番組レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がUEFAチャンピオンズリーグのラウンド16ファーストレグ、チェルシー対バルセロナの一戦を分析。1-1で終えた試合のゴールシーンを解説した。
まずは62分、チェルシーのウィリアンのゴールシーンについて。ショートコーナーから素早く中央のウィリアンに展開し、ブラジル人アタッカーが見事な個人技でコースを突いたミドルシュートを決めた。一見するとバルサが隙を突かれたように見えるが、岩政は別の見解を示した。
「バルサが虚を突かれたように見えますが、バルセロナはショートコーナーに対しては虚を突かれてはいないと思います。バルセロナはここ(ゴールエリア線上ニアサイド)に2枚フリーの選手を置いています。そうすると(ペナルティエリア外の)ウィリアンとセサル・アスピリクエタの2枚に対してイニエスタが1枚で見なければならない状況になります。ショートコーナーをやられたら、ウィリアンがフリーになるというのは分かっていたはずです」
素早いショートコーナーからウィリアンにボールが渡るのは織り込み済み。その上でどのような対策を立てていたのか。そして、どうして失点してしまったのだろうか。
「(ウィリアンに)出された場合は、多くの選手たちがボールに対して出ていく。そうすればシュートコースが切れるので、ゴールは入らないだろう、というのがバルセロナのやり方でした。しかし、そこで1人だけ戦術どおりに動けなかった選手がいて、それによってゴールが生まれました。多くの選手がウィリアンに寄っていったんですが、サミュエル・ユムティティだけが残ってしまった。寄って行けばシュートコースは切れただろうけど、自分のマーカーが気になったこともあってシュートコースが空いてしまった。そこを見事に打ち抜いたのがウィリアンの素晴らしいシュートでした」
続いては75分のバルセロナ、リオネル・メッシのゴールシーンだが、岩政はゴールが生まれる少し前のシーンから解説した。
「メッシが(自陣から前線のルイス・スアレスに)ボールを送った瞬間、バルセロナの選手は(スアレス以外の)全員が自陣にいました。裏へのボールが出て、相手に取られてしまうんですが、その時に先ほど自陣にいた選手がみんな(画面上には6人)相手陣内にいる形になります。1枚でカウンターを仕掛けてボールを奪われたけど、すぐに次の守備がスタートしていて、ここまでボールを追い込むことができています」
その後、相手の横パスをインターセプトしたアンドレス・イニエスタからメッシにボールが繋がり、同点ゴールが生まれる。
「チェルシーの選手たちは、ボールを回収した時点でこれだけの人数が来ているとは思っていなかったはず。前方の選手は相手のマークを受けていてパスを出せない、見えたのが中央の選手で、そこに出そうとしてパスミスになった。パスを出した選手の大きなミスではあるんですけど、その中にバルセロナの素晴らしいプレスがあった。素晴らしい切り替えがあった。これだけの人数が関わっていなければこのゴールは生まれていないと思います」
岩政は両方のゴールシーンについて、このようにまとめている。
「チェルシーのゴールシーンは素晴らしいものでしたが、バルセロナのミスが絡んでいました。逆にバルセロナのゴールシーンは相手の大きなミスに見えますが、バルセロナの選手たちのいいプレーが絡んでいた。それがサッカーだと思い知らされたゴールでしたね」
3月2日(金)21時から放送の『スカサカ!ライブ』では、加地亮氏のガンバ大阪トレーニングリポートやJ1第2節川崎フロンターレ対湘南ベルマーレ戦試合直後リポート、UEFAチャンピオンズリーグラウンド16セカンドレグプレビューなどを放送する予定となっている。
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト