『長谷川ガンバ』としてJ1リーグの舞台に返り咲いた2014年以降。『三冠』を獲得した同年を皮切りに、毎年、この終盤戦でリーグ、カップ戦ともにタイトル争いを続けてきたガンバ大阪だが、今年は違う。残り6試合となったJ1リーグではすでに優勝の可能性が消滅。G大阪としては過去5度の決勝進出と4度の優勝を誇る天皇杯はラウンド16で柏レイソルに敗れ、姿を消した。
すなわちG大阪が残りのシーズンで、『タイトル』獲得を目指して勝負を挑めるのは、JリーグYBCルヴァンカップのみ。常勝を義務づけられるクラブとして、昨シーズンを『無冠』に終わった悔しさを晴らすべく臨んだ今シーズンだったと考えても、また、9月7日には、5年目の指揮となっている長谷川健太監督の今季限りでの退任が発表され『集大成』と言うべきシーズンになっていることからも、唯一の『タイトル』の可能性を残したルヴァンカップに、士気が上がらないはずがない。キャプテン・遠藤保仁は言う。
「リーグ戦で思うような結果が出せずに悔しい戦いが続いていますが、4年連続の決勝進出を実現するためにもここで負けるわけにはいかない。ファイナルに進むために全員でしっかり気持ちを揃えてセレッソ大阪戦に臨みたい(遠藤保仁)」
対戦相手のC大阪とは今季、J1リーグ戦で2度対戦。C大阪がJ1リーグに復帰したことで3年ぶりに大阪ダービーが復活したが、いずれの試合もスタジアムは満員に。アウェイ戦では42,438人の観衆を集める中、一度は逆転を許す展開も、後半アディショナルタイムに執念で追いつき引き分け。36,177人を集めた『市立吹田サッカースタジアム』での初対決では先制を許す展開の中、この日がG大阪でのデビュー戦となったファン・ウィジョの同点弾を皮切りに、三浦弦太、アデミウソンが加点して勝利を引き寄せた。
この結果を受け、C大阪との『大阪ダービー』は、カップ戦を含めて、6戦負けなし。通算成績でも圧倒的な勝率を誇るガンバが『関西の雄』としてのプライドを示している。その流れを、ルヴァンカップでは12年ぶりの『大阪ダービー』でも示せるか。代表選手5名を欠くチーム状況を考えれば決して簡単な戦いにはならないはずだが、それを言い訳にする選手は一人もいない。むしろ普段は出番のない選手たちが、そのプライドをパフォーマンスで示してくれることだろう。
「フレッシュな力がチームに加わることはチームにとってプラス材料。いない選手のことを考えるのではなく、今いる選手でしっかりと戦うことを考えたい。初戦はアウェイ戦から始まると考えても、アウェイゴールを取れればかなり大きい。最近は先制点が取れていないので、しっかり先制点をとって流れを引き寄せたい(長沢駿)」
「2試合、トータルして勝つことを考えたい。やるべきことはいつもと変わらない。自分の仕事をしっかりして、みんなでコミュニケーションを取りながら、しっかり戦いたい。大阪ダービーということでいつも以上にサポーターの皆さんも盛り上げてくれることを考えても絶対に勝って次に進みたい(藤ケ谷陽介)」
この一戦を前に長谷川健太監督は「毎年、タイトルを目指して戦ってきたように、今回もそこを目指して、いるメンバーで団結して勝利を掴みたい」とした上で、改めてルヴァンカップへの思いを口にした。
「ルヴァンカップはガンバの監督に就任して初めて獲れたタイトルで、それがあったから『三冠』にも繋がった。僕が選手時代、最初に獲ったタイトルもナビスコカップだった。そういう意味では思い入れのある大会。獲って終わりたいという思いはある」
そうした指揮官の『想い』に選手たちもプレーで、勝利で応える準備はできている。
文=高村美砂