい仕事をできなかった悔しさを忘れたことはない。大迫もその屈辱感を払しょくするために、この4年間ドイツで努力を続けてきた部分も少なからずあるだろう。だからこそ、この半年をより大切にしなければいけない。

 ケルンで得点を積み重ね、チームを2部降格の窮地から救い出し、そのうえでロシアへ赴ければベストなシナリオ。大迫勇也日本代表の新エースとして君臨しようと思うなら、それくらいの大仕事をやり切ってほしいものだ。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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