W杯出場権がかかったバーレーン戦で先制点を決めた鎌田大地 [写真]=Getty Images
2024年9月の中国戦(埼玉)から破竹の勢いで勝ち点を積み重ねてきたFIFAワールドカップ26アジア最終予選の日本代表。王手をかけた状態で迎えた3月20日のホーム・バーレーン戦も「そこまで苦しまずに勝てるだろう」というのが大方の見方だった。
しかしながら、相手は半年前とは全く別のチームへと変貌。日本の攻撃のキーマンである三笘薫や久保建英を徹底マークし、最前線の上田綺世にボールが入った時も複数人でつぶしに来た。その結果、前半は相手に主導権を握られる時間も長く、日本らしい試合運びができない。久しぶりの苦戦を余儀なくされたのだ。
「今日はなかなかボールをうまくつなげることができていなかったので、自分が出たら、うまく中継地点になって、スムーズにボールが動くようにしたいと思っていました」と語るのは、ベンチから仲間の戦いを見守っていた鎌田大地。この日はスタメンが有力視されながら、意外にも控えに回ったが、逆に冷静に戦況を見極めることができたのだろう。前半は「鎌田がいればもっとボールが落ち着くのに…」という印象も強く、森保一監督は必ずどこかのタイミングで彼を投入してくると思われた。
それが現実になったのが後半18分。伊東純也と同時投入された背番号「15」は、南野拓実が陣取っていた左シャドーに入りつつも、ボランチの位置まで下がってボールを受けることを繰り返したのだ。
その動きによって日本の攻撃が一気に活性化し、3分後の先制弾につながる。伊藤洋輝から上田を経由し、久保にボールが渡った瞬間、鎌田はゴールの予感を抱きながら久保とクロスする形で中央へ侵入し、GKと1対1に。敵をあざ笑うかのようにネットを揺らした。
「綺世が持った時にもう裏に走ってて、タケ(久保)もタイミングで抜け出して、ワンタッチで出してくれるかなと思ったんですけど、彼もワンタッチしてすごくいいボールが来たんで、後は決めるだけでした」と本人も冷静に振り返ったが、高度な戦術眼とシュート技術、非凡な決定力が凝縮された見事な一撃だったと言っていい。
最終的には久保がダメ押し点を決め、日本は2-0で勝利。苦しみながらも8大会連続のワールドカップ出場を決めることに成功した。ただ、やはり鎌田があの時間帯に1点を奪っていなかったら、日本はもっと厳しい状況に追い込まれていただろう。それだけあの先制点の意味は大きかったのだ。
「普段、こういう試合で点を取ってきたタイプじゃないんで、『やっと取れたな』というふうに思います。特に今シーズンはクラブで自分の思い描いているようなシーズンを過ごせていないので、気持ち的にも難しいですけど、こうやって点を取れたりするのが来るのは本当に分かんないなと」
「(フランクフルトで)ヨーロッパ(リーグ)を優勝した時もそうですけど、難しくてもやり続けていくことが大事だし、それを続けているからこその結果だと思う。ああいうランニングも普段からやってるからこそできることだし、今日たまたまできたわけじゃない。そういう積み重ねなんですよね」と鎌田自身も地道な努力の重要性を再認識した様子だ。
こういうビッグマッチで結果を出せるのは、もちろん彼自身に際立ったクレバーさがあるからだが、代表に対するマインドの変化も大きいだろう。自分でも口にしているが、2019年に初めて日の丸を背負った頃の鎌田は「チームのために」ということよりも「自分の価値を上げたい」という意識が強かった。それがマイナスに作用したこともあり、FIFAワールドカップカタール2022アジア最終予選では途中からメンバー落選。本大会行きの切符をつかんだオーストラリア戦(シドニー)にも参戦していなかった。
そこからEL制覇を引っ提げて代表復帰し、ワールドカップを経験するに至ったわけだが、川島永嗣や長友佑都、吉田麻也らの姿勢に触発された部分は少なくなかったという。
「前回ワールドカップの時に永嗣さんがワールドカップに対する熱意を話したりだとか、そういうのを聞いて、『やっぱり代表にいることは当たり前じゃないんだな』と感じましたね。ハセ(長谷部誠=日本代表コーチ)さんもよく言ってましたけど、『こういうところでやれるのは特別なことだ』と。毎回来ていると普通の感覚になっちゃいますけど、みんなが目指すべき場所。チームが勝つことが第一なんだなと強く感じます」とバーレーン戦前にもしみじみと語っていた。
そういった献身性や犠牲心を持って戦えるようになったからこそ、サッカーの神様は鎌田に値千金の歴史的ゴールを取らせてくれたのかもしれない。試合終了後、長友が真っ先に鎌田のところに駆け寄っていたが、同郷の後輩が心身両面で大きく変化したことを嬉しく思ったからこそ、そんな行動に出たのではないか。ある意味、今の鎌田大地は日本代表に絶対に必要な人材になったと言っていい。
彼はその存在感を本大会までの1年3カ月間でもっともっと引き上げていくべきだ。実際、あれほどボールを受けてリズムを作れる選手は今の日本代表にはいない。それだけでも大きな価値があるのは確かだが、そこにゴールという結果を上乗せしていければ、所属するクリスタル・パレスでの立ち位置も必ず変わるはず。それを遂行し、代表でもシャドーの主軸として異彩を放ってくれれば理想的だ。鎌田には新たなブレイクの道をスタートさせてほしいものである。
取材・文=元川悦子
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By 元川悦子