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「僕のところで全部潰す」…植田直通が挑む代表生き残りへの戦い

2019.06.17

[写真]=Getty Images

「チリとやると聞いて、僕もその選手が頭に浮かんだ。映像を見たりしたけど、出てきてくれれば僕もすごくうれしいし、動き出しの面はやっぱりトップクラス。そういう相手とできるのはなかなかない経験なので、抑えるために自分がどういう動きをしなきゃいけないのか頭の整理をして、対応していきたいと思います」

“その選手”とはチリ代表のエースFWアレクシス・サンチェスのことだ。コパ・アメリカグループステージ初戦を控え、植田直通は相手エースとのマッチアップへ目を輝かせた。

 日本代表はここ3日間、非公開練習が続いている。森保一監督が誰をスタメンに抜擢するのか、3バックと4バックのどちらを採用するのかも不透明な状況だ。が、ロシア・ワールドカップにも招集されるなど、経験十分の植田を起用しないことは考えにくい。仮に出場した場合、3バックの右DFとしてサンチェス封じの大役を担うことになるだろう。

 ロシアW杯後に赴いたベルギーでは、リーグ戦26試合に出場し、1ゴールをマークした。前半戦はフル出場が多かったものの、後半戦は欠場も増え、鹿島アントラーズ在籍時のようなフル稼働は叶わなかった。

 それでも「つねに練習から外国の選手とやれてるってことがすごく大きいと思うし、試合でもいいチームがたくさんある。僕は日本で強さの部分を持ち味にしていた部分がありましたけど、そこにもっと磨きがかかったと思う。ベルギーには動き出しがいい選手は少ないけど、そこに対してもいろいろ考えながらやってきた。生活面を含めて、色々な面で成長していると思うので、自分がどこまでやれるか確かめたい」とタフな経験を積み重ねた24歳の大型DFは、自身の進化を表現しようとしている。

「3バックがどういう動きをしているか確認した」

ロシアW杯後に赴いたベルギーでタフな経験を積み重ねてきた [写真]=Getty Images

 その舞台となるのがコパ・アメリカだ。森保ジャパンに招集されるのは、新体制の初陣となった9月以来だが、「これまでも代表の試合は見れる時は見ていたし、この前のキリンチャレンジカップもしっかり見て、3バックがどういう動きをしているかの確認はした。自分が出た時のイメージもできているんで、問題ないと思います。相手が3トップで来る場合、3バックだと1対1の局面が多くなるけど、僕のところで全部潰せればいい。そういう考えで僕はいるんで」と守備面での貢献を誓った。

 鹿島時代はスピードや駆け引き以上に、ヘディングの競り合いに絶対的自信を持っていた。ところが、チリのアタッカー陣はサンチェスを筆頭に、切れ味鋭い動きで打開する選手が揃っている。そういう相手を封じることができれば、植田自身の成長が見込めるし、日本代表の勝利にもつながる。

 強烈なアピールを見せられなければ、代表での生き残りは厳しくなる。現在の森保ジャパンのセンターバックの顔ぶれは、吉田麻也や昌子源、槙野智章のロシア組に加え、冨安健洋、畠中槙之輔、中山雄太など成長著しい選手たちがひしめき合っており、植田の定位置は何も保証されていない状況だ。

「僕がもっとチームを引っ張っていきたい」

代表生き残りへ、コパ・アメリカはアピールの舞台でもある [写真]=Getty Images

 森保監督はサンフレッチェ広島を率いていたときから、DFにもビルドアップや展開力を求めてきた。南米の強豪たちを相手に最終ラインから攻撃を仕掛けることができれば、植田の序列が一気に上がる可能性もあるだろう。そういう意味でも、スタメンが有力視されるチリ戦は最高の試金石だ。10代の頃から規格外の身体能力を誇る男がブレイクしてくれれば、代表にとってこの上ない好材料となる。

「今回のチームは若いですし、年齢を考えても、僕がもっとチームを引っ張っていきたいという思いがある」と本人は川島永嗣や岡崎慎司、柴崎岳らとともにフレッシュな面々をけん引していく覚悟も口にした。さまざまな思いを持ってブラジルの地にやってきた植田には初戦の舞台、モルンビー・スタジアムのピッチで雄姿を見せて、日本勝利の原動力になってもらいたいものである。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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