準決勝の前日練習の様子 [写真]=川端暁彦
「俺たちの戦いはこれからだ」、とでも言うべきシチュエーションだろうか。16歳以下のアジア王者を決定するAFC U-16選手権は、4日に準決勝を迎える。来年のU-17ワールドカップ出場チームはこのベスト4チームということで決定済み。ただし、これはあくまで「最低限のノルマ」(森山佳郎監督)である。ここからが肝心だ。
今大会に入る前から森山監督が強調してきたのは「アジアチャンピオンとしてU-17ワールドカップへ行く」という目標である。その背景にあるのは、自身が監督を務めていた2年前のU-16日本代表がこの準決勝で敗れてしまった事実だ。「(世界大会への)出場権を獲って、どうしてもそこでホッと息を抜いてしまった部分がある」(森山監督)。
その反省を踏まえ、今大会は当初から「アジアチャンピオン」という言葉を多用してきた。準決勝で終わるのではなく、「大きなプレッシャーのかかる決勝戦を選手に経験させてあげたい。1試合ごとに成長できる年代なので、ここからもう2試合あるのと、(準決勝の)1試合だけで終わるのでは大きな違いがある」(同監督)という視点から、この準決勝の勝利にフォーカスし直した。
チームマネジメントの部分でも、ここであえてのターンオーバー策を敢行する。「ベンチでモヤモヤしていた選手のエネルギーを解き放ってもらう」観点から、ここまで試合に出ていなかった第3GK格の佐々木雅士(柏レイソルU-18)、1試合のみの出場にとどまっているDF石田侑資(市立船橋高校)といった幅広い選手にチャンスを与える方針だ。主将のDF半田陸(モンテディオ山形ユース)のような柱となる選手を残しつつ、大幅に入れ替える形となる。
選手視点に立って考えると、この準決勝は世界切符獲得後の最初のゲーム。となれば、世界大会へ向けたサバイバルレースにおける最初の一歩ということになる。「ここまで出場機会が少なかったので、このチャンスで決勝のスタメンもつかみ取れるようなプレーをしたい」とMF三戸舜介(JFAアカデミー福島)は意気込んだように、ここまで出場機会の乏しかった選手たちにはビッグチャンスの到来となる。
対戦相手となるオーストラリアがアジアを代表する強豪であることは言うまでもないが、目指すはあくまでアジアチャンピオン。どうしても何かと先代のU-16日本代表と比較されて悔しい思いをしてきたチームでもあるだけに、結果で上回ることで見返したいという思いも秘めている。
世界への第一歩となるAFC U-16選手権準決勝・オーストラリア戦は、日本時間10月5日17時30分からマレーシアのブキットジャリル国立競技場にて幕を開ける。
取材・文=川端暁彦
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By 川端暁彦