オランダでアピールを続ける若武者がいる。堂安律は3月4日のトゥエンテ戦で今季リーグ戦6点目を記録。目標に掲げている2ケタ得点にまた一歩近づいた。
ワールドカップ出場を目指すことは「サッカー選手として当たり前」だと堂安は言う。「3月に招集されなければ、可能性は低い」。最終テストとなる3月の欧州遠征メンバーに入るためには、結果を残すしかない。そんな覚悟を持って、19歳のMFはリーグ後半戦を戦っている。(インタビューは2018年1月4日に実施)
絶対に後悔だけはせん! そう意識したら結果が出始めた
――昨年6月にフローニンゲンへ移籍しました。前半戦をどう評価しますか?
100点満点中、50点ですね。もう少しゴールを決められていれば80点はいけたと思いますけど……。でも、後半戦に期待できるような内容で前半戦を終えられたので、まあ60点かな(笑)。
――ヘーレンフェーンとの開幕戦(2017年8月13日開催)で、早速、先発出場を果たしました。
ダービーマッチだったので、スタジアムの雰囲気がすごかったですし、「ヨーロッパでサッカーをしている!」と感じることができました。でも緊張していたので、楽しめてはいなかったかな(笑)。実際にプレーしてみて、技術は劣っていないし、フィジカルコンタクトも負けていないと感じました。ただ、すべての面でスピードが速かった。切り替えも、相手の戻りも早い。単純に足も速い。スピードには驚かされました。
――予想以上にボールが集まっているなと思いながら試合を見ていました。堂安選手の感覚としてはどうでしたか?
自分がほしいタイミングではなかったんですよね。集まっているように見えて、その後のボールロストが多かった。それを言い訳にはできないけど、もっとイメージどおりのボールを出してくれていれば、何か違うことができたと思います。せっかく開幕戦でチャンスをもらったのに生かすことができなかった。すごく後悔しましたね。
――それ以降、第5節のブレダ戦まで出場機会を得られませんでした。再びチャンスを得るために何を意識しましたか?
とにかくゴールがほしかったので、シュート練習をしました。こっちに来て驚いたのは、ほぼ全員が居残り練習をしていること。全体練習が終わってからも、みんなスプリントやシュート練習をしているんですよ。
――ステップアップを目指す選手が集まるリーグですからね。
競争意識はすごく感じます。練習中につかみ合いのケンカになりますから。1週間に1度はそういう場面があります。僕も1回つかまれました。練習中に削られて、相手は「ごめん」と謝ってきたんですけど、その後に削り返したら「さっき謝っただろう」って。まあ、僕もつかみ返しましたけどね(笑)。
――ただ、彼らはオンとオフの切り替えも早いのでは?
そうなんですよ! 練習が終われば、ケンカをしていた選手同士で肩を組んで「ごめん、ごめん」って。切り替えが早すぎますよ(笑)。まあ、ピッチ内のことをピッチ外に持ち込まないので楽ですけどね。逆にピッチに立った時は、少しピリピリとした雰囲気を持っておかないと食われてしまうような気がするので、集中力を保つようにしています。
――ようやく出番が回ってきたのがKNVBカップのヘラクレス戦。そこで得点し、第6節のトゥウェンテ戦ではアシストを記録しました。
開幕戦で悔しい思いをしたので、「絶対に後悔だけはせん!」と思ってピッチに入りました。「次の試合で外されてもいいから」と開き直って、後悔だけはしないようにプレーしたんです。そこを意識してピッチに立ったら結果が出始めたので、そういう意識でいいんだなと。モチベーションのコントロールがうまくなったんだと思います。
――そこからトップ下としてチームに定着しました。ガンバ大阪、各年代の日本代表と、これまではサイドで起用されることが多かったと思いますが、エルネスト・ファブレ監督と起用法について話はしたのでしょうか。
フローニンゲンはオランダの典型的な4-3-3のシステムで、ボールを回して仕掛けるスタイルなので、守備の時も戻らなければいけない。監督には「フットボールの技術面でお前は全く問題ない。だけど、サイドではフィジカルコンタクトの面で難しさがあるから、トップ下に入って細かい部分で違いを見せてほしい」と言われました。でも、僕にはそのフィジカル面を強化したいという思いがあったので、「練習ではサイドをやらせてくれ」と伝えました。
――先ほど、開幕戦でフィジカルコンタクトは問題ないと感じたと言っていましたが、監督の目から見たらまだ足りなかった。それでも、意見交換をしながらオランダのサッカーに適応していっているんですね。ちなみに、理想のトップ下像はありますか?
ユヴェントスの(パウロ)ディバラはうまいし、点も取れる。(リオネル)メッシほどスピードはないけど、ポジショニングやドリブルの運び方が勉強になります。僕が短いソックスを履いているのは、実はディバラを真似しているからなんです(笑)。
――最近はドリブルの力強さが増してきたように感じます。第13節のフェイエノールト戦では、ドリブルについてきた相手のほうが当たり負けして、担架で運ばれるシーンがありましたよね。
体の強さを生かしながらプレーできるようになってきて、ドリブルでは負けないという自信がつきました。あの試合は調子が良くて、かなり手応えがあった。前半よりも後半のほうがうまくなっているというか、90分間の中で成長できているという実感がありました。一番考えたし、一番楽しかった試合でしたね。
――具体的にどういった部分で成長を実感したのでしょう。
最初からマンマークされていて、前半はカットインした時にボールを失う場面が2、3回ありました。なので、後半はわざとカットインする振りをしてスルーパスを出してみたりして。相手が来るタイミングを前半のうちに分析できたので、後半からはプレーを変えてボールを運ぶことができました。
――マンマークをされるということは、相手が堂安選手を意識しているということ。それは自信につながるのでは?
そうですね。フェイエノールト戦以降はマンマークに付かれることが多くなりました。でも、マークに付けば何もやらへんと思われても嫌やし、そこでなんとか結果を残したい。マークされてうれしい反面、結果を残せていない自分があかんかったと思います。
――とはいえ、厳しいチェックを受けながらボールを引き出す場面が増えたと思います。チームメートが信頼してボールを出してくれているという実感があるのではないでしょうか。
移籍した当初に比べると増えましたね。練習中も積極的に要求しています。僕が言いすぎて、最近は無視されることもあるんですけど(笑)。聞いてくれるまで言い続けています。
――試合中もよく要求していますよね。
最近は怖くなくなってきたから。
――最初は怖かった?
だって、ケンカしたら絶対に負けるやろうと思って(笑)。
――(笑)。コミュニケーションは英語で取っているんですか?
家庭教師をつけて英語の勉強をしているんですけど、まだ話せません。もっと単語を覚えんとあかんなって。あとはチームメートでイングランド人のトッド(ケイン)に教えてほしいと頼んで、積極的に会話をするようにしています。日本ではすぐに打ち解けたような記事が出ていましたけど、正直、時間はかかりましたよ。同じテーブルで食事をしていても、いじられることなんてなかった。少しずついじられるようになって、今ではいじる側にも回れるようになったけど、打ち解けたと感じるまで1カ月くらいはかかりましたよ。
――後半戦でより自分を出していくために必要なことは何でしょう。
監督に「トップ下のお前はあまり下がってくるな」と言われているけど、僕は低い位置でボールに触って、作って、最後の仕掛けのところに入っていきたいタイプなので、得点したスパルタ・ロッテルダム戦(12月24日)の前日に「もっとボールを触れるように自由にしてほしい」と伝えたんです。「いいよ」という返事ではなかったけれど、「練習でトライしてみよう」と言ってくれたので、もっとボールを触って、「あいつにボールを渡せばなんとかしてくれる」と思われるプレーをしていきたいです。
――スパルタ戦は触って、作って、仕掛けのところに入るという一連の流れからゴールを奪いました。
あれが理想ですね。対戦相手がそこまで強くなかったので、余裕があった部分もあるんですけど、自分で作って、最後に“ちょん”っとおいしいところを持っていく。それが理想です(笑)。極端な言い方をすれば、後半戦は得点とアシストだけを記録していればいいくらいのイメージでやっていきたいですね。
常に一番上を見てやりたい目標はロシアW杯出場
――堂安選手は東京五輪世代ですが、年代別代表は選手の招集に拘束力がありません。海外で結果を残していても、今後は南野拓実選手(ザルツブルク)や久保裕也選手(ヘント)のようになかなか代表活動に参加できない難しさが出てくると思います。
そうですね。でも、A代表に入っていれば、自然と五輪代表にも入っていけると思っています。年代別を軽視しているという意味ではなく、常に一番上を見てやりたいんです。僕は遠い未来のことを目標にするタイプではないので、半年後のロシア・ワールドカップ出場が目標です。今はフローニンゲンにレンタルという形でプレーしていて、この先どのチームに行くかも分からない。もう一段階上のクラブに行きたいと思っていますし、その目標を達成するためにも、W杯出場がモチベーションになっています。
――ブラジル代表との親善試合は現地で観戦されたそうですね。
ブラジルはちょっとレベルが違いますよ。“ネイマールさん”が本当にすごかった(笑)。
――ネイマールさん(笑)。
ネイマールさんはすごいですよ! あの体のしなやかさは日本人が持って生まれることができないもの。自分でトレーニングするしかないと思いました。
――ハリルジャパンに入った時のイメージや、自分だったらこれを生み出せるというものはありますか?
強豪相手には守備の時間が増えますよね。だから、ボールを奪って速く攻めることが勝率を上げることにつながる。そういう意味では、今の日本代表は戦い方を徹底していると思います。ただ、それだけではしんどい。もし自分が出場したら、大前提として監督が求めていることをこなしつつ、状況を見て落ち着かせたり、中に入ったりと、裏ばかりを取るのではなく、組み立てにも参加するイメージです。(ヴァイッド)ハリルホジッチ監督はトップ下に攻撃的な選手よりも、(井手口)陽介くんのように潰しに行く選手を置きたいと思うので、僕にチャンスがあるとすればサイドでしょうね。
――同年代では初瀬亮選手(ガンバ大阪)がEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会に招集されました。
亮くんや中山雄太くん(柏レイソル)は選ばれるだろうと思っていました。亮くんの招集はすごく刺激やモチベーションになりました。だから、先を越されて悔しいというよりは、亮くんが選ばれて良かったという気持ちです。
――目標のロシアW杯出場に向けて、ここまでのステップアップは順調に進んでいると思いますか?
移籍をして、ステップアップとしては順調かもしれないけど、内容には納得していません。ガンバで結果を残していないので、今のままではガンバのファンに何を言われてもおかしくはない。「あいつは移籍して良かった」と思ってもらえるように、海外で活躍しないといけないですよね。
――今年で20歳、改めて抱負を聞かせてください。
サッカー選手として当たり前のことですけど、今年最大のイベントであるW杯出場を目指します。チームで2ケタ得点を取ることできれば、出場の可能性も大きく広がってくると思います。
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By 高尾太恵子
サッカーキング編集部