[写真]=Getty Images
9月19日、2018-19シーズンのUEFAチャンピオンズリーグが開幕した。まだグループステージ第2節を消化したのみだが、リオネル・メッシ、ネイマールがいきなりハットトリックを記録。さらに、6年連続得点王のクリスティアーノ・ロナウドが開幕戦で一発退場になるなど、早くも話題沸騰となっている。
そんなCLの魅力を届ける番組が、開催週の金曜夜にDAZN(ダゾーン)で放送される『In Focus』だ。同番組には石川直宏氏(FC東京クラブコミュニケーター)と、永井雄一郎氏(FIFTY CLUB)が出演。その週に開催されたCLとELから注目ゲームをピックアップし、プロならではの視点で欧州最高のプレーを紐解いていく。そこで石川、永井両氏にインタビューを敢行。5つの同じ質問をぶつけてCLの見どころを語ってもらった。
≪CLにまつわる5つの質問≫
1.プロサッカー選手は試合を観戦するとき何に注目するの?
2.クラブチームで国外の試合に臨む難しさとは?
3.永井さんの嫌いなタイプの選手は?
4.現役選手で「こいつヤバい!」って感じた選手は?
5.今季のCL得点王は?
※永井さん、石川さんに同じ質問をぶつけてみました。
インタビュー・文=サッカーキング編集部
写真=ゲッティイメージズ
取材協力=DAZN
昔は『すげードリブル!』とか『すげーシュート!』ばかり見ていたけど…
――永井さんは海外サッカーをよく見られる方ですか?
「そうですね。去年まではJリーグにいましたけど、よく見ています」
――解説も多く務められてきたと思いますが、プロの選手は何に注目して試合を見るのでしょうか?
「例えば、トップリーグの選手たちがどういうボールの受け方をしているか?とか、チームがどういう戦術で選手はどう動いているか?とか、勉強するのと同じ感覚ですね。もちろんボールを持った選手の技術も見るんですけど、俯瞰で全体を見ながらボールホルダーをどうサポートしているか? ボールを持った選手に対して周りがどういう動きをしているか? 細かいところばかり見ていますね」
――サポーターの人には難しそうですね?
「僕はあくまで自分がプレーすることを前提に勉強していますから(笑) 昔は『すげードリブル!』とか『すげーシュート!』とか、そんなのばかり見ていましたけど、サッカーが年々進化していく中で、選手たちがどのようにプレーしているのか? 狭い中でどう崩すのか? そのためにどんな準備をしているのか? そういうことを見ていますね」
――CLでは予想外の展開になることも多々あります。
「そうですね。日程が厳しいと第1節で良いサッカーをしていたチームが第2節になったら『あれ? 変わっちゃった…』ということは普通にありますね」
――ナポリと対戦したリヴァプールがそんな感じでした。
「パリ・サンジェルマンとの第1節は良かったんですけどね。その前のチェルシー戦から調子が良くなかった。選手たちが動けていない感じがしました。レアル・マドリードもターンオーバーしながら試合を続けていますけど、CSKAモスクワに負けたり。チーム力に差があるから点差が大きくなることも多いけど、強いチームだからといって準備したこと全てが出せるわけではないんですよね。それがCLの面白さでもあると思います。国内リーグの日程でも負荷のかかり方は全然違います」
――強豪との対戦が立て続けにスケジュールされたり。
「今回のリヴァプールなんかそうでしたよね。チェルシーとの連戦の後で、アウェイでナポリと対戦したり。ミッドウィークの対戦も絡んできたり。ターンオーバーするかしないかの判断が難しくなります。層が厚くてもレアルが負けるようなことも起こる」
どれだけ力の差があってもホームの強みは出る
――クラブチームとして海外での戦いに臨む上で普段との違いがありますか?
「環境面でプレーが変わることも結構ありますね。僕が浦和レッズでACLに出場したときインドネシアのチームとも試合をしました。埼玉スタジアムで対戦したときにミスを連発するんですよ。あんなに綺麗なグラウンドなのに。『全然上手くないな』って。でも逆に僕らがアウェイに行ったらピッチがぐちゃぐちゃで田んぼみたいだった。その状況で物凄い技術を発揮してくるんですよ(笑) しかも暑いし。僕らがパスをつなぐことに苦戦しているのに、相手は生き生きとプレーするという。『埼スタの方が綺麗なピッチなのに何で!?』って(笑) 慣れた環境でプレーする優位性はあるのかなってすごく感じました」
――力で差があっても、ホームの強みは出るんですね。
「応援があったり、サポーターの後押しもありますからね。ヨーロッパは移動距離がそこまで大きくないので、ACLより大きな差はないかもしれませんけど。でも、サポーターたちの雰囲気の作り方でモチベーションも上がるし、ホーム&アウェイって難しいですよね」
――永井さんも難しい思いをすることが多かったのでは?(笑)
「韓国とか大変でしたね。夜にホテルの外で相手サポーターにギャーギャー騒がれたり(笑) 中東に行ったときも練習しようとしたら、地元のチームが空けてくれなかったり。で、やっと空けてくれたと思ったら、グラウンドに釘が撒かれてた。これはあまりニュースにもなっていなかったと思いますけど。みんなで釘を拾ってから練習するので、時間もなかった。今思うと色々な方法でストレスを与えられていました」
上手いんだからそこまでしなくても良いのに(笑)
――永井さんが嫌いだった選手ってどんなタイプですか?
