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“吉田麻也不在”を絶好の機会にできるか…日本代表CB陣に求める刺激と関係構築

2018.03.22

マリ、ウクライナ戦で招集された植田、昌子、槙野、森重(左から) [写真]=Getty Images

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表は23日にマリ、27日にウクライナと親善試合を行う。本大会までいよいよラストスパートに入ってきたが、センターバックの吉田麻也が2月に左ヒザを痛めた影響で今回の招集を見送られた。本大会には回復が間に合う見込みだが、絶対的なDFリーダーの欠場は“仮想セネガル”“仮想ポーランド”とされる2試合の位置付けを考えても非常に痛い。

 ただ、あえてポジティブに考えれば、大会中に吉田を欠く状況をあらかじめシミュレーションするというだけでなく、守備陣の1人ひとりが主体性をもって守備をオーガナイズしていくことで、これまでとも違った大きな経験になるはず。今回CB陣は槙野智章昌子源植田直通に加えてブラジル・ワールドカップの経験者でもある森重真人が復帰している。

「大事にいきたい思いもあるし、でも出たい思いもあるし、まあちょっとバランスというのを考えながら」。そう語る森重は昨年6月のメンバーから外れ、その後の7月に左腓骨筋腱脱臼という大ケガを負い、代表からも遠ざかっていた。2月下旬に開幕したJリーグで復帰しているが、まだ状態が100%とは言えない。

 フルメニューをこなしながら出る準備はしているが「ミーティングなり、出なければ出ないなりにサポートしたいと思う。いろんな形でのサポートもあると思うので、それはしっかりとやっていきたい」と語る。槙野、昌子、植田ともにW杯を経験していない選手たちであるだけに、森重の存在は大きい。

 ここ最近では吉田の相棒として定着し、日本代表の守備を支えた槙野にはチームのムードメーカーというだけでなく、守備陣を声で統率する役割がこれまで以上に問われる。

「今回は吉田麻也選手がケガということもありますので、自分に求められること、自分がやらなくちゃいけない責任感も自分の中では増していると思っています」と槙野。「一番の役割は相手のエースを押さえること」と捉えながらも「個人で押さえることよりも、横のパートナーとなる選手、前のパートナーとなる選手たちといかにうまくまとまって守るか」と、組織としての守備を崩さない中でエースに仕事させない意識を強く持っている。

「できるだけ周りの選手たちを鼓舞しながら声かけは常に出すようにしているんですけど、自分が声を出すことによって自分にもいいプレッシャーを与えて、鼓舞しながらやっています」

 そう語る槙野のパートナーは順当なら昌子になるだろう。その昌子も昨年12月のE-1選手権ではキャプテンマークを巻くなど、試合ごとに出る課題に向き合いながら、守備陣を統率する意識も高めている。その昌子と鹿島アントラーズでCBコンビを組む23歳の植田はそのE-1でようやく公式戦の出場を果たしたが、本職ではないSBだった。CBとしての出場がかなえばデュエルの強さに加え、もう1つの大きな役割の意識も高めて試合に臨むはずだ。

「CBは一番しゃべらなきゃいけないポジションだと思うし、全体の守備を動かすためにも一番コミュニケーションを取らないといけないポジションだと思うので、いつも一緒にやってない選手が多いですけど、そこは自分から率先して、こうしてほしいと伝えないといけない」

 そう語る植田は持ち前の身体能力を生かしたデュエルだけでなく、声で周りを動かしながら必要なところで個の強さを発揮していく意識を持っている。「前半から様子見じゃなくて、自分たちから仕掛けて球際を激しくいければ自分たちのペースにもっていける」とビジョンを思い描く植田が、今回の様な国際試合で実戦的な経験と手応えを掴めれば本大会に向けて確かな収穫になる。

 吉田がしっかりと回復し、コンディションを戻せば確実に最終メンバーに入ってくるはずだが、この2試合を通じて、“吉田不在”の中で経験を積んだ選手たちが、さらに良い関係を築けるためのステップになる期待も持てる。そのためにもマリ戦とウクライナ戦、それぞれ試合に出る選手も出ない選手も、チームとして無失点で勝利を支えることを心がけながら、CB陣の中で刺激し合ってレベルアップできることを期待する。

文=河治良幸

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By 河治良幸

サッカージャーナリスト。プレー分析を中心に、Jリーグから日本代表、海外サッカーまで幅広くカバー。

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