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WEリーグ参入のセレッソ大阪ヤンマーレディース、女子W杯出場のベトナム代表に2得点勝利

2023.04.28

キックオフ前に記念撮影 [写真]=CORACAO 齊藤友也

 4月22日、大阪のヤンマースタジアム長居において、セレッソ大阪ヤンマーレディースベトナム女子代表とのトレーニングマッチに臨んだ。

 セレッソ大阪ヤンマーレディースは2023-24シーズンからのWEリーグ参入が決まっており、“プロ仕様”へとチームを変革中。鳥居塚伸人新監督を迎え、4月からチーム名をそれまでの「セレッソ大阪堺レディース」から「セレッソ大阪ヤンマーレディース」に改称し、チーム強化に励んでいる。“究極の育成型”を掲げ、これまでに宝田沙織(リンシェーピング)、林穂之香(ウェストハム)、北村菜々美(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、浜野まいか(ハンマルビー)ら、なでしこジャパンでも活躍するトップ選手を多数輩出。彼女たちに続けと、現在も有望なタレントがひしめき、この試合でも多くの若手が躍動した。

 一方のベトナムは、東南アジア競技大会2021(コロナ禍の影響で2022年に開催)で優勝し、AFC女子アジアカップインド2022で5位入賞を果たしたことで、今年の7月から開催されるFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023にも初出場するなど、近年、めざましい成長を遂げている。

 昨今、日本におけるベトナム人労働者は増え続け、両国の関係性は深まっているが、それはサッカー界でも同様。かつて横浜FCで指揮を執った経験を持つ足達勇輔氏が2020年からベトナムサッカー協会の技術委員長を務め、井尻明氏は現在、女子サッカー統括・育成女子代表監督を担うなど、日本人指導者が同国の強化に寄与してきた。

 今回のトレーニングマッチはセレッソ大阪ヤンマーレディースベトナム女子代表のオフィシャルパートナーであるヤンマーの協力によって実現にいたった。試合は一般公開されチケット代は「無料」とあって、セレッソサポーターだけではなく、在大阪ベトナム人も多く駆けつけ熱い応援が繰り広げられた。

チャンスになりかけると、ひときわ大きな声援を送ったベトナムサポーター [写真]=CORACAO 齊藤友也

 45分×2本の形式で行われた試合は、立ち上がりから技術に勝るセレッソ大阪ヤンマーレディースが相手を押し込んでいく。11分には、FW田中智子のヘディングシュートをGKが弾いたところをFW栗本悠加が押し込み先制に成功する。

 ベトナムはFWファム・ハイ・エンのスピードを生かしたカウンターを狙うものの、決定機を作るまでにはいたらない。すると、主導権を握るセレッソ大阪ヤンマーレディースが44分に2点目を挙げる。MF百濃実結香がペナルティエリア外から左足を振り抜き、鮮やかにネットを揺らした。

1本目の終了間際に百濃が追加点。笑顔の輪が広がった [写真]=CORACAO 齊藤友也

 セレッソ大阪ヤンマーレディースが選手を総入れ替えし、ベトナムは2人を交代させて迎えた2本目も、試合の構図は変わらない。ベトナムは交代カードを切りながら反撃を試みるが、相手のプレスに苦しみ攻撃の形を作ることができない。結局、2本目にスコアは動かず、2-0でセレッソ大阪ヤンマーレディースが勝利した。

 試合後、ベトナムのファム・ハイ・エンは「相手は攻撃も守備も良く、今日の試合からいろいろなことを学ぶことができた」と充実感を漂わせ、「5月に行われる東南アジア競技大会、さらにはその後のワールドカップでいい結果を残せるように頑張っていきたい」と決意を語った。

試合後に取材に応じたFWファム・ハイ・エン [写真]=CORACAO 齊藤友也

 2点目のファインゴールを決めた百濃は、「今日はドリブルが自分の中でうまくいかなかったので、思い切って足を振ったら入ってくれた。すごくうれしかったです」と笑顔。チームの現状については、「成長できている実感がある」とし、「課題もたくさんありますが、一つひとつチームのみんなで話し合って解決できている」と手応えを口にする。その一方でチーム創設時からのメンバーであるMF古澤留衣は、「もっとクオリティーを突き詰めてやっていかないといけない。WEリーグで勝てるチームになれるようにやっていきたい」と気を引き締めていた。

2点目を決めた百濃 [写真]=CORACAO 齊藤友也

 また、先制点を決めた栗本は、「自分はこぼれ球を押し込んだだけ。みんなで取ったゴール」と謙遜したが、ゴールの発端になったのは栗本が前からプレスを仕掛け、ボールを奪い切ったことだった。「(プレスに)いけるところは強くいって、相手にとって脅威になれるように意識していた」とあどけない笑顔で振り返った栗本はまだ16歳だが、昨年のなでしこリーグ1部開幕戦でデビューし、いきなり決勝点を挙げるなどWEリーグでの活躍も期待される逸材だ。

ベトナム相手でも堂々としたプレーを披露した栗本 [写真]=CORACAO 齊藤友也

 他にも、DF白垣うのやMF木下日菜子など世代別の日本代表に名を連ねるタレントが数多く在籍するセレッソ大阪ヤンマーレディース

 プロ化されて初めて戦う公式戦は、8月から開催される2023-24 WEリーグカップになる。それまでに「1段階ではなく、2段階、3段階とチームをレベルアップさせたい」(鳥居塚監督)。残り4カ月。“プロ仕様”へとスケールアップを遂げたセレッソ大阪ヤンマーレディースが、WEリーグでどんな戦いを見せてくれるのか。楽しみに待ちたい。

取材・文=山本剛央

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[写真]=CORACAO 齊藤友也

ヤンマー×セレッソ大阪ヤンマーレディース


ヤンマーはセレッソ大阪をトップパートナーとして支え続け、そのレディースチームも同様に2010年創設時からサポート。2023年4月にはチームのネーミングライツ契約を締結し、「セレッソ大阪ヤンマーレディース」を引き続きサポートしている。
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ヤンマー×ベトナム代表


2015年にオフィシャルパートナーとなって以降、ヤンマーは様々な形でベトナム代表の強化につながるサポートを実施してきた。ヤンマーが抱くベトナムへの想い、そしてベトナムサッカー成長の礎である「YANMAR FIELD」設立の物語が特設ページにまとめられている。
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By サッカーキング編集部

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