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流暢な英語を操る若きキャプテン・齊藤未月が明かした“エース封じ”の一端

2019.05.29

10番を背負う齊藤未月はキャプテンとしてU-20日本代表を牽引している [写真]=Getty Images

 キャプテン・齊藤未月湘南ベルマーレ)はポーランドの地で安堵感をにじませた。

「メキシコの布陣が予想と違ったけど、カゲさん(影山雅永監督)が『相手(の中盤)はダイヤモンド』だと伝えてくれて、すぐ対応できました。そこから相手が本来の4-4-2に戻したけど、あまりうまく行ってなくて、むしろ自分たちがやりたいことをやれるようになった感じです。試合前から『今日勝ってこそ、エクアドル戦の勝ち点1が効いてくるんだ』と秋葉(忠宏コーチ)さんに言われていたけど、それを意識して戦ったことが勝ち点3につながったと思います」

 U-20ワールドカップ参戦中の影山ジャパンは26日、グループステージ第2節・メキシコ戦を3-0で快勝。勝ち点を4に伸ばし、ラウンド16入りに大きく前進した。

 相手の出方が想定外だったことから、序盤はベティスでプレーする新星FWディエゴ・ライネスを捕まえきれずに苦しんだ。それでも、前述の通り、齊藤はすぐさま修正を図り、中盤をコントロール。今大会で初めてボランチコンビを組んだ藤本寛也(東京ヴェルディ)との距離感やバランスも効果的になっていった。

 ライネスが時間帯や状況に応じてトップ下の位置に移ると、齊藤は166㎝の小柄な体を激しく寄せて自由を与えなかった。前半終了間際にはスライディングタックをお見舞い。影山監督も「(タックルの)3秒前あたりから『こりゃ行くな』と思った。野生のトラみたいに構えていたから。ワイルドだよね」と評していた。警告を受けたこと自体は先々を考えると痛いものの、「そう簡単にはやらせない」という強い意思と闘争心を前面に示したことには大きな意味があった。

「メキシコはロングボールを蹴って、セカンドを10番の選手(ライネス)が拾う形が多かった。それに対して、僕らボランチは自分たちがプレッシャーをかけるのも大事ですけど、後ろの選手を戻してセンターバックが競ったセカンドを拾うこともやらないといけないと感じていました。ただ、競ったボールが遠くに飛ばせず、相手に何回かチャンスを作られましたけど、最終的にゼロで抑えられたのはよかったと思います」

 エース封じの一端を明かした齊藤は、頭脳的なプレーで自身の役割を確実に遂行してみせた。23日のグループステージ初戦・エクアドル戦での目覚ましいパフォーマンスを含め、今の影山ジャパンは彼の存在なしには成り立たないと言っても過言ではない。

過去の先輩たちと通ずる特異な能力

メキシコ戦では相手のエース、ディエゴ・ライネスを封じ、快勝に貢献した [写真]=Getty Images

 2戦続けてハードワークを続けられるのも、曺貴裁監督率いる湘南ベルマーレで鍛え上げられてきた強靭なフィジカルの賜物だろう。「さすがに今回のメキシコ戦は中2日ということで体が重かったし、前日までは『次はどうなるのかな』という感じはありました。今日になってそれなりに体が戻ってきましたけどね」と本人は苦笑いしたが、絶対的な走力と運動量は短期決戦の世界大会を戦い抜く上で、大きな武器になるはずだ。

 加えて、齊藤には国際舞台でも全く物怖じしないメンタリティを備わっている。その土台となっているのが英語力。幼稚園から小学校卒業まで湘南インターナショナルスクールに通っていたため英語が堪能で、海外でも日本にいる時と同じような感覚で過ごすことができるという。ピッチ上でも自然体でプレーでき、試合後には外国人メディアのインタビューにも堂々と答えられる。メキシコ戦後も取材ゾーンで戦術的な質問を受け、爽やかな笑顔で回答していた。

「意図せず視野が広がるし、審判とのコミュニケーションも図れるのは大きいと思います。最近はVARだったり、いろいろルールも変わっているし、実際に試合中も話をする場面が多かった。言語で苦戦する選手が多い中、英語で意思疎通できるのは自分の武器だと思います」と本人も前向きに語っていたが、それがチーム全体の安心感につながっている部分もあるだろう。

 過去のA代表のキャプテンを振り返っても、2006年ドイツ・ワールドカップでチームを統率した宮本恒靖(現・ガンバ大阪監督)や、吉田麻也(サウサンプトン)は流暢な英語を操るし、ワールドカップ3大会で日本代表を牽引した長谷部誠(フランクフルト)もドイツ語を自由に話せる。彼らは単に外国語力があるだけでなく、その能力を駆使しながら、外国人監督やメディア、関係者と要所要所で意思疎通し、チームを取り巻く環境を円滑にしようと努めてきた。カテゴリーこそ違うものの、齊藤も同じ行動を取れるタイプと考えていい。

 そんなキャプテンにとっては、これからが本当の戦い。まずは29日のイタリア戦に向け、チームの状態をより一層引き上げ、確実に16強入りを果たすことが肝要だ。そこから先は気の抜けない大勝負が続く。そして、難しいゲームになればなるほど、リーダーの役割は重要性を増していく。そこで背番号10をつける齊藤がどんな一挙手一投足を見せてくれるのか。「いずれ海外でプレーしたい」と熱望する小兵ボランチの真価が今こそ問われようとしている。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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