右シャドーの位置で奮闘した久保建英 [写真]=金田慎平
日本代表は15日、FIFAワールドカップ26アジア最終予選の第4節でオーストラリア代表と対戦し、1-1で引き分けた。試合後、MF久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)が報道陣の取材に応じた。
最終予選の初陣となった9月5日開催の中国代表戦(○7-0)以来となるスターティングメンバーに名を連ねた久保は、右シャドーの位置に入り、70分までプレー。右サイドのスペースに流れて、得意のドリブルで仕掛けるなど奮闘したが、なかなか決定機には結びつけることはできなかった。
「思ったように崩しきれず、枠内シュートの数も少なかったです」と振り返った久保は、ブロックの外からボックス内へ放り込むクロスボールについて、「上げさせられている感覚があった」という。実際、日本代表は序盤からボールを保持する時間こそ長かったものの、中央に割って入る場面は限られており、そのための工夫は凝らしつつも実効性は乏しい印象だった。
スコアレスで折り返した後半、58分にはDF谷口彰悟(シント・トロイデン/ベルギー)のオウンゴールにより失点。2次予選も含めた今回のW杯予選で初めてビハインドという状況に立たされた。そこまでの時間帯、久保自身も「中切りを徹底されて、縦に突破されても(単純なクロスボールであれば)守り切れるという彼らの自信を感じた」なか、オーストラリア代表の守備陣に風穴を開けたのは、途中出場のMF中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)。久保も「最後まで抉り切って、速いボールを上げるのは効いていたと思います」と、同点弾となるオウンゴールを誘発した背番号13に賛辞を惜しまない。
その中村は、交代出場とともに左ウイングバック(WB)の位置に入り、三笘薫(ブライトン/イングランド)が2列目にスライドする布陣が採用された。左サイドからのドリブルを得意とする2人が同時にピッチに立ったことについて、久保は「今日の中村選手は、三笘選手が普段(WBに入った時に)しているようなプレーをしていたと思います」と話す。「三笘選手が1枚DFをブロックして、中村選手がドリブルで運ぶスペースを作り出しましたが、おそらくあれは彼(三笘)がWBでプレーしている時にやって欲しいと思っているようなプレーです。彼らが組むのは今日初めてだったと思うのですが、たまにはドリブラーとドリブラーを組み合わせても面白いのかなと思います」と意見を述べた。
“ドリブラー×ドリブラー”という意味では、右シャドーに入ることの多い久保にとっても参考にできる要素があるかと思われたが、「僕の場合は、もう1人縦に行ける選手と組むことが多いです」と冷静に発言。この日はMF堂安律(フライブルク/ドイツ)とコンビを組んだが、「5枚で固められて、中を切られた時に、縦も行けるのを示せたのは良かったですし、今後必要になるプレーだとも思います」と手応えを明かしつつ、「縦には行けましたけど、あれだけサイズがあって守り切られる相手には、クロスを上げるだけではダメ。深い位置まで侵入して行った方が相手も嫌だと思います。そうすれば、マイナスのスペースにボランチも積極的に入ってくることができる。今後はそのようなプレーも増やしていけたら」と課題も口にした。
久保の言う「深い位置まで侵入する」こそ、同点ゴールに繋がったシーンで中村が見せたものだ。突破した上でのプレーの選択肢についても、久保は「あれだけ速いボールだったら、相手も足を出してしまう」と分析し、「前半が終わった段階で、そこを要求できていれば、先に点を取れたかもしれない」と反省の弁を述べている。「5枚で守る相手に対して、単純なクロスが弾き返される場面が前半は続いた」とした上で、自身のプレーについて「僕の場合は、縦に行った時に南野(拓実)選手を探すことが多かったですが、今日のような相手ならスペースに放り込む方が良かったかもしれない」と語った。
さらなる高みを目指す右サイドコンビ、そしてシャドーとしての久保建英の“完成系”は、まだまだこんなものではなさそう。アウェイ2連戦となる11月シリーズでは、今回から成長した姿を見せられるだろうか。
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By サッカーキング編集部
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