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山下莉奈(C大阪ヤンマーレディース)「無失点」に強くこだわりながら

2023.11.08

日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の3シーズン目が11月に開幕する。
WEリーグに新規参入を果たしたセレッソ大阪ヤンマーレディースは、
プロの舞台でどんな戦いを見せてくれるのだろうか。
大きな期待を背負う選手たちの連続インタビュー企画、
第1回は、守護神で副キャプテンを担う山下莉奈が登場してくれた。

いいプレーをするためには「準備がすべて」

──まずはプレースタイルや特徴について教えてください。

山下 私が強みとしているのは、クロスボールの対応です。中学生の時から、恐れずにどんどんチャレンジしてプレーしてきたので、それが今になって強みになっています。

──GKとしてのこだわりや大事にしている考えはありますか?

山下 プレーするにあたって大事にしているのは、やっぱりまずは失点をしないこと。練習であっても、1点、2点にこだわって勝負することはとても大事だと思っています。プレー面では準備の部分でこだわっています。「準備がすべて」と言ってもいいくらいで、ポジショニングや手の位置を意識していますね。

──チームから求められている役割とは?
山下 チームが攻撃的なサッカーを追求しているので、GKにもビルドアップの能力が求められます。テンポや正確なパスを出せることが大事。そこのクオリティーは意識しています。もちろん、シュートをストップしてゴールを守ることも大事ですが、攻撃の起点にもなれるGKが求められているので、パスはこれからも意識していきたいです。

長身を生かしたクロスボールへの対応は武器の一つ[写真]=セレッソ大阪

──ポジションを争う西中麻穂選手、福永絵梨香選手の存在とは?
山下 ライバルでありながらも、いい関係を築けています。練習中も、練習以外のところでも常にコミュニケーションを取っています。ライバルですが、とても仲がいい。キツい練習の時は「頑張ろう!」と声を掛け合うなど、お互いがお互いを支え合っています。

──今シーズンは副キャプテンに就任しました。意識していることはありますか?
山下 そもそもGKはリーダーシップを取りながらプレーしなければいけないポジションです。副キャプテンというよりもGKとして「チームをまとめる」、「後ろから(味方を)鼓舞する」ことは自分の役目だと思っています。その部分をもっとやれるようになっていきたいですね。

──チームには年下の選手も多いと思います。年下の選手への指示やコミュニケーションで意識していることはありますか?

山下 年下の選手とのコミュニケーションはここ1~2年で増えています。試合中、ポジションが近いDFの選手には、プレーが切れた時など少しでも話せるタイミングがあれば、「こうして」などと要求を伝えています。そういった中で、下の選手から要求されることも増えてきたので、とてもいい関係が築けていますね。

──よりチームを引っ張っていくために、ご自身に求めたいことは何でしょうか?

山下 まずは、勝利に貢献すること。そして、チームの雰囲気をもっと良くするため、後ろから声を掛けていきたいです。

「チームの中心」と言われるような選手に

──セレッソ大阪ヤンマーレディースの初陣となったWEリーグカップは3勝1分1敗のグループ2位で終えました。この大会で得られた収穫と課題とは?

山下 チームとしての収穫は、自分たちの特徴的な前からのアグレッシブな守備がとても効いていたこと。その一方で課題に感じたのは、一つひとつのパスの質だったり、シュートを決め切ること。守備面でも相手のシュートを防ぎ切る部分が足りなかったと感じています。

──その少しの質の差が大きな結果につながっていくと思いますが、突き詰めていきたいことを教えてください。

山下 個人としてもっと突き詰めたいのはパスの質です。受け手の右足に出すのか、左足に出すのか。練習中からこだわって取り組んでいます。また、シュートストップにおいても、どちらの足で踏み切るのかなど、細かい部分を修正しながら練習しています。

──プロのリーグに参入することで意識したいことは何でしょうか?

山下 やっぱり結果がすべてだと思います。勝つことによってファンの皆さんに喜んでもらいたいです。かつ、面白いサッカーをしないと、お客さんは来てくれないと思うので、勝つことプラス内容にこだわってやっていきたいと思います。

──では、セレッソ大阪ヤンマーレディースの「面白いサッカー」とは、どんなサッカーをイメージされていますか?

山下 前から積極的にプレッシングをかけて、全員が連動してボールを奪う。そしてそこからゴールを奪う。そういうサッカーがチームの魅力だと思っています。加えて、私が面白いと思うのは、ディフェンスラインの選手でもどんどんゴールに絡んでいくこと。そういうスタイルは他チームでもあまり見られないですし、うちのチームは攻撃が好きな選手が多いので、どんどん得点に絡んでいく、アグレッシブな姿勢は魅力だと思いますね。

──山下選手にとって、セレッソ大阪ヤンマーレディースというチームはどんな存在ですか?

山下 私を変えてくれたチームです。中学1年生からずっとここでやってきて、いろいろな選手と一緒にプレーしてきました。その中でチームを離れていった選手も多くいましたが、私がこうして今も続けられているのは、周囲の人たちのおかげです。選手やスタッフ、周りの人柄に支えられてきたというか。自分自身が成長できたのは、そういう環境でやってこられたからだと思っています。

パスやビルドアップなど攻撃への貢献も強く意識しているという[写真]=セレッソ大阪

──現在22歳。サッカー選手としてのキャリアはまだまだ続いていきます。今後、どういうGKになっていきたいと思っていますか?

山下 自分が描いている理想のGK像は、守備範囲が広くて、 ビルドアップにもどんどん参加して「チームの中心」と言われるような選手。そうなれるように頑張っていきたいです。

──GKは一つのプレーが勝敗を左右する重要なポジションです。責任の重さが楽しさややりがいにつながっている部分はありますか?

山下 そうですね。すごいシュートを止められたら、もちろんうれしいですし、プレーが得点(失点)に直結するのはGKの魅力でもあると思います。そうした中、無失点で終えられるかどうかは自分の中で大事にしています。チームが勝ったとしても、1失点してしまうと、リーグ戦の得失点差にも響いてきます。なるべくゼロで抑えられるようにチームとしても、個人としても意識していきたいです。

──11月12日に開幕するWEリーグに向けて、意気込みをお願いします。

山下 一つでも多く勝点を積み上げて、失点数もより抑えて、上位に食い込んでいきたいと思っています。ファン・サポーターの皆さんが試合を見ていて「楽しい」、「わくわくする」、「もう1回見たい!」と思っていただけるように、そういった試合をすることが私たちの使命です。ぜひ、試合会場に足を運んでもらえればと思います。

By サッカーキング編集部

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