ドイツに渡って丸3年、大迫勇也がストライカーとして積み上げてきたものが、ブンデスリーガの舞台でも目に見える結果として表れ始めている。どんなに苦境に立たされても揺るがなかった「ストライカーとしての自信」は、チームメートや指揮官からの信頼とともに「確信」へと変わろうとしている。
インタビュー=国井洋之 Interview by Hiroyuki KUNII
写真=鷹羽康博、ゲッティ イメージズ Photo by Yasuhiro TAKABA, Getty Images
[ワールドサッカーキング2017年3月号増刊「2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド」]
「得意なプレーを出せるようになってきた」
――まずはシーズン前半戦について伺います。特に序盤戦は個人としてもチームとしても好調だったと思いますが、どんな印象ですか?
大迫勇也 シーズンの入り方は本当に良かったですね。その後はちょっと失速してしまいましたけど、ケガ人が多かったので仕方がないかなと思います。
――大迫選手自身は開幕戦こそ途中出場でしたが、その後はずっと先発出場を続けています。ゴールやアシストという結果も出していましたが、その要因は何だったと思いますか?
大迫勇也 ゴール前、ゴールに近い位置でプレーできていたことが大きかったです。そこでしっかりボールに触れれば、ゴールやアシストのチャンスが増えていく。ゴールに近いところでプレーできた。そこが要因だったと思います。
――「ゴールに近いところでプレーしたい」というのは常々言ってきたことですが、前線でプレーできれば結果を残せるという自信があったのですか?
大迫勇也 そうですね。他のポジションよりは絶対に自分が生きると思いますし、自信はありました。
――第4節のシャルケ戦、第5節のライプツィヒ戦で連続ゴールを決めました。シャルケ戦は豪快なミドルシュートでしたね。
大迫勇也 まあ、すごくいいシュートだったと思います。思い切りよく素直に振り抜けたかな。
――ああいうミドルシュートは普段から狙っているのですか?
大迫勇也 狙ってますね。ゴールが見えたら打つ、最初の選択肢はシュートという意識はあります。
――続くライプツィヒ戦では相手DFを背負った状態から、見事な反転でシュートまで持ち込みました。持ち味が出たゴールだったと思いますが、どうですか?
大迫勇也 昔から得意なプレーなんですけど、それをブンデスリーガの舞台でも少しずつ出せるようになったのはいいことだと思います。今後はもっともっと回数を増やしていかないといけないですね。
――やはりドイツに渡った当初は得意なプレーが思うようにいかないということもあったのですか?
大迫勇也 ありましたね。というか、DFを背負っている状況では味方がボールを入れてくれないということもあった。でも今は背負った状態でもボールが出てくる。
――チームメートが持ち味を理解してくれているということですね。
大迫勇也 そう思います。それが大きいですね。
――2ゴールを挙げた9月にはクラブの月間MVPにも選ばれました。個人賞に輝くというのは、やはりうれしいものですか?
大迫勇也 ドイツのファンの方々に評価してもらえたという意味ではうれしいです。
――前線でコンビを組むアントニー・モデストがゴールを量産しています。彼の印象はどうですか?
大迫勇也 とにかく身体能力がすごいので、五分五分のボールでも普通に勝ってしまう。その辺はすごいなと思います。
――大迫選手との補完性もいいように見えます。2人の中で役割分担があったりするのですか?
大迫勇也 僕がちょっと下がり目でプレーすることぐらいですかね。ただチームの調子がいい時は2人だけで裏を取れたりもするし、2人が高い位置でプレーできている時は迫力のある攻撃ができていたと思います。それをまた後半戦もやっていきたいですね。
――前線でプレーしていた序盤戦は攻撃がうまく回っていた印象がありましたが、途中から中盤で起用される機会が増えました。
大迫勇也 本職の中盤の選手がみんなケガをしてしまいましたからね。6人も離脱しましたから。もちろん、前線でプレーしたい気持ちはありますけど、さすがに仕方がないかなと。でも後半戦にはみんな戻ってくるはずなので、また楽しみですね。
――中盤での起用はあくまでも応急処置ということですね。
大迫勇也 そう思います。監督からもそう言われているので。
――大迫選手が中盤にいることでボールは回りますが、前線でパスを引き出せる選手がいなくなります。そこはジレンマがあるのでは?
大迫勇也 どうなんでしょう。でもケガ人が戻ってくれば良くなるんじゃないですかね。
――前半戦を通してのコンディションはどうでしたか?
大迫勇也 前半戦のほぼすべての試合に出られたことはすごく良かったです。出続けたことで後半戦もいいコンディションで臨めると思います。あと17……18試合か。とにかく頑張りたいですね。
ワールドサッカーキング2017年3月号増刊「2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド」では、大迫勇也選手が、ケルンとの契約を2020年まで延長した経緯や、ロシア・ワールドカップ出場への決意を語ります!