最後のシュート練習で、乾は岡崎や浅野、香川らとゴール数を競い合っていた
日本代表のムードメーカーといえば? そう聞かれて、DF槙野智章(浦和レッズ)を思い浮かべる人は多いだろう。
先日も練習後の様子を動画でSNSにアップした。“DJ槙野”は宿舎への帰り道でKinki Kidsの『もう君以外愛せない』を流し、MF本田圭佑(パチューカ)やMF原口元気(デュッセルドルフ)、DF長友佑都(ガラタサライ)らと大合唱。持ち前の明るい性格とキャラクターで、ピッチ内外の盛り上げ役を担っていることがうかがえる。
だが、ピッチにはムードメーカー的存在がもう一人いる。ロシア・ワールドカップに向けて、オーストリアで事前合宿を行なっている日本代表は、5日の練習でセットプレーを確認。その練習で最も声を出していたのがMF乾貴士(エイバル→ベティス)だ。
思い返せば、メンバー発表前の国内合宿でもいい意味で目立っていた。ケガの影響でまだ全体練習に合流できずにいた乾は、ランニングをしながらスタンドのファン・サポーターに手を振り、子どもからの「乾、かっこいい!」の声援には「ありがとう!」と返事をするなど明るく振舞っていた。思うようなアピールができない焦りがあるなかで、「ケガをしているけど、チームを盛り上げることはできる」と“フォア・ザ・チーム”に徹した。
この日の練習では、DF遠藤航(浦和レッズ)のクロスボールに「ナイス!」と反応したり、自分が出したボールが合わなければ「あーー、ごめんなさい!!」と大声で謝ったり、味方のシュートが決まったらジャンプをしながら喜んだり……。声とアクションで雰囲気を盛り上げた。シュート練習になるとさらに饒舌に。FW浅野拓磨(シュトゥットガルト→ハノーファー)を「全然動けてないで!」とイジり、FW岡崎慎司(レスター)がシュートを外せば「今のはあかん」と関西弁で鋭くつっこみ、周りを笑顔にしていた。
気になるケガの状態は問題なく、乾は全体練習をすべてこなしている。西野朗監督がメンバー発表会見で「彼のプレースタイルは希少」と評価したとおり、スピードに乗ったドリブルでの突破力や華麗なパスワークは日本の武器になる。30歳にしてようやくつかんだワールドカップへの切符。乾は攻撃だけではなく、チームの雰囲気にもアクセントを加えていた。
取材・文=高尾太恵子
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By 高尾太恵子
サッカーキング編集部