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WEリーグ参入初戦で白星。C大阪主将・脇阪が流した涙のわけ

2023.11.13

WEリーグ初勝利に喜びを爆発させるC大阪。左端が主将の脇阪[写真]=WEリーグ

 12日、WEリーグ開幕節が開催され、今シーズンからWEリーグに新規参入を果たしたセレッソ大阪ヤンマーレディースは、ホームのヨドコウ桜スタジアムにジェフ千葉レディースを迎え、プロチームとして記念すべきWEリーグ初戦を戦った。

 2500人を超える観客が集まった注目の一戦は、ファン・サポーターの後押しを受けたC大阪が序盤からエンジン全開でプレー。7分には田中智子が相手GKへ猛プレスをかけ、ボールを奪って決定的なシュートを放ったが、惜しくも枠を捉えられなかった。

 しかし、その後は「緊張があったのとピッチが思ったよりもスリッピーで慣れるまでに時間がかかってしまった」と試合後に筒井梨香が振り返ったとおり、単純なパスミスやコントロールミスも散見され、リズムに乗り切れない。

 対する千葉Lも前からのアグレッシブな守備や、球際の激しさから主導権をつかみにかかり、鴨川実歩や大澤春花らが果敢にシュートを放つも、決定機を作るまでには至らない。

 スコアレスのまま試合を折り返すと、58分にはC大阪が決定機を得る。ボランチの脇阪麗奈のパスに矢形海優が抜け出し、左からクロス。このボールに田中が合わせたが、惜しくも枠を外れた。それでも、直後の60分にスタジアムが沸く。百濃実結香が相手の背後に忍び寄り、ボールを奪取。そこからドリブルで持ち上がり、ゴール前でフリーになっていた矢形へラストパスを送ると、背番号11は冷静なトラップからシュートを流し込んだ。

 反撃に出る千葉Lは、後半途中から出場した千葉玲海菜や大澤を中心に攻勢をかけていく。75分には大澤のクロスに小川由姫が飛び込むも、あと一歩届かず。後半アディショナルタイムにも怒涛の攻撃を見せたが、C大阪の集中した守備をこじ開けられず、1-0のままタイムアップ。C大阪がホーム開幕戦を白星で飾り、好スタートを切ることに成功した。

 試合終了を告げるファイナルホイッスルを聞いた途端、C大阪のキャプテン脇阪は両手で顔を覆い、涙を流した。試合後、「初めてうれし泣きしました。見えないプレッシャーが結構かかっていて、(涙が)出ました」と明かした。

 脇阪はC大阪で育ったものの、2020シーズン限りで移籍を決断。ノジマステラ神奈川相模原、INAC神戸レオネッサで経験を積み、今夏、WEリーグ参入を果たした古巣のC大阪に帰還しキャプテンに就任した。プレーでチームを引っ張ることはもちろん、若いチームにプロ意識を植えつけるなど精神的支柱の役割も担っている。チーム内では誰よりも大きい重圧を背負い、大事な開幕戦で勝利したことで、少しだけ肩の荷を降ろすことができたのだろう。

 なお、この試合は「ヤンマー #Football is our engineサポーティングマッチ」として開催。先着4000名に「ヤンマーオリジナルベースボールシャツ」や「セレッソ大阪ヤンマーレディース ガイドブック」がプレゼントされるなど来場特典が多く、スタジアムの盛り上げに一役を買っていた。また、11月6日から大阪の主要駅構内や屋外で広告をジャックし、WEリーグ開幕を大々的にプロモーションしていた。


 そういった周囲の期待に応えて、開幕戦白星を飾ったセレッソ大阪ヤンマーレディース。「大阪からWEリーグを盛り上げていきたい」(脇阪)という決意のもと、“桜旋風”を巻き起こす戦いが、ついに幕を開けた。

取材・文=山本剛央

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