“セスク2世”メリダのキャリアに見る16歳での移籍の「明と暗」

メリダ,エデゴー

メリダ(左)はエデゴー(右)と同じ16歳でアーセナルへ移籍したが… [写真]=Getty Images

 今冬の移籍市場はまだクローズしていないが、ノルウェー代表MFマルティン・エデゴーのレアル・マドリード入りは、間違いなく話題の中心だった。

 若干15歳でノルウェー代表に選ばれ、15歳253日で同国代表の最年少出場記録を作ったエデゴーは、16歳という若さで“世界一”のクラブに入団。将来的にクリスティアーノ・ロナウドのようなトップスターになることが期待されている。

 もっとも、若くして見込まれた才能が必ずしも花開くことは限らない。光があるところには、影もまた存在するからだ。それを象徴するような移籍が、奇しくもこのタイミングで発表されている。

 30日、スペイン3部のウエスカが自由契約で獲得したのは、元アーセナルMFフラン・メリダだった。

 メリダと言えば、2005年にエデゴーと同じ16歳で、バルセロナの下部組織を離れてアーセナルとプロ契約を結んだ選手として知られている。バルサ出身MFで、スペインの年代別代表のエースでもあった彼は当時、その酷似したキャリアから、セスク・ファブレガスの“後継者”として地元ファンの期待を集めた。

 しかし、同胞の先輩が10代での移籍で大きな成功を掴んだのとは対照的に、メリダの人生は移籍したその瞬間がまさにピークだった。

 アーセナルに在籍した5年間での公式戦出場は、わずか16試合。2010年には、契約延長オファーを蹴ってアトレティコ・マドリードに移籍した。しかし、そこでも芽が出ず、ポルトガルのブラガへのレンタル移籍を経て、2年後にはスペイン2部のエルクレスに入団。そして、2013年からは再び海を渡って、ブラジルのアトレティコ・パラナエンセに活躍の場を求めたものの、昨年夏の契約満了をもって“無所属”となっていた。つまり、今回入団が決まったウエスカは、やっとの思いで見つけた再就職先ということになる。

 一方、メリダと同世代で、同じく16歳でアーセナルに引き抜かれた選手としては、メキシコ代表FWのカルロス・ベラがいる。彼もまた、通算5度目のレンタル先となったレアル・ソシエダで安住の地を見つけたほど、波瀾万丈の人生を送ってきた。ただ、現在の活躍ぶりからすれば、彼は“成功”の部類に入るのだろう。

 オランダのトゥウェンテに所属するFW宮市亮のように、我々日本人にとっても他人事ではない未成年での海外移籍。当然、レアル・マドリードはエデゴーを慎重に育てていくはずだが、才能の原石が数年後にも同じ輝きを放てるかどうかは、現時点では誰にも分からない。

 果たして、エデゴーの決断は吉と出るのか。それは、選手を育てることに関して負のイメージが根強いレアル・マドリードにとっても、ある意味で“特別な挑戦”になると言えるかもしれない。

(記事/Footmedia)

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