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信じられない結末の数々…過去にCLで起こった5つの大逆転劇

2019.05.08

チャンピオンズリーグでは、時に筋書きのないドラマを見ることができる [写真]=Getty Images

 欧州最高峰の舞台で再び奇跡が起きた。7日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)準決勝セカンドレグ。リヴァプールは本拠地『アンフィールド』でバルセロナを4-0で下した。敵地でのファーストレグを0-3で落としていたが、2試合合計スコアを4-3として大逆転劇を完結させた。

『デジタル大辞泉』によると、「奇跡」とは「常識で考えては起こりえない、不思議な出来事・現象」のこと。しかし、CLでは過去に何度も奇跡が起きた。今季も、決勝トーナメント1回戦でマンチェスター・Uパリ・サンジェルマンを相手に逆転勝利。ホームでのファーストレグを0-2で落としながら逆転で突破を果たしたのは、CL史上初めての出来事だった。

 歴史を紐解けば、信じられないようなゲームは他にも存在する。今回は今でも語り継がれる大逆転劇を5つ紹介する。

1998-99シーズン 決勝 マンチェスター・Uバイエルン

2-1でマンチェスター・Uが優勝

 元祖「カンプ・ノウの奇跡」として知られるゲームだ。バルセロナの本拠地カンプ・ノウで行われたファイナルに駒を進めたのは、マンチェスター・Uバイエルンだった。

 試合は開始6分に動く。マリオ・バスラーのFK弾が決まってバイエルンが先制。その後スコアは変わらず、わずか3分の後半アディショナルタイムに突入した。この時、バイエルンのクラブカラーをしたリボンが優勝トロフィーに巻きつけられていたという。それだけバイエルンの勝利が確実視されていたが、この3分間にドラマが生まれる。

 まずは90分36秒。コーナーキックからテディ・シェリンガムがゴール前でこぼれ球を押し込み、マンチェスター・Uが同点に。その101秒後には、再びコーナーキックからオーレ・グンナー・スールシャールが逆転ゴールを決めて、試合をひっくり返した。劇的な形で欧州王者に輝いたマンチェスター・Uは、プレミアリーグ、FAカップとあわせてクラブ史上初の三冠を達成した。

2003-04シーズン 準々決勝 デポルティーボミラン

デポルティーボが、不利な状況をセカンドレグで覆した [写真]=Getty Images

第1戦:ミラン 4-1 デポルティーボ
第2戦:デポルティーボ 4-0 ミラン
2試合合計5-4でデポルティーボが勝ち抜け

 サッカーファンの間で「デポる」という言葉まで生み出したCL史に残る大逆転劇だ。

 ファーストレグは優勝候補筆頭に挙げられていたミランデポルティーボを圧倒。カカの2得点、アンドレイ・シャフチェンコとアンドレア・ピルロのゴールで4-1と快勝した。これまでの歴史と伝統、また選手の知名度からしてミランの突破は間違いないと思われた。

 しかし、デポルティーボは本拠地で迎えたセカンドレグで猛攻を仕掛ける。前半だけで3-0とし、アウェイゴール差で優位な立場に。後半に入っても勢いは止まらず、76分には交代出場のフランがダメ押しとなる4点目を決めて大逆転勝利を収めた。

 当時のチームは「スーペル・デポル(Super Depor)」と呼ばれ、この試合は「リアソールの奇跡」として今もなお語り継がれている。

2004-05シーズン 決勝 ミランリヴァプール

リヴァプールの大逆転勝利は「イスタンブールの奇跡」として多くの人の記憶に刻まれている [写真]=Getty Images

延長戦を戦って3-3、PK戦3-2でリヴァプールが優勝

 トルコのイスタンブールで行われた決勝戦で、ミランリヴァプールが対戦。すると、試合は一方的な展開で進んでいく。

 前半開始早々にパオロ・マルディーニの得点でミランが先制すると、エルナン・クレスポが2ゴールを追加し、前半終了時点でミランが3-0と大きなリードを奪った。しかし、54分に主将のスティーヴン・ジェラードがヘディングシュートを決めてリヴァプールが反撃開始。2分後にはウラジミール・スミチェルが強烈なミドルを叩き込み、さらに60分にはジェラードが倒されて得たPKをシャビ・アロンソが決めてタイスコアとなった。

 試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦へ。3選手が失敗したミランに対して、リヴァプールは4選手中3選手が成功させて見事な大逆転勝利を果たした。この試合は「イスタンブールの奇跡」と名付けられ、サッカー界の歴史に刻まれている。

2016-17シーズン 決勝トーナメント1回戦 バルセロナパリ・サンジェルマン

バルセロナは4点ビハインドをひっくり返し、準々決勝進出を決めた [写真]=Getty Images

第1戦:パリ・サンジェルマン 4-0 バルセロナ
第2戦:バルセロナ 6-1 パリ・サンジェルマン
2試合合計6-5でバルセロナが勝ち抜け

 18年の時を経て、再び起きた「カンプ・ノウの奇跡」。その主役を演じたのは同スタジアムの“主”であるバルセロナだった。

 敵地でのファーストレグは0-4と大敗。逆転突破には5点差以上で勝つか、4-0としてなおかつPK戦に持ち込むしかないという極めて厳しい状況だった。しかし、ルイス・エンリケ監督は前日会見で「6点を決められる」と宣言した。

 すると“予言”は的中。62分にエディンソン・カバーニに得点を許したことで、バルセロナが突破するためには6ゴールが必要となる。3-1で迎えた88分にネイマールが4点目を決めると、91分にPKで追加点、そして94分39秒に途中出場のセルジ・ロベルトが“6点目”となるゴールを叩きこんだ。

 ファーストレグ4点ビハインドからの逆転突破はCL史上初の快挙。サッカー史でも前例のないミラクルを起こした。

2017-18シーズン 準々決勝 ローマバルセロナ

『スタディオ・オリンピコ』で、ローマバルセロナを相手に鮮やかな逆転勝利を収めた [写真]=Getty Images

第1戦:バルセロナ 4-1 ローマ
第2戦:ローマ 3-0 バルセロナ
2試合合計:4-4 *アウェイゴール差でローマが準決勝進出

 2016-17シーズンに「カンプ・ノウの奇跡」を演じたバルセロナだったが、1年後には悲劇の主役となる。

 2017-18シーズンの準々決勝で対戦したのはローマ。ホームでのファーストレグは4-1と快勝したが、敵地で迎えたセカンドレグでまさかの展開が待っていた。開始6分で先制点を与えると、58分にはPKを献上して2失点目となるゴールを許す。すると82分にコーナーキックからコスタス・マノラスに決定的な3点目を奪われた。

 1ゴールを奪えば形勢が逆転するバルセロナだったが、無得点のまま試合は終了。奇跡を起こしたのはローマだった。会場となった『スタディオ・オリンピコ』はバルセロナにとって2008-09シーズンに初の3冠を達成した記念すべきスタジアムだったが、これを機に“オリンピコの悲劇”を味わった因縁の地となった。

 もっともこの時、再び悪夢に見舞われるとは思っていなかっただろう。今回のリヴァプール戦での失態を受けて、スペイン紙『マルカ』は「ローマ戦は単なる冗談だった」との見出しを掲載。そして、スペイン紙『スポルト』はこう記事をつづった。

「『すべての道はローマに通ず』。バルサもそのことわざに苦しむこととなった。あれは悪夢などではなく、現実だった。一方、『エスタディオ・メトロポリターノ』での決勝に臨む、という夢は夢のままに終わった。存在するのは、2年連続の歴史的大失態だ」

(記事/Footmedia

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