マリ戦翌日、先発組とサブ組に分かれて汗を流した
マリ戦から一夜明けた現地時間24日、練習場にFW本田圭佑(パチューカ)の声が響いた。「ナイス、翔哉! 今のように最後まで諦めるな!!」。一対一のトレーニングでのことだ。
ハリルジャパンを追いかけている中で、試合翌日の練習取材は面白いと感じることが多い。先発したメンバーはランニングやストレッチで疲労回復に努める。一方で、サブ組は強度を上げた練習をこなしていく。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にみっちりとしごかれている様子は見応えがあるのはもちろんのこと、指揮官が何を要求しているのかをピッチ脇で聞き取ることができるし、選手が誰と、どんなコミュニケーションを取っているのかを見聞きすることができる。
この日の練習で興味深かったのは“デュエルの特訓”だ。攻撃陣、守備陣からそれぞれ指名された選手が一対一のバトルを展開。ボールホルダーの味方になるフリーマンを置いていたので、正確には2対1でのトレーニングになるのだが、それでも狭いコートの中では激しい攻防が繰り広げられた。
本田と対峙したのはDF車屋慎太郎(川崎フロンターレ)。果敢に仕掛ける車屋に対し、本田がじわじわと体を寄せて、ガバッと一気にボールを奪い取る。フリーマンをうまく使ってカウンターに持ち込むと、左足を豪快に振り抜いてゴールに叩き込んだ。高いスキルを見せつけたし、スカッとするシュートだった。ただ、個人的にはMF柴崎岳(ヘタフェ)との対決が見てみたかった。実は、ハリルホジッチ監督が本田の名前を呼んだ際に、柴崎がススッと前に出てきていたからだ。指揮官に「ノーノー、ガクじゃない」と言われ、静かに引き下がる背中がなんとも印象的だった。
FW原口元気(デュッセルドルフ)とDF酒井高徳(ハンブルガーSV)の対決前には、「よし、やってやるよ」、「来い!」といったやり取りがあったり、FW小林悠(川崎フロンターレ)がゴール前で足を止めると、GK川島永嗣が「コースが空いているなら、(シュートを)打てばいいじゃん!」と背中を押したり。冒頭の本田の言葉は、FW中島翔哉(ポルティモネンセ)と柴崎が対決した時のものだ。初招集の中島が伸び伸びとプレーできるよう、あえて発しているようにも映った。
ハリル体制では異例とも言える1時間45分という練習時間の長さは、指揮官の強い危機感の表れだろう。1-1と引き分けたマリ戦後、選手たちからも「このままではいけない」といった声が聞こえてくるが、限られた時間の中で、目の前の課題を一つずつクリアしていくしかない。サブ組の練習からは「俺がやってやる」という強い意志と緊張感が伝わってきた。
取材・文=高尾太恵子
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By 高尾太恵子
サッカーキング編集部