2023シーズン限りで現役引退を発表した名選手[写真]=Getty Images
9日、元日本代表MF遠藤保仁が2023シーズン限りで現役を引退することを発表。これで横浜フリューゲルス(1998年解散)に在籍したことのある選手全員が国内トップレベルの現役から離れることになり、“一時代の終焉”を迎えた。
ここでは、2023シーズン限りで惜しまれつつもスパイクを脱いだ名選手たちを一部紹介したい(敬称略/シーズン途中は含めない)。
元日本代表
正確無比なキックと戦術眼で日本サッカー史に名を刻んだ“マエストロ”が、プロキャリア26年に終止符を打った。1998年に鹿児島実業高校から横浜フリューゲルスに入団すると、その後は京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)、ガンバ大阪、ジュビロ磐田でプレーした。とりわけ、ガンバ大阪在籍時の2014シーズンは史上2クラブ目の国内3冠達成に大きく貢献するとともに、同シーズンのJリーグ最優秀選手賞を受賞。Jリーグ通算776試合に出場し113得点154アシストを記録した他、J1リーグを2度、ルヴァンカップを2度、天皇杯を5度、AFCアジアチャンピオンズリーグを1度制するなど、数々のタイトルを手中に収めた。
また、日本代表としても、2002年のデビュー以降、通算152キャップを保持。ワールドカップには3度出場し、2010年南アフリカ大会のグループステージ最終節デンマーク戦では、決勝ラウンド進出へと導く直接フリーキックを決めた。
日本が世界に誇る“天才”は浦和レッズでプロキャリアを始め、フェイエノールト、ボーフム、清水エスパルス、ウェスタン・シドニー、北海道コンサドーレ札幌、FC琉球と4カ国7クラブでプレーした。とりわけ、フェイエノールト在籍時代にはUEFAカップ(現:ヨーロッパリーグ)優勝を経験し、同年度のアジア年間最優秀選手賞を受賞している。
日本代表としては、通算56試合に出場し6得点を記録。FIFAワールドカップに3度出場した他、2000年のアジアカップ優勝にも貢献した。1999年に行われたFIFAワールドユース選手権(現:FIFA U20ワールドカップ)では、本山雅志、稲本潤一、遠藤保仁、小笠原満男らが揃った“黄金世代”の主将を務め、準優勝という快挙達成に導いた。
元日本代表FW高原直泰は、自身が代表取締役および監督を務める沖縄SVで現役の最後を迎えた。東海第一中学校や清水東高校を経て1998年2月にジュビロ磐田に入団しプロキャリアをスタートさせた“生粋の点取り屋”は、途中ボカ・ジュニオルスへのレンタル移籍を経験しつつ、磐田で主軸として公式戦通算130試合に出場し66ゴールをマーク。2002シーズンにはリーグ戦26ゴールの活躍でMVPと得点王を受賞し、チームの“完全優勝”に大きく貢献した。
2003年1月にはハンブルガーSVに完全移籍で加入し、ヨーロッパデビューを果たすと、約3年半の在籍で公式戦通算119試合出場16ゴール7アシストを記録。2006年夏にはフランクフルトに移籍し、2006-07シーズンのブンデスリーガでは30試合の出場で11ゴールを挙げる活躍を見せた。2008年1月に浦和レッズに加入してJリーグ復帰を果たすと、その後は水原三星ブルーウィングスや清水エスパルス、東京ヴェルディ、SC相模原などを渡り歩いた。
2016年からは自身が創設した沖縄SVで代表兼監督兼選手として活躍。チームをJFL参戦に導く傍ら、コーヒー栽培などの様々な事業を現在に至るまで展開している。
また、2000年4月にデビューを飾った日本代表では、国際Aマッチ通算57試合に出場し23ゴール3アシストをマーク。エコノミークラス症候群を発症した影響でFIFAワールドカップ日韓2002ではメンバー外となったものの、FIFAワールドカップドイツ2006では全3試合に出場。また、2007年のAFCアジアカップでは全6試合の出場で4ゴールをマークし、チームのベスト4進出に貢献した。
AFCアジアカップ2011で“伝説のボレーシュート”を決めた李忠成も、2023シーズン限りで現役を引退した。李はFC東京の育成組織出身で2004シーズンにトップチーム昇格。2005年に柏レイソルへ移籍すると、その後はサンフレッチェ広島、サウサンプトン(イングランド)、浦和レッズ、横浜F・マリノス、京都サンガF.C.などでのプレーを経て、2022年に加入したアルビレックス新潟シンガポールで現役生活に幕を下ろした。
日本代表では2011年1月のAFCアジアカップ2011初戦でデビューを果たすと、同大会決勝のオーストラリア戦では延長後半に値千金の決勝ゴールを奪取。日本代表の同大会4度目の優勝に貢献するなど、通算11試合出場で2得点を記録した。
