「GEKIRON~激論~」のコーナーでは、放送直前に行われたキリンチャレンジカップ2018、日本代表対パナマ代表について、番組MCの岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がゲストの永井雄一郎氏、市川大祐氏、清水英斗氏と語り合った。
日本はロシア・ワールドカップ出場組の大迫勇也、原口元気、槙野智章が先発。19歳で、この試合が代表デビュー戦となる冨安健洋も先発に名を連ねた。試合は南野拓実と伊東純也が9月のコスタリカ戦に続く2試合連続ゴールを挙げ、終盤にはオウンゴールで追加点を奪い3-0で勝利している。
森保一監督が得意とする3バックの採用も予想されたが、指揮官はコスタリカ戦に引き続き4バックを採用。これについて清水氏はこのような見解を示した。
「前回も4バックだったので今回も4バックだと思いましたが、これから使い分けていくかもしれないです。五輪代表では3バックをやっていますが、五輪代表は東京五輪が最終目標としてあって、暑い環境下での過密日程の戦いになることが分かっています。どの国も運動量が上がらないサッカーになるだろう、というベースがあって、3バックを選択している気がします。A代表の場合、最終目標は(2022年の)カタールW杯。(11月から12月の開催になったため)気候も涼しいし、運動量を上げるサッカーをどのチームもしてくるという最終イメージがあるのかなと予想しています」
永井氏はサイドMFとして先発した原口、伊東のポジショニングに着目した。
「FWの2人(大迫、南野)が縦関係になり、原口選手、伊東選手は中に絞っていました。サイドで起点を作るというよりは、サイドバックが崩しの段階で上がってくるためのスペースを空けておく感じでした。伊東選手、原口選手が中に入って起点を作り、空いたスペースにサイドバックが上がる。サイドから攻撃を仕掛けるというよりは、中に絞って人数をかけて、青山敏弘選手からシンプルに縦パスを入れて、中央から攻める感じだったのかな、と思います」
また、岩政はビルドアップの方法に着目した。
「攻撃になると青山選手か三竿健斗選手がセンターバックの間に入って3バックのような形を作り、そこからパスを打ち込む形が多かった。それをベースとして作っているんだろうなという印象はありました。4バックってセンターバックからサイドバックにボールを渡して起点を作り、そこから組み立てていくことが多いんですけど、森保監督は3バックを好んでいますし、4バックでスタートしましたけど、ビルドアップでは3バックのイメージで、センターバックからパスを入れて行こうというのはありました」
永井氏も「室屋選手が前半(23分)に決定機を作りました。ああいう形を作るためのサイドのスペース、サイドバックで、そこで時間を作る、起点を作るという概念は基本的にはないんだろうなという印象を受けました」と同調した。
一方で岩政は、ボランチの1枚が落ちて3バック気味になり、その前方に残りのボランチが陣取る形について、次のような問題点を指摘した。
「3バック、1ボランチという形を作るところから始めていたんですが、本来は相手を動かすことが目的なのに、ポジションを取るだけで終わることが多かった。この形って前線に人数を掛けられるので面白いんですが、今日は前線でボールを奪われた瞬間にカウンターを受け、自陣に4人しかいない状況が何度かあって、スペースに走り込む相手選手もいて危険だなと思う瞬間もありました。これでチームの枠組みを作っていくと、カウンターを受けやすくなる気がします」
日本は立ち上がりにやや苦戦したが、その理由を永井氏はこう分析した。
「サイドMFに原口選手と伊東選手を置きました。前回(コスタリカ戦)は中島翔哉選手、堂安律選手と、逆足の選手を外に置いて、カットインからのシュートを狙い、空いた外のスペースをサイドバックの選手が使うという形のコンビが多かった。今回は大迫選手に当てたところから攻撃が始まるという狙いがはっきりしていたんですけど、その意識が強すぎて、パナマの選手も狙いやすかった部分はあったかな、と思います。伊東選手は中に入っていって大迫選手と絡みたいというのは見えたんですけど、どこに入っていけばいいのか戸惑い、ちょっと窮屈そうな感じはありましたね」
また、市川氏は南野の先制点の場面を例に挙げ、青山のポジションについてこのように提言した。
「青山選手が低い位置でボールを受ける時と、もう一つ高い位置に入った時とで攻撃の質が全く違いました。青山選手、三竿選手のパス交換は前半あまりなかったので、そこでもう少しリズムを作ってからダイレクトで縦パスを入れる展開がほしいですね。得点シーンはボールを奪って一発で南野選手に通りましたけど、ああいう位置にパスを出せる選手がいるのは非常にいい展開でした」
FWが本職の永井氏も「FWとしては『ここ』というタイミングで出してほしい。パスが出てくるかどうかは別として、まずは見てくれているかどうかが大事。動き出しをやり続けるきっかけになります。そう考えると、青山選手はなるべく前でプレーするようにすべきだと思います」と同調した。
番組公式ツイッターには「アジアカップに向けて 最もアピールに成功した選手は誰ですか?」という質問が寄せられたが、これに対しては満場一致で南野の名前が挙がり、岩政はその理由をこう語った。
「2列目の選手は多少、試している部分もあると思うんですよね。彼らにアジアカップを任せていいのかを見ていると思うので、そこで2試合連続ゴールを取ったというのは、アジアカップまでは彼で行くというのを示せたゴールだったのかなと個人的には思います」
毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は10月19日(金)21時からのオンエアとなり、キリンチャレンジカップの日本対ウルグアイ戦のレビューやルヴァンカップ準決勝第2戦のハイライト、J1第30節柏レイソル対名古屋グランパスの試合直後レビューなどが放送される予定となっている。
By サッカーキング編集部
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