森保監督、トルシエ率いるベトナム警戒「丸裸に」　欧州視察で印象に残った試合とは？

　日本代表を率いる森保一監督は12日、ヨーロッパ視察から帰国し、取材に応じた。

　約1カ月のヨーロッパ視察では各国を回ったが、一番印象に残った試合としては、ブライトンとマンチェスター・UのFAカップ準決勝（4月23日／0－0 PK 6－7）が最初に思い浮かんだと回答。「両チームが素晴らしいプレーを延長、PK戦含めて見せてくれましたし、その中で三笘（薫）が世界のトップクラスの戦い中で、日本人選手として存在感を見せてくれたのはすごく印象に残っています」と説明した。

　1月末からの視察ではドイツ中心だったこともあり、今回の視察ではポルトガルやスペイン、スイス、ベルギーなどを名波浩コーチ、前田遼一コーチと手分けしながら視察していくとしていたが、渡欧前に「話ができる機会があれば」としていたセルティックの視察は、名波コーチと前田コーチがスコティッシュカップ準決勝のレンジャーズ戦（4月30日、1－0でセルティック勝利）が訪れたと話すにとどめた。

　ヨーロッパ視察からの帰国前にはカタールに滞在。AFCアジアカップカタール2023の組み合わせ抽選会に参加した。日本はベトナム、イラク、インドネシアと同組となったが、「どこと同じグループになっても厳しい戦いには変わりないと思いましたけど、改めてイラク、インドネシアそしてベトナムと同じグループになって厳しい戦いが待っていると思います」と引き締め、3カ国の印象を次のように話した。

「イラクはポット1に入っておかしくないチームだと思いますし、インドネシアやベトナムはアジアの中でも非常に力をつけているチーム。ベトナムとは前回のアジアカップであったり、アジア最終予選で3度対戦していますが、勝った試合も1点差。最終予選の最後の試合では引き分けで終わっているので、非常に厳しい戦いになると思います。さらにベトナム代表の監督は（元日本代表監督のフィリップ）トルシエさんがされているということで、日本のことを熟知している監督でもあると思いますし、いろんな対策を講じてくると思います。その上を行けるように我々もベーシックなコンセプトと、試合の中で起こり得ることへのベースプランをしっかりと持って試合に臨みたいと思います」

　トルシエ監督は東南アジアのチームが参加するスポーツ大会のSEA Games 2023を戦っているため、抽選会は不参加。「ベトナムと当たるとわかったときに何か運命的なものを感じました。日本サッカーをすごく見ている方ですし、去年6月もブラジル戦のときに国立でロッカールームまで来てくださって、話をしてくださったり、我々は本当に丸裸にされているので。でも、そこでまた勝っていく楽しみもあります」と森保監督は印象を話している。

　日本は6月15日にエルサルバドル代表（豊田スタジアム）、20日にペルー代表（パナソニックスタジアム吹田）でキリンチャレンジカップ2023を戦う。カタールW杯後、新たに始動したチームは3月の初戦を1分1敗で終えたため、勝利を日本に届けたいところ。個人的に話すことができた選手たちからも「うまくいかなかった部分はあったが、現時点でいろいろなトライするということは、選手たちも納得しながらやりたいと。これまで通りのものしかないことよりも、これからどれだけ生かせる選手、オプションを作れることが大切だということは、選手たちも言ってくれていました」という話ができつつ、「私も選手も同じ意見で、どんな状況の中でも代表として戦う上で、誰が出ても、どんなトライをしたとしても、勝利できるように力をつけなければいけない」と、目の前の試合の勝利を求めると続けている。