現在42歳の茂庭は、ベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)の下部組織出身で、1999年にトップチームデビューを果たした。2002年からFC東京に活躍の場を移すと、2010年にはセレッソ大阪に完全移籍で加入。タイのバンコク・グラスFCでのプレーを経てC大阪に復帰すると、2019年からはJFLのFCマルヤス岡崎に加入し、2023シーズンはFC刈谷でプレーしていた。Jリーグでは通算381試合に出場。各世代の日本代表としても活躍し、2003年にA代表デビューを飾ると、2004年にはU-23日本代表としてアテネ・オリンピックに出場。2006年に開催されたドイツW杯にも出場するなど、国際Aマッチ通算9試合に出場している。
サンフレッチェ広島の育成組織出身で、後にJリーグ屈指の司令塔となる柏木陽介は、2005年にトップチームデビューを果たした。2010年から10シーズン在籍した浦和レッズではクラブ公式戦通算409試合に出場し、49得点110アシストを記録。AFCチャンピオンズリーグや天皇杯優勝など計6タイトル獲得に貢献するとともに、2度のJ1リーグアシスト王にも輝いた。2021年からはFC岐阜に活躍の場を移し、2022シーズンにはキャプテンに就任。プロキャリア18年で公式戦通算600試合以上に出場した。また、各年代の日本代表に選出された経歴を持ち、2010年にデビューしたA代表では通算11キャップを誇っている。
正確無比な左足から放たれるクロス、フリーキックを武器とする日本屈指の左サイドバックは、2006年に横浜FCでプロキャリアを始めると、清水エスパルス、FC東京、フィテッセ、名古屋グランパス、パース・グローリー、FC町田ゼルビアと3カ国7クラブでプレーした。とりわけ、2012年から2015年と2017年から2019年7月までの計4シーズン半在籍したFC東京ではクラブ公式戦通算216試合に出場し、14得点59アシストを記録。2014年と2015年には、Jリーグベストイレブンにも選出された。また、2010年にデビューした日本代表では通算7キャップを誇っている。
Jリーグ通算63得点を記録している“TJ”こと田中順也は、2009年に柏レイソルでプロキャリアを始めると、スポルティング、ヴィッセル神戸、FC岐阜にも在籍した。特に、柏レイソルで迎えたプロ3年目の2011シーズンには、明治安田生命J1リーグで30試合に出場し13得点を挙げる活躍。クラブ史上初のJ1リーグ優勝に大きく貢献した。また、日本代表としては通算4キャップを誇っている。
読売日本SCジュニアユースを経て全国屈指のサッカー名門校として知られる静岡学園高校に進学した南雄太は、全国高校サッカー選手権大会制覇を経験。その後、1998年2月に柏レイソルへ加入しプロキャリアをスタートさせた。すぐさま定位置を掴むと、初年度からJリーグ優秀新人賞を受賞するなど活躍。約12年間を過ごした柏では、公式戦通算334試合でゴールマウスを守った。
2010年2月にロアッソ熊本に加入し4シーズンに渡って正GKとして活躍すると、2014シーズン開幕前に横浜FCへ完全移籍。在籍6年目の2019シーズンは明治安田生命J2リーグで33試合に出場し、クラブにとって13年ぶりとなるJ1復帰に大きく貢献した。2021年からは大宮でプレー。これまでのJリーグでの通算出場試合数は「666」を数え、これはGKとしての最多記録となっている。
また、U-20日本代表としては1997年のFIFA U-20ワールドカップや1999年のFIFA U-20ワールドカップでゴールマウスを守り、1999年大会では準優勝に大きく貢献した。
大津祐樹もプロキャリア16年に幕を下ろした。2008年に柏レイソルでプロの世界へと足を踏み入れた後、ボルシアMG、VVVフェンロ、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田と3カ国5クラブでプレー。2018年に加入した横浜F・マリノスでは、デビュー当初の攻撃センスに秀でたアタッカーから汗かき役を厭わないアタッカーへと変貌を遂げ、J1リーグ優勝にも貢献した。また、2012年に行われたロンドン五輪では、大金星を挙げたスペイン戦でのゴールを含むチームトップの3得点を記録し、U-23日本代表をベスト4に導いている。
金光大阪高校出身の林卓人は、2001年に広島へ加入。2005年にコンサドーレ札幌(現・北海道コンサドーレ札幌)に完全移籍したあと、2007年からベガルタ仙台でプレー。2014年に広島へ復帰すると、以降は広島でプレーを続けた。キャリア通算では明治安田生命J1リーグで329試合、J2リーグで183試合、カップ戦40試合、天皇杯で29試合に出場。2012年と2013年には日本代表に招集されている。
打点の高いヘディングでスタジアムを幾度となく沸かした山本脩斗は、38歳で現役引退を決断した。早稲田大学を卒業後、ジュビロ磐田に加入し、2014年には鹿島アントラーズへ移籍。2016年のJ1優勝や18年のACL制覇などに貢献し、2017年には日本代表デビューも飾った。2021年からは湘南ベルマーレでプレー。現役晩年はケガにも悩まされたが、J1通算277試合14得点、国内カップでは通算54試合6得点、天皇杯通算25試合2得点を記録した。2024シーズンからは古巣の鹿島で強化・スカウト担当に就任することが決定している。
