日本代表入りを狙うJリーガーたち [写真]=J.LEAGUE
日本サッカー協会は26日、森保一氏が日本代表の新監督に就任することを発表した。そこで9月に初陣を迎える新生日本代表に11人のJリーガーを推薦したい。
今回の11人はいずれも代表キャップを有していないプレーヤーの中から選出した。いわゆる“主役級”ではなく、“バイプレーヤー”的な要素の強い顔触れかもしれないが、各クラブでは間違いなく重要なピースとして躍動している実力者揃い。彼らの中から1人でも多くの選手が、9月以降の日本代表に名前を連ねることを願ってやまない。
文=土屋雅史
小池龍太
生年月日:1995年8月29日(22歳)
身長・体重:169cm・63kg
出身地:東京都
所属クラブ:柏レイソル
ポジション:DF
背番号:13
利き足:右
経歴:松ヶ谷FC→横河武蔵野FCジュニア→JFAアカデミー福島→レノファ山口FC→柏レイソル
もはや“苦労人”というフレーズを出す必要もないくらい、現在のプレーだけで多くを語りたくなる要素を併せ持つリーグ屈指の右サイドバック。90分間プラスアルファを上下動し続けられる運動量に加え、サイドからのスルーパス、エリア内への侵入、球際での強さなど、そのハイスペックぶりを理解するには1試合を見れば十分。どんな試合の後でも、まずは反省点が口を衝く向上心の塊であり「サイドバックの選手が点を取れる時代に入ってきていると思いますし、“チームを勝たせられる選手”というところに近づいていかないといけない」とチームの勝敗を担う存在への進化を誓っている。
坂圭祐
生年月日:1995年5月7日(23歳)
身長・体重:174cm・72kg
出身地:三重県
所属クラブ:湘南ベルマーレ
ポジション:DF
背番号:20
利き足:右
経歴:内部リバースFC→内部中→四日市中央工高→順天堂大→湘南ベルマーレ
順天堂大学から加入したルーキーは、第8節でJリーグデビューをスタメンで飾ると、第10節以降は不動の存在だったアンドレ・バイアからポジションを奪い、3バックの中央でディフェンスラインを統率。174センチというサイズからは想像できない空中戦の強さと、人にしっかり行ける粘り強い対人能力を生かして、瞬く間に欠かせない主力へ成長を遂げている。タイプ的に1列前でその守備力を生かす形も十分に可能。中断明けとなった第16節の鳥栖戦ではアシスト、第17節の神戸戦では初ゴールを記録した。まだまだ攻守に伸びていく余地もありそうだ。
安西幸輝
生年月日:1995年5月31日(23歳)
身長・体重:172cm・64kg
出身地:兵庫県
所属クラブ:鹿島アントラーズ
ポジション:DF
背番号:32
利き足:右
経歴:戸塚FCジュニア→東京ヴェルディジュニア→東京ヴェルディJrユース→東京ヴェルディユース→東京ヴェルディ→鹿島アントラーズ
ヴェルディ育ちのサイドプレーヤーは、名門・鹿島加入1年目にして早くも重要な役割を担っている。右サイドバック、左サイドバックを高次元でこなしつつ、ゲーム展開によってはサイドハーフで起用されることも。第17節の柏戦では自陣から独走してゴールを決めたように、もともと推進力のあるドリブルが魅力だったが、東京V時代の恩師ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のもとでその使い所がより整理された感もある。ポリバレントに活躍できる彼の負傷離脱による1カ月半近い不在は、その価値をより高めた印象すらあった。取材時に感じる明るくポジティブな性格も大きな魅力。
橋本拳人
生年月日:1993年8月16日(24歳)
身長・体重:182cm・74kg
出身地:東京都
所属クラブ:FC東京
ポジション:MF
背番号:18
利き足:右
経歴:フナトアミーゴSC→FC東京U-15深川→FC東京U-18→FC東京→ロアッソ熊本→FC東京
サイズにも恵まれ、攻守に渡ってダイナミックに動けるセントラルMFも、この中断期間を経てアカデミー出身者のトップ在籍最年長に。今季はチームのバランスを維持する役割を与えられている中で、ロシアW杯を見ながら「1試合に1回、2回は決定的なところに顔を出すことが、世界を見据えた上で必要なこと。後ろでバランスを取っているだけでは代表にも入っていけないと思うし、代表に入ったとしても違いを出せないのかなと思います」と新たな決意を述べた。世界とも対抗し得るだけのスケール感を、より勝利へ直結する結果に結び付けていきたい。
稲垣祥
生年月日:1991年12月25日(26歳)
身長・体重:175cm・72kg
出身地:東京都
所属クラブ:サンフレッチェ広島
ポジション:MF
背番号:15
利き足:右
経歴:大泉西ハリケーン→サウスユーベFC→FC東京U-15むさし→帝京高→日本体育大→ヴァンフォーレ甲府→サンフレッチェ広島
圧倒的な勝利数で首位をひた走る広島において、青山敏弘と不動のボランチを組み続けるリーグトップクラスのハードワーカー。基本的には守備に軸足を置きながらも、最終ラインに降りてピンチを回避したかと思えば、機を見ては最前線まで駆け上がってフィニッシュシーンに顔を出すなど、カバーエリアの広さはとにかく驚異的。ポリバレントに起用されていた甲府時代は「もちろん自分の希望はありますけど、『どこのポジションじゃないとやらない』という気持ちもないですし、そういう強いこだわりを持たずにやっています」と話していたものの、もともと自信のあったボランチで一気に開花したのは日頃の努力の賜物だろう。
手塚康平
