カンボジア戦は4-0で勝利
「2年ぶりの国際試合、やはりユニフォームを着て、国歌斉唱をして、ピッチに立った瞬間、やはり硬さが見られた」
U-22日本代表を指揮した冨樫剛一監督は、AFC U23アジアカップ予選のカンボジア戦を4-0の勝利で終えたあと、開口一番にそんな感想を漏らした。実際、選手からもそんな言葉がきこえてきた。
「前半はあまり足元の感覚がないという感じでした」(MF松木玖生=青森山田高校)
「最初は動きが硬くて自分のドリブルもうまくいかなかった」(MF甲田英將=名古屋グランパスU-18)
「ちょっと緊張していた」(DFチェイス・アンリ=尚志高校)
強風やピッチ状態の問題があったとはいえ、少し考えられないような技術的ミスが出ていたほか、「大事にプレーをしようとか、少し正解を探しながらプレーしていた」と、冨樫監督が振り返ったように、判断が遅くなったり悪くなったりというシーンも目についた。
この年代の代表にとっては2年ぶりの国際試合の公式戦ということもあるし、その間に新しく台頭してきた選手、たとえば前線の中央を担ったFW細谷真大(柏レイソル)も代表の国際試合は今回が初めて、左ウイングに入った佐藤恵允(明治大学)は国際試合をすること自体が小学生以来といった中で、君が代を聴いて試合に臨む代表公式戦独特の空気に呑まれてしまった印象は否めない。
そして、だからこそ、ここで体感できたことに意義があったとも言えるだろう。
試合としては、独特の緊張感がある中でも、セットプレーから青森山田で10番を背負う松木が開始9分という時間で先制点を奪えたのは大きかった。不用意なミスが絡んでピンチになるシーンもあったものの、前半のアディショナルタイムには甲田、そして後半開始早々の52分には細谷、さらに73分には交代出場のMF中村仁郎(ガンバ大阪ユース)がゴールを沈めて快勝。4点中3点が年少の高校生によるもので、冨樫監督の抜擢に若い力が応える形となった。
試合前日になってようやく招集メンバー全員が揃うという、ある意味で代表チームらしい状況の中、4-3-3の新しいシステムも含めてぎこちない部分が出たのも織り込み済み。そうした代表チームならではの難しさを肌で感じさせることも、「未来のA代表」(冨樫監督)である彼らにとって必要な経験だろう。
中1日で迎える28日の香港戦は、学生組が中心となったこの試合から一転、MF郷家友太(ヴィッセル神戸)らJリーグに出場している選手たちが先発のピッチに立つこととなりそうだが、年下の選手たちの躍動を見ながら思うところがあったであろう彼らの爆発にまた期待したい。
取材・文=川端暁彦
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By 川端暁彦