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「目に見える結果を残せない自分」からの脱却 “鬼門撃破弾”が示した鎌田大地の変化

3時間前

先制点を挙げた鎌田大地 [写真]=Getty Images

“勝っている時はチームを変えない”というのがサッカーの定石。FIFAワールドカップ26アジア最終予選において、前半戦最大の山場と位置づけられた10日のサウジアラビア代表戦で、日本代表は9月と同じ陣容と踏襲すると目された。

 先発の予想が難しかったのが、2シャドーの構成。主軸と位置付けられる南野拓実と組むのは久保建英か、それとも鎌田大地か。森保一監督が選択したのは後者だった。

 同じ中東でのアウェーゲームだった9月のバーレーン戦で効果的な仕事を見せたことに加え、サウジアラビア相手にボール支配率アップを図るためには“3人目のボランチ”としても動ける鎌田が必要という判断だったのだろう。

 今夏赴いた新天地のクリスタル・パレスではコンスタントな活躍を見せられていない今だけに、コンディションやパフォーマンスに一抹の不安も感じられたが、この日の彼はネガティブな要素を払拭するようなアグレッシブさを前面に押し出す。

 序盤は想定外の4-1-4-1で入ったサウジアラビアに対してやや押し込まれながらも、一瞬の隙を突いて14分にいち早く1点を奪う。鬼門だったジッダでの歴史的な初ゴールを挙げたのが背番号15だった。堂安律の右からのクロスを三笘薫が折り返し、守田英正がヘッドで中に入れた瞬間、鎌田は一気に詰めて左足を一閃。2023年11月のミャンマー戦以来となる代表8点目をマークした。

「僕自身は常にああいう場所にいることが大事だと思っている。意識してゴール前に入った中で結果がついたのがよかった」と本人も前向きに語っていた。

 過去3度戦ってノーゴールだったキング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムでの日本代表の初ゴールというのは非常に意味がある。この1点がサウジアラビアに大きなプレッシャーを与え続け、最終的に小川航基のダメ押し点も生まれて2-0の白星にもつながった。鎌田は歴史的勝利の立役者になったのである。

 奇しくもこの地で行われた2021年10月のサウジアラビア戦で、鎌田はトップ下で先発。攻撃のギアを上げきれずに苦悩した。そして失点した直後に交代。0-1で奈落の底に突き落とされた瞬間をベンチで味わった。

 そこから代表レギュラーの座を追われたばかりか、チームからも外され、フランクフルトでヨーロッパリーグ制覇を成し遂げた後の2022年6月まで選外が続いた。結局、FIFAワールドカップカタール2022には参戦できたものの、その空白期間は鎌田にとって難しい時間だったに違いない。

「あの頃から自分がどれくらい成長しているかはわからないですけど、やっぱり前回は最終予選の難しさなどは経験できたし、ワールドカップが終わってから代表に対する気持ちが大きく変わった中で、『代表のために貢献できる』のが今の自分にとってすごくうれしいこと。代表で試合に出るのも特別なことだと理解しています」と本人も神妙な面持ちで言う。3年という月日を経て、代表への真摯な姿勢や献身性が格段に上がった背番号15は本当に頼れる男に変貌したのである。

 もう一つ、鎌田にとって大きかったのは、目に見える結果を残せない選手というレッテルを剥がせたこと。全5点中4点に関与したバーレーン戦後に、こんなジレンマを口にしていたからだ。

「代表でも所属チームでも、割とアシスト前のパスが自分自身、すごく多くて、“目に見えやすい結果”がなかなか残せないというのが自分の悩みでもあるんです。そういう(起点を作る)プレーができるのはストロングポイントでもあると思うし、なかなか変えることはできないんで、難しいですけど。良くも悪くも自分っぽいって感じですね」と。

 そういうプレースタイルを日本代表の森保監督やチームメイトはよくわかっているものの、シャドーやトップ下のポジション争いは熾烈。南野や久保のみならず、この日後半にウイングバックから中に移動した堂安や三笘もいれば、ベンチ入りした旗手怜央や負傷中の浅野拓磨もいて、ますます狭き門となっている。だからこそ、点を取れる選手の方が重用されやすい。鎌田には「お膳立ても得点もできるスーパーなタレント」へと変貌してほしい。

 代表でその布石を打ったことが、クリスタル・パレスにも好影響をもたらせば理想的。クラブでは3列目に入ることも少なくないが、どういうポジションからでもゴールへの迫力を出すことはできるはず。時に縦に鋭いプレミアリーグでは、単にうまい選手だけでは評価されにくい。サウジアラビア戦の一発を脳裏に焼き付けながら、現状打開を図ってもらいたい。

 いずれにしても、ワールドカップ最終予選で無得点だった鎌田にとっては大きな一歩。因縁の地で壁を乗り越えたことで一気に成長スピードを引き上げてくれることを祈りたい。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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