夏休みの宿題で最大の強敵、自由研究。多くの子どもは自由にさせると、ろくなことをしないが、せっかくの成長の機会をネットでの調べ物やなんとなく選んだ実験で片付けさせるのは、少しもったいない。親子で一緒に、子どもの好きなテーマで、楽しいイベントにできないだろうか。そんな思いから始まった「サッカーキング・アカデミー」の1日講座、「親子で作ろう 世界でたった一冊のサッカー雑誌」。8月6日、東京都内で今年で2回目を迎える本講座が開催された。
1年生から6年生まで、16人の「小学生編集長」が集まった。事前に考えてきたそれぞれの好きなチーム、選手、テーマをもとに、どんなページにするのか親子で話し合い、企画が決まったら、集めた写真素材などを『サッカーキング』のロゴ入り専用用紙に貼り付けて、レイアウトし記事を書く。10時から17時までみっちり1日かけて行われる。
齋藤学のユニフォームを着て参加した小学校2年の男の子は、1冊まるごと齋藤学でまとめた。ドリブルの秘密に始まり、愛媛時代の記事までにわたる渾身の内容だ。苦手な文字書きに弱音を吐いていた1年生の男の子は、お母さんに叱咤激励されながら最後まで原稿と向き合った。サンフレッチェ広島の歴代ユニフォーム(アウェイユニフォームまで!)を丁寧に切り貼りしたのは大阪から兄弟で参加した小学2年生の男の子。昨年に続き参加した6年生の男の子のテーマは「プレミアリーグの監督」。かなりマニアックな内容だ。どの作品も子どものキャラクターが誌面を通して伝わるような、読めば思わず笑顔になる企画が並んだ。もちろん、自由研究としても申し分ないデキである。
7時間の長丁場が、すべて順調に進むわけではない。特に低学年の子は途中で飽きてしまうこともあるし、制作途中で思ったように素材が集まらず、途方に暮れることだってある。そんなときにパパママは見守り、いっしょに考え、話し合う。制作のプロセスには、たくさんの会話が生まれ、作業をともにする時間がある。そして、そんな濃密な時間の果てに出来上がった「世界でたった一冊のサッカー雑誌」を手にしたときに得る子どもたちの達成感は、ネットで探したお手軽な実験ではちょっと得られないものだ。3年生の息子と一緒に参加したパパは「普段あまり見ることができない姿が見られた」と成長を喜んだ。また、「日常にこれだけの時間会話をしたり、作業を一緒にする機会はほとんどないので、とても貴重な時間だった」と語るのは、小学4年の男の子とともに参加したママだ。
セミナー終了時、16人の小さなサッカーキング編集長に笑顔が広がった。12組のサッカーファミリーに、忘れられない夏の思い出ができた。