Jリーグで長く活躍した柴﨑晃誠も2023シーズン限りで現役引退を決断した。国見高校、国士舘大学を経て、2007年に東京ヴェルディへ入団した柴﨑は、ルーキーイヤーはJ2リーグでわずか6試合の出場にとどまったものの、翌年からは定位置を確保。2011年に川崎フロンターレへ完全移籍で加入すると、1年目からJ1リーグ31試合出場1得点を記録し、当時のアルベルト・ザッケローニ監督によって日本代表への招集も受けた。その後、2012シーズン途中の7月に東京Vへ期限付き移籍した後、シーズン終了後には徳島ヴォルティスへ完全移籍。徳島ではJ1リーグ初昇格に大きく貢献。2013年にサンフレッチェ広島へ完全移籍で加入すると、2015シーズンには明治安田生命J1リーグ27試合出場6ゴールを記録し、広島の2シーズンぶり3度目のJ1リーグ制覇に貢献した。その後は、広島一筋で活躍。2023シーズンまで合計10年間在籍し、明治安田生命J1リーグ通算で241試合出場26得点を記録した。2024シーズンより柴﨑は広島の育成部コーチに就任することが決定している。
Jリーグのレジェンド
鹿島の“レジェンド”も2023シーズン限りで現役を引退した。2006年に全北現代モータースへ加入しプロキャリアをスタートさせたスンテは、同クラブで公式戦通算336試合に出場し、3度の国内リーグ優勝や2度のAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を経験した。2017年に鹿島へ完全移籍で加入すると、Jリーグ通算108試合に出場。2018年のACLでは10試合でゴールマウスを守り、クラブ史上初のアジア制覇に大きく貢献した。2024シーズンからは鹿島でGKアシスタントコーチに就任することが発表されている。
33歳のホセ・カンテは、これまでにヴィスワ・プウォツク(ポーランド)やレギア・ワルシャワ(ポーランド)、ジムナスティック・タラゴナ(スペイン)などを渡り歩き、2023年3月に浦和レッズへ加入。正確無比なシュートでチームのトップスコアラーとなり、現役最後の試合となったFIFAクラブワールドカップ2023の3位決定戦でもゴールを決めた。また、2016年に初招集されたギニア代表では、通算20キャップ以上を誇っている。
柔らかいボールタッチと正確無比なキックで、後にクラブの“バンディエラ”となる梁勇基がベガルタ仙台に入団したのは2004年。1年目から明治安田生命J2リーグで32試合に出場すると、プロ3年目の2006シーズンに背番号『10』を、2008シーズンからは『キャプテン』を託された。プロキャリア20年のうち、サガン鳥栖でプレーした2シーズンを除いて、ベガルタ仙台に18シーズン在籍。クラブ公式戦通算617試合に出場し83得点61アシストを記録。また、北朝鮮代表としても通算21キャップを誇っている。
ここでは紹介できなかったが、ほかにも上田康太(クリアソン新宿、ジュビロ磐田など)、清水航平(サンフレッチェ広島、清水エスパルスなど)や田邉草民(アビスパ福岡、FC東京など)、奈良輪雄太(東京ヴェルディ、横浜F・マリノスなど)、八田直樹(ジュビロ磐田)、船山貴之(ラインメール青森、ジェフユナイテッド千葉など)、長谷川悠(南葛SC、モンテディオ山形など)、金井貢史(カマタマーレ讃岐、サガン鳥栖など)、石井秀典(徳島ヴォルティス、モンテディオ山形など)、古林将太(福島ユナイテッドFC、湘南ベルマーレなど)、パウリーニョ(松本山雅FC、栃木SCなど)、石津大介(テゲバジャーロ宮崎、アビスパ福岡など)ら、Jリーグで実績を残した多くの選手が現役引退を決断している。
なお、海外に目を向けると、元イタリア代表のGKジャンルイジ・ブッフォン、DFジョルジョ・キエッリーニやFWファビオ・クアリャレッラ、FWジュゼッペ・ロッシ、元ブラジル代表DFフェリペ・ルイス、元ベルギー代表FWエデン・アザール、元スペイン代表FWノリート、FWロベルト・ソルダード、MFダビド・シルバ、FWホルヘ・モリーナ、MFセスク・ファブレガス、元カメルーン代表MFアレクサンドル・ソング、元イングランド代表MFダニー・ドリンクウォーター、FWテオ・ウォルコット、元ウルグアイ代表DFディエゴ・ゴディン、元ガーナ代表FWアサモア・ギャン、元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチ、元スロバキア代表MFマレク・ハムシク、元トーゴ代表FWアデバヨールら、トップレベルで活躍した選手たちも、2023年に現役引退を発表している。
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By サッカーキング編集部
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