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オランダで成長した小川航基、日本代表で唯一無二の存在へ「大事な時に決めるのがストライカー」

2024.03.19

NECでは加入1年目ながら主力として結果を残している [写真]=Icon Sport via Getty Images

 現在、日本代表は千葉県内にてFIFAワールドカップ26アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表戦に向けたトレーニングを実施している。19日、FW小川航基NEC/オランダ)が報道陣の取材に応じ、日本代表で立ち位置を確立するための抱負を口にした。

 現在26歳の小川は、昨年夏に横浜FCからNECへ期限付き移籍を果たすと、オランダの地でもその得点能力を遺憾なく発揮。エールディヴィジ開幕から2試合連続ゴールを挙げただけにとどまらず、時間の経過とともにチームにとって欠かせないストライカーとしての地位を確立した。

 2023-24シーズンはここまでエールディヴィジで8得点、KNVBベーカー(オランダカップ)では4得点と、海外挑戦1年目ながら安定して結果を残している。一般的には、異なる環境で1年目から結果を出すのは難しいと思われることが多い。だが、本人はオランダに渡った1年目から結果を残すことができるという“予感”があったようだ。

「選手の声だったり、記事だったりで、海外挑戦1年目は苦しいということはよく聞きますが、僕自身はそうは思っていませんでした。違う国に行って、自分のストロングポイントを出せれば、逆に取りやすいぐらいに思っていたというか。もちろん、最初はチームのコンセプトを理解するのにちょっと時間がかかったところはありますが、得点という自分の1番の武器は出せたと思うので」

 オランダでしっかり結果を残している背景については「チームメイトが僕をよく見てくれるようになったのが1番大きいですかね」と語ったが、自身のプレー面で試行錯誤を欠かしたことはない。「駆け引きで工夫するようになりました」という小川は、エールディヴィジの長身DF相手にも負けないため、自身の工夫を次のように説明する。

「190cmのセンターバックを相手に、上からヘディングで叩くというのはなかなか難しい。でも、絶対勝てないのかと言われたらそうではなくて。別にシンプルな競り合いで勝たなくても、うまくマークを外してニアに入るなど、点を取るためのパターンはたくさんある。そういった意味では、オランダに行ってから工夫はたくさんしているかなと思います」

 このような工夫を凝らした上で、実際に試合でゴールネットを揺らす回数を増やすと、チームメイトからの信頼も増した。周囲に自分のスタイルを理解してもらうため、「コミュニケーションの量」が大事だと主張したが、根本にあるのは「僕が点を決められる能力があると示すのが1番」というストライカーらしい考え方だ。「『こいつ、全然点取らないな』と思われちゃうとクロスも上がってこないんで。逆に、中央に1人しかいないような場面であっても、『こいつにクロスを上げたら決めるな』という選手でれば、ボールは来る」と明かした小川は、「しつこいくらいのコミュニケーション」、そして「自分の得点能力を示す」という部分で信頼を掴み取った。

 オランダで得点を挙げ続けたことをきっかけに、今回の代表活動では2019年のEAFF E-1サッカー選手権以来、4年3カ月ぶりの代表復帰を果たした。横浜FCから海外に飛び立つ前でのセレモニーでは「次に日本に帰ってくる時は、必ず日の丸を背負って帰ってきます」と力強い言葉を発していたが、まさに“有言実行”だ。

「僕自身、その言葉っていうのは本当に鮮明によく覚えてます」と振り返った小川は、代表復帰を果たしたことを受けて「これを皆さんにお約束して、横浜FCから飛び立ったわけですけど、それを有言実行してここに帰って来られたというのは、僕自身も自信になります」と心境を明かす。「応援してくれてる皆さんにも、やっぱ口だけじゃないっていうのを、少なからず見せられたのかな」と笑顔を見せたが、「ここがゴールではないです。ここからが勝負」と、代表に復帰しただけで満足する気はさらさらない。

 日本代表は今年1月から2月にかけて開催されたAFCアジアカップカタール2023で、ベスト8敗退という憂き目を見た。日本代表の戦いを画面越しに見ていたという小川は、自分が代表チームに入ったら何をもたらせるのかを考え続けていた。ポストプレーやチームを打開させるためのアイデアも考えていたというが、小川の“らしさ”は間違いなくゴール前での迫力だろう。自分のタイプを「僕自身は唯一無理だと思っている」と分析する小川は、「得点を取るのが1番大事だと思っています。もちろん、森保さんからいろいろと要求される部分はあるとは思いますが、そこだけは忘れたくない」と気持ちを明かしている。

 現在、日本代表の“主軸”となるFWは上田綺世(フェイエノールト/オランダ)だ。同じ東京オリンピック世代でもある2人は、以前から切磋琢磨してきた良きライバルでもあるが、小川は「もちろんライバル的なポジションではありますけど、僕自身は彼から学ぶものがたくさんあって、常に彼の動きは見て学んでる」という。「彼は僕が持っていないものを持っていますし、逆に僕が持っているものを彼は持ってないという面もある。どんどん進んで、一緒に切磋琢磨し、良い関係性でいられたらなと思ってます」と語った。

 一方で、小川は「自身の色」を出しながら、代表で不動のストライカーの座を掴む覚悟だ。「やっぱり自分のストロングは得点を取るところ。そこをコーチにも、森保さんにもしっかりと見せたい」と語った小川は、「クロスからのゴールパターンは非常に多彩なものがあります。タイミングを駆け引きしながら、いろんなパターンでクロスから得点できるのが僕の強みなので、そういった意味でもこの日本代表の力になることはできる」と意気込む。「最終予選や2次予選ではセットプレーも非常に鍵を握る」と話しており、流れの中からだけでなくセットプレーでも強さを発揮するつもりだ。

 今回の活動は親善試合ではなく、次のワールドカップに向けた重要な予選。「やっぱり大事なときに決めるのがストライカー。そういった意味では、自分の存在意義を見せたいです」と力強く語った小川は、自身のゴールで日本代表を“勝たせる”存在、唯一無二のストライカーとなれるだろうか。

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