皇后杯を掲げる塩越柚歩 [写真]=URAWA REDS
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会の決勝が24日にエディオンピースウイング広島で行われ、三菱重工浦和レッズレディースはアルビレックス新潟レディースと対戦し、1-1のまま迎えたPK戦を5-4で制して3大会ぶり2度目の優勝を果たした。
PK戦で浦和の2人目に出てきたのはMF塩越柚歩だった。「監督が(PK戦の)メンバーを決めてくれて、去年のことがあっても頼りにしてくれていることがすごくうれしかった。だからこそ、自信を持って臨めたし、周りの選手たちもみんなが『大丈夫、大丈夫』って前向きな言葉をかけてくれた。ここで吹っ切れるために、自分自身が蹴って、決めて勝ちたいという思いが強かった」
浦和は昨年の大会も決勝に進出したが、INAC神戸レオネッサとPK戦の末に敗れて優勝を逃していた。塩越はPK戦でキッカーの3人目を務めたが、シュートは惜しくも相手GKにセーブされ、悔しさを味わっていた。
「タイトルを逃した重みがあったし、タイトルを取れなかった責任感はすごく感じていた」と昨年を振り返った塩越は今大会での雪辱に燃えていた。「そこからの1年間でも自分が成長できていると感じていたので、どれだけ成長できたかをぶつけられるいい機会だと思って臨みました」。
浦和の背番号19は今回の決勝も先発出場し、開始11分には先制点をアシスト。敵陣中央でボールを受けると、「パッと見た瞬間出せるなと思った」と感覚で体が動き、右足のアウトサイドキックで鮮やかなパスを前線へ送った。「左足のインサイドキックよりも相手が読みづらいと思って、自分の得意な形でもあったし、(ボールを)押し出せる感覚があったので瞬発的に右足のアウトサイドで蹴りました」
このパスに反応したFW高橋はなは、「彼女(塩越)がどういうプレーをするか予測できるし、もう信じて走ったらボールが勝手に出てくるので」と同じイメージを持ってペナルティエリア右へ抜け出し、右足シュートを叩き込んで先制点を奪った。
アシストした塩越も、「イメージの共有は常にやっていて、普段から仲がいいし、『こういうのができたらいいよね』といつも言い合っている」と高橋との信頼関係を明かし、「はなの動き方と相手の抑え方がすごく上手だったので、うまく抜け切ってくれた。はなの動きが見えたというよりは、パスを出せると思って思い切って出したら、しっかり決めてくれた」と仲間の得点を称えた。
浦和は前半の内に追いつかれて1-1で90分を終了。延長戦でもスコアは動かず、2大会連続でPK戦での決着となった。先攻の新潟Lが2人決めたあと、迎えた塩越の出番。楠瀬直木監督やチームメイトの信頼に背中を押され、浦和サポーター側のゴールへ向かった。「GKコーチからPK戦のデータをもらっていたし、とにかく気持ちで蹴った」とゴール右上に思い切りよく突き刺し、「なんとしても決めたかったPKだったので本当によかった」と成功を喜んだ。
昨年の雪辱を果たしてタイトルを獲得し、「去年の悔しさがあったからこそ、みんな今年にかける思いはすごく大きかった。自分自も(PKを)外して負けた悔しさがあったので、まずリベンジできて本当良かったし、チームとしてタイトルを取れたことが本当にうれしいです」とコメント。前回の悔しさを吹き飛ばし、塩越が笑顔で優勝カップを掲げた。
By 湊昂大