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[苦しさを乗り越えて] 山田直輝 自信を取り戻し「勝負の年」へ①

2017.05.18

[写真]=兼子愼一郎

長期離脱から復帰し、昨シーズン終盤は完全復活を印象付けた。リーグデビューから10年目にして念願の開幕戦出場を果たした山田直輝は、二つのきっかけから、かつての自信に満ちたプレーを取り戻した。準備は万端。高いモチベーションで「勝負の年」に挑む。

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自分の中で今年は勝負の年。その気持ちが目標数字を生んだ

開幕戦でスタメン出場を果たしました(水戸ホーリーホック戦。1-0で勝利)。振り返っていかがでしたか?

プロになって初めて開幕スタメンで試合に出られて、すごくうれしい気持ちとようやく出られたというホッとした気持ちの両方がありました。初めてだったので試合前は楽しみな気持ちが大きかったんですけど、試合では開幕戦の雰囲気にちょっとのまれた感じがありましたね。

雰囲気にのまれたというのは?

ボールを大事にし過ぎたというか、最初だから失敗したくないという気持ちが出てしまったかなと。意表を突くプレーやダイナミックなプレーができなかったなと、後になって感じました。

開幕戦に向けて、個人的に気をつけていたことや意気込んでいたことはありますか?

開幕の頃は毎年のようにケガをして試合に出られなかったので、とにかくケガをしないように、練習前の準備や練習後のケアは特に気をつけてやっていました。

その成果もあって開幕戦のピッチに立ち、チームも勝利を飾りました。

チームが勝てたことは良かったですけど、自分のプレーは全然出せなかったですし、まだまだかなと。もっとできたという気持ちが強いです。

水戸戦ではジネイ選手と表原玄太選手と3トップを組みました。どういうプレーを意識していたのでしょうか?

前線には特徴がある選手が多いので、僕自身は3トップを組む二人をつなぐリンクマンを務めようと意識しています。水戸戦は、ジネイと玄太がどちらも裏に走るのが得意なので、その特徴を生かすプレーを心掛けていました。

流動的にポジションを変えていました。

そうですね。ジネイはセンターにいることが多かったですけど、ポジショニングに関しては特に決め事はないので、(相手に)マークに付かれないように流動的に動きました。

1試合で評価するのは難しいと思いますが、あえて攻撃陣に点数を付けるなら?

65点か70点か、それぐらいですね。フィニッシュまでの形は出せたかもしれないですけど、流れの中から点が取れてないですし、決定機ももっとつくれたと思います。僕自身がもっと多くのチャンスを生み出せるようになれば、あと20、30点は上積みできるかなと。

守備での貢献度も高く、状況によって最終ラインまで下がってカバーしていますが、そうした役割も求められていますか?

3トップで出てますけど、自分の役割は後ろと前をつなぐことで、状況によって守備にも回ります。求められているというより、自分で判断して動いています。

3トップにおけるリンクマンであり、攻守をつなぐリンクマンでもあるんですね。

そうですね。もちろんチャンスメークやゴールも求められていると思います。

今年、目標とする数字はありますか?

今まではそういう数字を考えてこなかったんですけど、今年は直感的に、10ゴール10アシストはしたいなと。今シーズンはこの数字を目標にしています。

どうして今シーズンに限って目標数字を立てるようにしたのでしょうか?

自分の中で今年は勝負の年なんです。その気持ちが後押しして、目標数字を生み出したんだと思います。

「勝負の年」と位置付けた理由は?

昨シーズンの終盤に、ようやく自分の考えているプレーの片りんを出せるようになりました。久しぶりに「やれる」と思えて、その気持ちからですね。

終盤戦というと、2ゴールを決めた昨年11月3日の名古屋グランパス戦が思い出されます(3-1で勝利)。

その試合もそうですけど、僕自身は最後の3カ月ぐらい、いい感覚でプレーできたという手応えがありました。継続的にいいプレーができて、自信を取り戻すことができました。

調子を取り戻すことができたきっかけなどはあるのでしょうか?

合っているかは分からないですけど、心当たりが二つあって。一つは昨シーズンの中盤ぐらいに、僕がケガをしていてスタンドから試合を見ていた時に感じたことです。その時、湘南ベルマーレは連敗が続いていて、みんな楽しそうにサッカーをしてなかったんですよね。楽しんでできなかったら、勝てるものも勝てないと感じました。だから自分が復帰したらみんなにサッカーを楽しんでやろうと伝えようと。言葉で言うというより、自分が体現して伝えられればと思ってプレーしていました。実際、終盤戦は楽しんでできてましたし、それが一つのきっかけになったのかなと。

もう一つは?

同じ時期の8月に娘が生まれたことです。僕自身は何も変わってないと思うんですけど(笑)、周りの人からは「ちょっと変わった」とか、「責任感が生まれた」と言われて。自覚はないですけど、周りがそう感じるのならそうなのかなと。

子どもが生まれると、少なくとも生活は変わってくると思います。

まあ、細かく言えば変わっているところはありますけど(笑)。ただ、僕は娘をかわいがっているだけで、子育てのほとんどのことは妻に助けてもらってます。

手伝ったりしないんですか?

してないですね(笑)。妻にはこれまでどおりサッカーに集中できる環境をつくってもらっています。普段、こういうことは言わないんですけど、妻には本当に感謝しています。

お子さんはやはりかわいいですか?

かわいいですね(笑)。自分の子どもはかわいい、とは聞いていましたけど、想像していたよりもかわいいです。どちらかと言うと、僕に似てるんですけど(笑)。

楽しみと苦しさがあった2年間。人間としてとても成長できた
ベルマーレの勝利だけを100パーセント考えている

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