生年月日:1996年4月6日(22歳)
身長・体重:176cm・66kg
出身地:栃木県
所属クラブ:柏レイソル
ポジション:MF
背番号:17
利き足:左
経歴:柏レイソルU-15→柏レイソルU-18→オネハンガスポーツ(ニュージーランド)→柏レイソル
数多くのタレントを世に送り出してきた柏アカデミー出身者の中でも、いわゆる“最高傑作”になり得る才能を有したレフティ。昨季のプロデビュー戦でゴールを奪うと、そのまま定位置を確保。長短のパスを駆使しながら、グサリと打ち込む縦パスも効果的で、ほとんどミスのないメトロノームのような正確なプレーが、チームにテンポやリズムをもたらしていく。負傷による長期離脱を経て、今はなかなかフル出場するゲームも多くないが「プロになってから凄く練習し始めた」というゴールへの意欲がさらなる結果につながれば、代表の中核を担う日も決して夢ではない。
守田英正
生年月日:1995年5月10日(23歳)
身長・体重:177cm・74kg
出身地:大阪府
所属クラブ:川崎フロンターレ
ポジション:MF
背番号:25
利き足:右
経歴:高槻清水FC→高槻第九中→金光大阪高→流通経済大→川崎フロンターレ
中村憲剛、大島僚太という2人の実力者とともにディフェンディングチャンピオンの中盤を託されている大卒ルーキー。「常に相手の間に入ったり、三角形を作ることや顔を出すことは意識しています」とスタイルに順応している途上ではあるが、守備のバランスを維持する中で、第16節の札幌戦のように得点に絡むプレーも披露し始めている。「1本で打開できるパスを出せれば、あまり憲剛さんを下ろさずに展開できるので、そこは磨きたいですし、あとはシュートやラストパスのような決定的な仕事ができるかだと思います」と話す自身の課題をクリアすれば、その先には確実に代表も見えてくるはず。
翁長聖
生年月日:1995年2月23日(23歳)
身長・体重:172cm・67kg
出身地:兵庫県
所属クラブ:V・ファーレン長崎
ポジション:MF
背番号:28
利き足:右
経歴:加古川神野SC U-12→神野SC→帝京第三高→中央大→V・ファーレン長崎
「長い距離を走って出て行くのが自分の良さだと思う」と語った通り、ハードワークを義務付けられた長崎において、左ウイングバックを任された翁長が有する最大のストロングは90分間のアップダウンを厭わない運動量。“サードストライカー”としてエリア内まで侵入していく攻撃面と、「相手のサイドバックがカウンターで出てくるところに対して、自分は付いていける」と自信を口にする守備面の両面で、確実にその質を高めている。「僕はこのチームで試合に出られることにあぐらをかきたくないんです」という言葉からも、サッカーに対する真摯な姿勢が窺える。
金子翔太
生年月日:1995年5月2日(23歳)
身長・体重:163cm・58kg
出身地:栃木県
所属クラブ:清水エスパルス
ポジション:FW
背番号:30
利き足:右
経歴:今市第三カルナヴァル→JFAアカデミー福島→清水エスパルス→栃木SC→清水エスパルス
以前からJFAアカデミー仕込みのテクニックやサッカーIQには定評があったが、今季は前半戦だけで6ゴール4アシストと完全に覚醒。いよいよ“うまい選手”から“怖い選手”へと変貌を遂げた。清水では右サイドハーフで起用されていることもあって、守備面でもスペースと相手を消すインテリジェンスを発揮しつつ、高いアジリティと運動量を生かして、エリア周辺へ自在に顔を出すタイミングも相手の脅威に。163センチというサイズでの活躍が、多くの小柄な選手へ希望を与えていることは間違いない。
田川亨介
生年月日:1999年2月11日(19歳)
身長・体重:181cm・70kg
出身地:鹿児島県
所属クラブ:サガン鳥栖
ポジション:FW
背番号:27
利き足:左
経歴:雲仙アルディート→サガン鳥栖U-18→サガン鳥栖
昨年は飛び級でFIFA U-20ワールドカップを経験したスケール感満載のレフティストライカーは、今季のJ1ファーストスコアラーでもある。左利きにありがちな右サイドからのカットインよりも、左サイドを縦へ破壊的にぶち抜く方が得意な形で、DFを引きずりながらでもフィニッシュまで持っていく強引さも大きな魅力。その抜群のスピードを生かすには、最前線よりも少し下がった位置に適性を感じる。性格的にも素直で、周囲から愛される要素を持ち合わせており、そういう意味でも世界に羽ばたく可能性を秘めた選手の1人。
古橋亨梧
生年月日:1995年1月20日(23歳)
身長・体重:170cm・63kg
出身地:奈良県
所属クラブ:FC岐阜
ポジション:FW
背番号:11
利き足:右
経歴:アスペガス生駒FC→興国高→中央大→FC岐阜
リーグ戦全42試合にスタメン出場し、6ゴール9アシストを挙げたルーキーイヤーの昨季を経て、今季はすでに第24節終了時で10ゴール6アシストを叩き出すなど、J2屈指のサイドアタッカーへと飛躍した。判断も含めた局面でのプレー精度にはまだまだ向上の余地はあるものの、50メートルを5秒9で駆け抜けるスピードに加えて、テクニックに定評のある興国高校仕込みの技術も持ち味。緩急鋭いドリブルは間違いなくJ1レベルだ。より高まった決定力も頼もしい。ちなみに前述した翁長は中央大学時代の同級生であり、当時は2人で両翼を担うゲームも少なくなかった。代表での“両翼復活”というのもなかなかに夢がある。
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