日本代表として元本拠地に帰ってきた川村拓夢 [写真]=湊昂大
日本代表は9日、FIFAワールドカップ26アジア2次予選のシリア代表戦(11日)に向けて、ホットスタッフフィールド広島で2日目の練習を実施した。
ホットスタッフフィールド広島は、森保一監督の古巣でもあるサンフレッチェ広島の元本拠地で、今年2月に新スタジアム『エディオンピースウイング広島』がオープンするまで、約30年にわたって使用されたスタジアム。この日はメインスタンドに「おかえりなさい俺達の森保一」という指揮官歓迎とともに、広島のチャントが組み合わさった「さあ行こうぜ世界一へ 輝け俺達の誇りMORIYASU NIPPON」との横断幕が掲げられていた。
「帰ってきたなって思いました」。MF川村拓夢(サンフレッチェ広島)は横断幕を見て地元に戻ってきたことを実感していた。広島出身の24歳にとって元本拠地は子供のころの夢を叶えた思い入れのある場所。「日本代表として帰ってこれたのはすごくうれしい」と笑顔で話した。
「昨日の公開練習でもサンフレッチェのサポーターたちが見にきてくれたと思うし、そこでの歓声はサンフレッチェと違った期待感をすごく感じたので、日本代表のユニフォームを着てピッチに立つことができたら、サポーターのみなさんがよろこんでくれると思う」
川村は昨年6月に日本代表初招集を受けたものの、体調不良で無念の途中離脱。だが、今年1月1日のタイ代表との親善試合で代表デビューを飾ると、いきなり初ゴールも決めた。今年3月の代表期間は出場機会がないまま終わり、今回は4回目の代表活動。海外でプレーする選手たちに囲まれた環境の中で、川村は「まだ慣れないです。やっぱり緊張するし、そこの緊張を早くとりたい」と少し困り顔を見せつつも、「みんな優しいのでいろんな話をしてくれます」と明かし、徐々に慣れてきている様子もうかがわせた。
6日のミャンマー代表戦では後半のスタートからMF守田英正とのダブルボランチでピッチに立ち、日本代表で公式戦初出場を果たした。しかし、積極的にゴール前に飛び出す攻撃参加という持ち味を発揮しきれず、「僕の良さを出す回数がすごく少なくて、情けないパフォーマンスだった」と悔しさを滲ませ、「僕がピッチに出された意味をもっと自覚しないといけないし、一発勝負のところで自分の良さを出せないのは僕の弱さだと思う」と課題を真摯に受け止めていた。
日本代表のボランチは守田やMF遠藤航など層が厚いポジションの一つ。川村も、「チームとしては(2次予選突破が)決まっているけど、僕自身は次に呼ばれるかどうかわからない」と危機感を口する。代表で生き残るために、「チームとしてやることをしつつ、やっぱり僕の良さを出していきたい」と気合を入れ直し、「(ミャンマー戦で)相方の守田さんは僕以上にバランスを取ってくれるので、いい意味でもっと自己中になってもいいのかなと思う」と前を向く。
「2ボランチだと、守田選手や遠藤選手はバランスタイプで、そこは(自分に)求められていないと思う。田中碧選手みたいにどんどん前に出て、決定機に顔を出すところを求められていると思うので、そこを磨いていきたいし、積極的に走って顔を出していきたい」
11日のシリア代表戦は『エディオンピースウイング広島』で開催される。川村にとっては「いつも見ている景色なのでやりやすいと思う」というホームでの試合。「家族もサポーターの方もずっと見てくれているので、また違ったものを見せたい」。地元広島で出場機会があれば、日の丸を背負って果敢に前へ走りだす。
取材・文=湊昂大
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By 湊昂大