過去のコパ・アメリカでは信じられないような出来事が起きてきた [写真]=Getty Images
6月14日にブラジルでコパ・アメリカが開幕する。同大会は、1916年に第1回大会が開催された世界最古の大陸選手権。100年以上の歴史を持つだけに、偉大な記録の誕生はもちろんのこと、南米ならではの珍事も数多く起こってきた。そこで今回は、コパ・アメリカをより深く楽しむべく、過去20年間の大会で起こった出来事をまとめてみた。
写真=ゲッティイメージズ
開催権を交換
開幕まで2週間を切ったが、今大会の開催国選定を巡っても珍事が起きていた。そもそも、コパ・アメリカの開催権は、南米サッカー連盟(CONMEBOL)の加盟国でアルファベット順の持ち回り制を採用。そのルールに従えば、ブラジルの開催は本来2015年となるはずだった。しかし、2013年はコンフェデレーションズカップ、2014年はワールドカップ、2016年はリオデジャネイロオリンピックと国際的なスポーツイベントが立て続けに開催されることから、ブラジル国内で反対意見が続出。もともと2019年の開催が予定されていたチリのサッカー連盟とブラジルサッカー連盟とが協議した結果、お互いの開催権を交換する形で決着がつき、2015年はチリ、2019年はブラジルでコパ・アメリカが開催されることとなった。なお、“アルファベット順”のルールは変更となり、来年開催される第47回大会はアルゼンチンとコロンビアの共催となることが決定している。
国歌を取り違え
CONMEBOLの創立100周年を祝う「特別大会」として、初めて南米を飛び出し、アメリカ合衆国で開催された前回の2016年大会。グループステージ第1節のウルグアイ代表対メキシコ代表では、試合前にありえない出来事が起こった。ウルグアイの国歌が流れる場面で、誤ってチリの国歌が流れてしまったのだ。この事態にウルグアイ代表のコーチ陣は不快感を示し、FWルイス・スアレスら、選手たちもそれぞれ困惑した表情を浮かべた。しかも、途中で訂正されることなく、チリ国歌が最後まで流れたうえで、試合が始まってしまった。大会組織委員会はすぐに声明を発表し、人為的ミスが原因だったとして謝罪。とはいえ、ウルグアイの選手たちは動揺を隠せず、前半の間に退場者を出して、1-3で敗れた。とんでもない失態に非難が殺到したのは当然だった。
メッシの代表引退宣言
前回大会の最大の事件と言えば、決勝後にリオネル・メッシが行った“代表引退宣言”だろう。アルゼンチンは2年連続でコパ・アメリカ決勝の舞台に辿りついたものの、PK戦の末にチリ代表に敗れ、2大会連続の準優勝に終わった。2014年のブラジル・ワールドカップから3年連続で国際大会のタイトルを逃した失望感により、メッシは代表引退を表明。世界中に大きな衝撃を与えた。しかし、チームメイトや指揮官らの説得などもあり、その2カ月後に引退発言を撤回し、代表復帰を果たした。
飲酒運転事故で涙の謝罪
チリで開催された2015年大会では、同国代表MFアルトゥーロ・ビダルが“やらかした”。大会期間中に与えられたオフに夫人とカジノを訪れたが、その帰りに車の衝突事故を起こしてしまったのだ。幸い、軽症で済んだものの同選手からは基準値を上回るアルコール量が検出。飲酒運転で警察に身柄を拘束された。翌日、会見を行ったビダルは涙ながらに謝罪。「申し訳ありません。事故は自分のせいで起きた。妻や多くの人を危険にさらしてしまい、後悔している」とコメントした。当時のチリの法律では、血中アルコール濃度が0.8ミリ以上を示せば、最低でも541日間にわたって収監されることになっていた。また同国サッカー協会の内規においても、代表50試合の出場禁止など厳しいルールが設けられていた。しかし、ホスト国として負けられないという特別な事情があったためか、ビダルにはいずれの罰則も適用されず。運転免許は没収されたが、代表チームから追放されることもなく、ピッチ上で優勝の瞬間に立ち会った。
ピッチ上で性的嫌がらせ!?
ビダルの騒動も大ごとだったが、同僚のゴンサロ・ハラが行った“嫌がらせ”は、世界中で物議をかもした。2015年大会の準々決勝では、チリとウルグアイが対戦。その後半途中、ハラはウルグアイのエディンソン・カバーニに接近すると、相手の肛門に指を突っ込んだ。この挑発に怒ったカバーニはハラの顔を手で払って2枚目のイエローカードをもらい退場に。試合は数的優位を活かしたチリが1-0の勝利を飾ったが、ハラの悪質行為に対しては各国の選手や監督から非難の言葉が殺到した。後日、CONMEBOLは「反スポーツ行為」だとして2試合の出場停止処分と罰金処分を発表。ハラは事実上、大会から追放されることとなった。
親子三代でのコパ制覇
東日本大震災の影響によるJリーグ日程変更の影響などもあり、日本が出場を辞退した2011年大会。頂点に立ったのは、歴代最多15度目の優勝を飾ったウルグアイだった。パラグアイとの決勝戦で2ゴールを決めたディエゴ・フォルランにとっては、ウルグアイ代表監督として1967年大会を制した母方の祖父フアン・カルロス・コラソと、同じ大会に選手として参加した父パブロ・フォルランに続き、三世代でのコパ・アメリカ制覇を達成。優勝決定後、フォルランは「三世代でこのトロフィーを勝ち取った。フォルランの名が歴史に刻まれるだろう」と喜びを語った。
空軍が出場国をサポート
2001年のコロンビア大会では、前代未聞の出来事が起こる。安全面の懸念から、開催が一旦中止に。その後、決定が覆されて開催が実現したが、招待国として参加する予定だったカナダが出場を辞退。さらに、選手たちが複数のテログループから脅迫を受けているとして、アルゼンチンも開幕前日に出場を取りやめることを正式発表した。そのため、コスタリカ、そしてホンジュラスが急遽招待され、ホンジュラスに至ってはコロンビア空軍の提供した軍用機で初戦の数時間前に試合会場に到着した。バタバタとした開幕になったものの、その後は大きな事件が起こることなく全日程を消化。ホンジュラスにとっては同大会が唯一のコパ・アメリカ参加となったが、3位に入る健闘を見せた。
初の“アメリカ大陸外”の国として出場
日本はコパ・アメリカに過去1度だけ出場している。今から20年前の1999年、パラグアイで開催されたコパ・アメリカに招待国として参加した。フィリップ・トルシエ監督に率いられたサムライジャパンはペルー、パラグアイ、ボリビアの3カ国と対戦。1分け2敗とグループ最下位での帰国を余儀なくされたが、初めて北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)以外から招待された国となった。アメリカ大陸以外の国がコパ・アメリカに参加したのは、過去45回の開催で日本だけである。なお今大会は、“史上2カ国目”としてカタールがコパ・アメリカ初参戦を果たす。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia