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「いるだけで違いを見せる男」…冨安健洋に求められる強靭な肉体とフルシーズンの活躍

2024.06.12

シリア代表戦にフル出場した冨安健洋 [写真]=金田慎平

 前半は6日のミャンマー代表戦(ヤンゴン)に続いて攻撃的3バックのテストを続行し、後半から4バックの可変スタイルで戦った11日のFIFAワールドカップ26アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選・シリア代表戦(広島)の日本代表。ご存じの通り、上田綺世や堂安律、南野拓実ら取るべき人がゴールを重ね、5−0で圧勝。グループ全勝で最終予選に進むことになった。

 こうした中、やはり光ったのが、3バック右で先発した冨安健洋だ。AFCアジアカップカタール2023での8強敗退の後、所属のアーセナルに戻って再び長期離脱を強いられ、3月シリーズを回避。ようやく4月から本格的に戦線復帰を果たし、プレミアリーグ終盤戦を乗り切ったが、本人にしてみれば「またしてもケガとの戦いに忙殺されたシーズンだった」という悔しさと不完全燃焼感を覚えたに違いない。

 しかもミャンマー戦もベンチ外となったのだから、今季ラストマッチとなるシリア戦には並々ならぬ思いがあったはず。前半は右サイドを広範囲に守り、前に堂安を高い位置に押し上げるべくサポート。守備面でも危なげない仕事ぶりを見せた。

「ビルドアップのところでも分かりやすいノッキングはなかったですし、個人的にもやりやすくやれたのでよかった。守備のところでできるだけ律を前に出してやりたい気持ちがあったので、それもできたと思います。律も勝手に前に行ってくれるので後ろで調節する感じで、ポジティブな内容だったと感じます」

 本人も初めてトライした攻撃的3バックに手ごたえをつかんだ様子だった。

 そして、後半からは4バックの右サイドバック(SB)へ移動。この位置はアーセナルでも日常的に取り組んでいるため、彼自身は全く戸惑いはなかったが、チームとしては課題もあったと指摘する。

「個人的に言えば、前半の方がやりやすさはあった。後半は立ち位置が有効じゃなかった。(相手の)4−4−2に対して埋めるべきスペースがあったし、全員が共有できていたわけではなかった。選手との関係で調整していく形になると思います」と発言。完璧な守りを構築するために、より細部にこだわっていく必要があると痛感しているのだ。

 確かにこの日のシリアは最終予選で対峙する可能性があるカタールやサウジアラビアに比べると完成度が低かった。一瞬のスキでやられてしまうであろう怖さを世界最高峰のプレミアリーグで日々感じている冨安にしてみれば、「楽観できない」という意識はつねにある。

「今回は相手が相手なので、もっと相手のレベルが上がったら、今日のやり方でもノッキングした可能性もある。最終予選ではレベルが上がるので、1つ1つ油断せずに、選手、チームの中でしっかり振り返りながら解決していければいいと思います」と彼は慎重なスタンスを最後まで崩さなかった。

 冨安の世界トップ基準を同じピッチに立つ面々もひしひしと感じている。「レベルの高いところでやっている選手が自信を代表に持ってきてくれるので、自分も負けないように追いつけ追い越せでやっています」と町田浩樹もしみじみと語っていた。

 そういう部分も含め、やはり冨安効果は絶大だ。遠藤航が下がった後、初めてキャプテンマークを巻いた時には存在感がひと際高まった。「年齢的に上になってきているし、もう若くないと実感しているので」と本人もリーダーの強い自覚をのぞかせたが、「この男には常時、代表に帯同してほしい」と森保一監督も改めて強く望んだことだろう。

 ゆえに、来季こそはケガなしでフルシーズン稼働し、リーグや国内カップ、UEFAチャンピオンズリーグ、そして代表の最終予選を戦い抜いてほしいところ。それこそが、25歳にして代表キャップ42試合に出場している稀代のDFに託された最重要命題というしかない。

 前回のFIFAワールドカップカタール2022最終予選を思い返すと、2021年夏の東京五輪の直後、アーセナルへ移籍。直後はクラブでも代表でも試合に出ていたが、2022年に入ると負傷。長期間離脱を余儀なくされ、最終予選の後半戦を棒に振っている。そこから1年半はずっと万全でない状態が続き、W杯でも「なんでこんなにうまくいかないんだろう」と吐き捨てる結果になった。

 その悪循環を今季は完全に断ち切るかと思われたが、やはり昨年12月以降に再びピッチに立てなくなり、アジアカップもフル稼働できなかった。「このままだと代表守備陣の軸に据えられない」といった懸念の声も上がるようになっていた。

 その間に板倉滉や町田、谷口彰悟が力をつけ、冨安なしでも乗り切れるケースは増えたが、やはりここ一番では彼の力が必要。それは今回のシリア戦でもハッキリしたことだ。

「来季に向けて? 自分自身と相談しながらですね。探り探りですけど」と本人も強靭な肉体とベストコンディションを維持する術を見出そうと躍起になっている。そのハードルを越えなければ、2度目の最終予選もW杯も納得いくものにはならないはずだ。

 ある意味、日本代表がどの領域まで到達できるかというのは冨安に懸かっている。背番号22には、3バックと4バックのスムーズな移行、センターバックとSBでの臨機応変かつ高度なプレーを常時、ピッチで見せてくれることを切に祈りたい。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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