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三笘薫の先発起用に期待!勝利求められるスペイン戦、左サイド切り裂き真価発揮を

2022.12.01

[写真]=Getty Images

「スペインは非常に戦術的に、そしてテクニカルに、戦える素晴らしいチーム。ルイス・エンリケ監督の下、ダイナミックさと戦術的な部分を全て持ち合わせています。スペイン戦が特別ということではないですが、しっかり戦える選手がいるからグループステージ突破ができると思っている。自分たちの力を100%発揮してほしいと思います」

 森保一監督が30日の前日会見でこう語ったように、12月1日のFIFAワールドカップカタール2022グループE最終節のスペイン戦が日本サッカー界の真価が問われる一戦になるのは間違いない。

 ここで敗れて4年3カ月の活動が終わってしまうのか、それとも勝利して先への挑戦権を手にできるのか…。ドイツvsコスタリカの結果次第では引き分けでも生き延びる可能性はあるものの、ここまで来たら攻めの姿勢を前面に押し出し、勝ち切るしかない。

 そこで注目されるのが、ここまでジョーカーと位置づけられてきた稀代のドリブラーである三笘薫の起用法。「戦術・三笘」と指揮官も認める傑出した局面打開力と決定力を備えた男を後半から投入し、一気に流れを引き寄せたいという思惑はよく理解できる。

 しかしながら、スペイン戦は先手を取られたら確実に追い込まれる。だからこそ、あえて彼を頭から投入し、敵を凌駕する戦いを挑むのも一案ではないか。

 彼自身も闘志をみなぎらせている。

「チームとして動いてますし、監督のプランなので、尊重しないといけない。どちらにしても自分はプレーできますが、与えられた役割の中で全力を出し切りたい。スタメンであればバトンタッチしないといけないですし、途中であれば結果が求められる状況が多い。そこでコスタリカ戦のようなプレーではなく、ドイツ戦のように勢いをつけれるようにしたいなと思ってます」

 その上で、三笘がマッチアップするのは、ダニエル・カルバハルかセサル・アスピリクエタのどちらかだろう。

 左SBジョルディ・アルバのような派手なオーバーラップはしないものの、カルバハルは攻守両面で安定感がある。アスピリクエタもベテランならではの老獪さと戦術眼、守備力を兼ね備えている。

 三笘にとっては2人とも難敵だろうが、まずは相手ビルドアップをしっかりとケアし、高い位置でボールを奪って、得意な形に持ち込んでいきたい。

「(2人は)世界的に見てもなかないない選手だし、全てのクオリティが高い。でも自分の特長を出せればチャンスはある。駆け引きしながら、周りとの連携もしながら、コスタリカ戦のような形に何回か仕掛けれれば、というところはイメージしていますけど、そういったところでゴールにつなげれるプレーをしないといけないと思います」とよりフィニッシュを意識しながらグイグイと前へ突き進むイメージを持ってプレーするという。

 ボール支配率はよく考えて3対7、悪く転がればドイツ戦ように2対8くらいになると目される中、サイドアタッカーも凄まじい守備負担を強いられるだろう。それでも、プレミアリーグで先発から出るようになった今、相応のフィジカル強度は出せるはず。それを実践してこそ、三笘はもう一段階上のステージに到達できる。高い志を持って挑むべきだ。

 コスタリカ戦では相手の右ウイングバックにマンマークされ、仕掛けた時には2枚がかりでケアされるなど、背番号9の突破力への警戒体制は日に日に高まっている。格上スペインもどこまで対応してくるか分からないが、三笘はより賢くプレーを選択していかなければならない。

「(コスタリカ戦では)相手が2人来れば周りを使おうというところと、行くところは行こうと考えていました。チームとしては後半勝負というところがありましたけど、前半の戦い方や試合の入りもそうですし、シンプルに気持ちのところで上回られた。その反省を生かさないといけない」と本人もコスタリカ戦の教訓を生かして、頭から高い強度で入る覚悟を固めている。

「(前の試合は)チームとして試合が終わった後にやりきれない気持ちは全員にあったと思う。それは僕自身もそう。自分の持ち味を出し切れない、チームとしてうまくいってないのは日本の皆さんも期待してない。『やり切って、全部出し切ってプラン通りに進めたけど負けた』というなら、まだ認めてくれるところはありますけど、コスタリカ戦のような戦いでは認めてくれない。もう試合が終わった後にどういう反応をしてくれるかというところだと思っています」

 ゆえに、スペインを驚かせるようなスタートダッシュを切ること。そしてハードワークを続けること。その先に日本の下剋上が見えてくる。底力を示すべき時だ。

 思い起こすこと1年4カ月前の東京五輪準決勝のスペイン戦ではまさかのベンチ外。体調不良があったにせよ、日本の切り札と位置づけられた男にとっては大きな挫折に他ならなかっただろう。

 そこからベルギーのロイヤル・ユニオン・サンジロワーズで海外キャリアをスタートさせ、日本代表デビューを果たし、夏にプレミアリーグのブライトンへステップアップ。さらには日本のエース級と位置づけられる存在になるなど、短期間に劇的な飛躍を遂げてきた。

 その経験と実績、自信を全て結集し、スペイン相手に目に見える結果を残してこそ、三笘は世界トップへの足がかりを築ける。

 日本サッカー界のため、そして自分自身のために、千載一遇の好機を逃してほしくない。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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