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「タフに戦ってくれ、本当に信頼できる」 五輪出場権獲得へ、松木玖生の圧倒的存在感に盟友GK野澤も太鼓判

2024.04.08

U-23日本代表に合流するFC東京MF松木玖生 [写真]=兼子愼一郎

 4月16日の中国戦を皮切りに、パリオリンピック2024予選を兼ねたAFC U23アジアカップカタール2024に挑むU-23日本代表。アジア3.5枠という狭き門を通過し、大舞台を勝ち取ることが大岩剛監督率いる若きチームに託された使命だ。

 今大会はインターナショナルマッチデーの開催ではないため、久保建英や鈴木彩艶といったすでにA代表中心で戦う面々はもちろん、鈴木唯人をはじめとする長くこのチームの主力で戦ってきた欧州組の招集が叶わなかった。コロナ禍の影響による国際経験不足なども相まって、日本の8大会連続五輪出場は難しいという悲観的な見方も少なくないが、低評価を跳ね返すしかない。

 そのけん引役として期待される一人が松木玖生だろう。弱冠20歳ながら、FC東京でキャプテンマークを巻く男はピッチ内外で堂々たる立ち振る舞いができる。その圧倒的存在感を改めて示したのが、7日の鹿島アントラーズ戦だった。

 3日の浦和レッズ戦でも値千金の決勝弾を叩き出した背番号7は、この日もトップ下で先発。トップに入った仲川輝人と初めて縦関係でプレーした。

「トップ下とFWに関しては、できるだけテル君の動きを見て、近くにいるようにしました。普段はそれをタロウ君(荒木遼太郎)がやってくれているので、自分もそういった動きをしようと思っていました」と、鹿島との契約上の問題で欠場した荒木をイメージしつつプレーしたという。

 相手は関川郁万や知念慶が激しい当たりを見せてきたが、そこでひるまないのが松木だ。青森山田時代からフィジカルの強さとタフさ、激しさという部分では誰にも負けなかった確固たる自信があるのだろう。

 アグレッシブな姿勢を前面に出し続けた結果、生まれたのが、55分の先制点。エンリケ・トレヴィザンからバングーナガンデ佳史扶にボールが渡った瞬間、松木はギャップを突いて左サイドに流れ、パスを受けてから浮き球のクロスを最前線に送った。走り込んだのは仲川だ。植田直通と関川の間に侵入し、合わせたヘディングシュートが見事にネットを揺らし、待望の先制点を奪った。

 さらに前がかりになっていた鹿島をあざ笑うかのように終了間際に原川力がダメ押しとなる2点目を挙げたが、これをお膳立てしたのも松木。「あれは力君がスーパーだったので、『アシストつけてくれてありがとうございます』みたいな感じです」と本人も笑っていたが、鹿島相手の2-0という結果、理想的な試合運びには大きな手応えを掴んだはずだ。

「ああやって前で戦ってくれる選手がいると、チームとしても本当に信頼したくなる。彼も荒木選手もかなり結果を残しているし、いい状態で大会に行ける。それは他の選手にとっても助けになると思う」

 同僚GK野澤大志ブランドンFC東京勢が大岩ジャパンにもたらすものの大きさを語っていたが、特に松木はリーダーの一人として獅子奮迅の働きを見せなければならないだろう。

 U-23日本代表において年齢的には23人中、下から3番目。だが、パリオリンピック世代でのJリーグ出場実績は群を抜いている。しかも2023年のU-20ワールドカップにも参戦。同大会の日本はセネガル、コロンビア、イスラエルと同組に入り、グループリーグ敗退を強いられたが、世界のレベルの高さや個々の強さを体感してきた経験値は非常に大きい。それをチームに還元すべき立場にいる。

「最終予選は一発勝負。中2日の疲労とかもあるでしょうけど、そういうのは言い訳にできないですし、常に1試合を大切に戦っていけたらいいかなと。A代表が戦ったアジアカップを見ても分かるように、一発のカウンターなどは怖いと感じるし、アジアもレベルが高くなってきているので、気を抜けないと思います」と本人も警戒心を露にしていた。

 グループリーグから中国、アラブ首長国連邦、韓国という難敵と中2日での対戦を強いられ、準々決勝以降もオーストラリアやカタール、サウジアラビア、イラクなどの強豪を倒していかなければいけない。ハードルは高いが、そういう時こそ、何があってもブレることがない松木のような強靭なメンタリティを持つ選手の存在が重要になる。

 大岩監督もいざという時は松木を中盤から前に上げる可能性もあるし、そこでゴールやアシストという目に見える結果を残せるのが強み。とにかく勝負強さは折り紙付きだ。

 そういう人間こそ、オリンピック最終予選のような重圧のかかる大会には必要不可欠。松木にとってはパリに行けるか否かで先々のキャリアも大きく変わってくるはず。輝かしい未来を切り開くためにも、切符は落とせない。積み上げたキャリアの全てをカタールの地で発揮し、力強く大岩ジャパンをリードすること。それを松木玖生には今、改めて強く求めたい。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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