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4年間の悔しさを糧に…南野拓実が見せる香川真司とは異なるエース像

2018.10.17

3試合で4ゴール。森保ジャパン発足後、南野拓実は早くも結果を残している [写真]=Getty Images

「3試合連続ゴール? もちろん狙っていきます」。南野拓実は試合前から高い意欲を口にしていた。

 森保一監督率いる新生・日本代表発足後、9月のコスタリカ戦、10月12日のパナマ戦と2試合連続でゴールを記録していた。かつて、新監督就任直後に3試合連続ゴールを決めた日本代表戦士は呂比須ワグナー、岡崎慎司の2人のみ。今回の相手がFIFAランキング5位のウルグアイ代表ということを鑑みても、そのハードルは高いと思われていた。ところが、超満員の大観衆で膨れ上がった埼玉スタジアムで、彼はいとも簡単にその記録を達成してしまったのだ。

南米の強豪相手に決めた衝撃の2ゴール

ウルグアイ戦では2得点をマークし、チームの勝利に大きく貢献 [写真]=Getty Images

 開始10分、中島翔哉がボールを持った瞬間、南野はディエゴ・ゴディンを背にボールを呼び込んだ。中島の鋭い縦パスを受けると、世界有数のDFを1タッチでかわしてエリア内に侵入。そのままサポートに来たDFも簡単に剥がし、右足のシュートでネットを揺らした。

 試合後、「翔哉が右足でボールを持ったらクロスも上げられるし、パスもつけてくれるというのは試合前に話していた。自分も狙っていたところなのでターンからイメージ通りにできてよかったです」と嬉しそうにコメントした。

 勢いはこの1点にとどまらなかった。66分、今度は堂安律が放ったシュートのこぼれ球に反応し、この日2点目を叩き込んだ。結果的にこれが決勝点となり、4-3という壮絶な打ち合いの末、南米の強豪から金星を挙げた。

「アジアカップまでのサバイバルの中で監督にアピールできたのは1つよかったかなと思うし、それが勝利につながって本当に良かった」。新チーム発足後、3戦4発。セレッソ大阪時代からの先輩・香川真司も成し得なかったゴールラッシュで新エースとしての期待が高まっている。


新チーム発足後3戦4得点も「まだ全然」

[写真]=Getty Images

 レギュラー争いが激化する日本代表で早くも結果を残した。それでも本人は「(代表での存在を語るのは)まだ早い。代表エースの手応え? 全く。まだ全然」と一蹴した。相変わらず謙虚で結果にこだわる姿勢は変わらない。だが、すでに十分な風格が漂っている。

 ウルグアイ戦前日には「真司君のプレーをそのまま真似するわけではないので、自分は自分なりにやっていきたい。僕は新顔の選手ですし、思い切りプレーしようっていうのが一番です」と強調していた。香川は今後、日本代表でポジションを競うであろうライバルだ。しかし、両者のプレーには相違がある。ドルトムントでインサイドハーフやボランチの一角に入ってつなぎ役を担うことがある香川に対し、南野は完全なるゴールハンターだ。

「僕は前でもトップ下でもサイドでもどこでもできる」と本人は話すが、得点の印象がとにかく強い。ザルツブルクでは過去4シーズンで2度の2桁得点を記録。ヨーロッパリーグ(EL)ではラツィオやセルティックといった強豪クラブ相手にゴールを奪った実績もある。とはいえ、森保ジャパンに初合流した9月は、前監督たちに代表招集を見送られ続けたこともあり、自身の代表におけるパフォーマンスに半信半疑の部分が少なからずあったはずだ。それでも、こうして結果を出し続けることで「自分は日の丸をつけてもやれるんだ!」という自信を日に日に深めている。

 南野本人も前向きだ。「前回の代表帰りから自分のコンディションが上がっているなと感じていたので、今回もその勢いをこの試合も持っていければ良いと思ってましたけど、それを継続してできたのは良かった」。

悔しさを糧に新たな攻撃陣の大黒柱へ

[写真]=Getty Images

 10代の頃から日の丸を背負い、海外遠征を繰り返してきた選手ならではの慣れがあるのかもしれない。守備面でもハードワークを怠らず、ウルグアイという強豪から2点を叩き出した。中3日のハードスケジュールの中で2戦連続でフル出場し結果を残した。2019年1月に開幕するアジアカップを視野に入れても、長距離移動や過密日程に動じないタフさも心強い限りだ。

 そういったタフさは、19歳で単身オーストリアへ赴いて経験した悔しさがあってこそ。A代表に呼ばれない状況下でサッカーとドイツ語の勉強に明け暮れ、ケガを乗り越えた4年間――。紆余曲折を味わった経験値は必ずや新生日本代表のプラスに働くだろう。

香川真司がいなくても南野拓実がいれば日本代表は大丈夫」という評価を不動にするべく、ザルツブルクでリーグとELでしっかりと結果を残し、11月の代表戦でさらなる逞しさを示すこと。新たな攻撃陣の大黒柱たるべき男には、そういう目覚ましい大躍進を強く望みたい。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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