「フィジカルが強い選手はやり辛さは当然ありましたね。今の選手で『この人嫌だな…』って思うのは、セルヒオ・ラモス。余計なことたくさんしてくるじゃないですか(笑)」
――しかも球際すごい強いという(笑)
「そうそう(笑) 汚いプレーもやるし、言動も駆使するし、自分の集中力を保つことが大変そう。上手いんだからそこまでしなくても良いと思うんだけど(笑) 1対1も強いし」
レッズ時代、モドリッチのような仕事をする選手がいた
――試合を観ていて「ヤバい」と感じる選手はいますか? まずはGKから。
「CLのプレーオフを観てて、ツルヴェナ・ズヴェズダのGK(ミラン・ボージャン)は結構良いセーブが多かった。でも、PSGとの試合では止めようがないシュートがあれだけ飛んできたので、ちょっと可哀そう。(マヌエル・)ノイアーも最近は目立たないですからね。今のGKを観ててすごいのは、ポゼッションに関われる選手が増えていること。だから、それを最初にやったノイアーはすごい。チェルシーのGKって誰でしたっけ?」
――ケパ・アリサバラガっていう約108億円で獲得した選手です。
「若い選手ですよね? 良いですよね。足元も上手いし。身長がずば抜けて大きいわけじゃないけど、あのレベルで試合に出られるだけの技術があると思います。チェルシーはボールをしっかり動かさなきゃいけないチームになったので、ビルドアップができなければならない。だから、(マウリツィオ・)サッリ監督が選んでいるだけのことはあるなと思います」
――攻撃の選手はいかがですか?
「やっぱり、メッシは群を抜いているなと思います。あそこまで冷静にボールを持たれたらDFは飛び込めないし、飛び込んだらかわされるし。その間があるから味方がフリーランニングできるし、メッシもパスを出せる。相乗効果が次々に出てきますよね。バルセロナを倒すにはメッシをどう止めるかっていうことを考えなければならないんですけど、メッシは守備でも貢献しているんですよ。それも含めてメッシのすごさがさらに際立っていますね」
――中盤ですごい!と感じる選手はいますか?
「やっぱり、(ルカ・)モドリッチ。中盤でボールを持てるし、1人プレッシャーが来ても、それを抜くことができるじゃないですか。最近は中盤で仕掛けてかわす選手も少ないですから」
――中盤を省略するチーム戦術が多いですしね。
「はい。でも、モドリッチは中盤にスペースを見つけたらドリブルでそこまで運んでからラストパスにつなげる。あのプレーをされたら、DFは嫌でしょうね」
――1枚剥がして持ち上がってパスを出してくれるとFWは楽なんですか?
「かなり楽です。僕のときはそれを(ロブソン・)ポンテがやってくれたんですよ。チームとしてボールを回せず苦しい時間帯でも、ポンテは1人かわしてチャンスを作ってくれた。だからモドリッチの中盤でのボールの捌き方には注目しちゃいますね。相手が嫌がるところに自分で運んでパスを入れる、ミドルシュートも持っている。本当に良い選手だと思いますね」
レヴァンドフスキよりも可能性を感じるのは…
――今季のCLは誰が得点王になると思いますか?
「まだ2節を終えた段階ですけど、すでにハットトリックがたくさん出ているという(笑) メッシはもう5点ですよね。ネイマールもすごいんですけど、リヴァプール戦のプレーがちょっと……。リヴァプールの守備がめちゃくちゃ良くて、特に前線の3人が。リヴァプールのディフェンスって外切りなんですよ。中に追い込んでボールを奪う。そこからショートカウンターにつなげる。ネイマールはなかなか良い形でもらえなくて、結構守備にかかってた。ネイマールのドリブルから(キリアン・)ムバッペがゴールを決めましたけど、あれも実はドリブルは守備にかかってて、DFにあたってムバッペにこぼれた感じだった。だから、ネイマールは波があるけどメッシは安定感がある。そこの違いは大きいですね。今シーズンのメッシもかなり獲りそうな気がします」
――他の選手はどうですか? 例えば、ロベルト・レヴァンドフスキとか。
「バイエルンが良くないし、ロシアW杯で結構ガッカリしたんですよねぇ(笑) 『ポーランドもレヴァンドフスキも全然ダメじゃん!』って。僕はどちらかというと、(マリオ・)マンジュキッチの方が良いと思う。黒子に徹する選手だから、得点は少ないかもしれないけど、本当に良い選手だなぁって思う(笑) ワールドカップでもかなり守備するし、精力的に走っていたし」
――最後に番組の見どころを教えてください。
「CLは本当にレベルが高い大会なので、派手なゴールシーンは目立ちます。『UCL IN FOCUS』では、なぜこのゴールは生まれたのか? どうしてこういうプレーが可能なのか?ということをさらにそれらをさらに掘り下げます。サッカーに詳しくない方でも『CLって楽しいな』って思っていただけるようなことを発信していけたらと思います。色々な方にCLを見ていただきたいので、興味を持ってもらえるようにお伝えしたいと思います」
石川直宏さんに聞いてみた! 「CLの面白さは? 嫌な選手、ヤバい選手は誰ですか?」
UCL IN FOCUS
チャンピオンズリーグ開催週の金曜日、DAZNでは「UCL IN FOCUS」を放送。MCに永井雄一郎氏、解説に石川直宏氏を迎え、その週に行われた注目カードをピックアップ。戦術やプレーの解説などを織り交ぜながら振り返り、日本人選手の活躍なども詳しく紹介していく!
DAZN
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト