摩訶不思議!? バルセロナからのオファーを断った5人の男たち [写真]=Getty Images
ブンデスリーガが再開される中、夏の移籍市場に向けて早くも活況を呈するクラブがある。それが、バルセロナだ。
スペイン紙『スポルト』は17日付の記事で、ユヴェントスとの大型トレードが原則合意に達したと報道。ユヴェントスが2500万ユーロ(約29億円)の支払いに加えて、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ代表MFミラレム・ピアニッチとイタリア代表DFマッティア・デ・シリオをバルセロナに譲渡する代わりに、ポルトガル代表DFネルソン・セメドがイタリアの名門クラブに加入するという。また、インテルに所属するアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスにもバルセロナ入りの可能性が浮上している。
真偽のほどはともかく、バルセロナほどのビッグクラブからオファーが舞い込めば、誰もが光栄に思い、喜んで受け入れるだろうと多くのファンは考えてしまう。しかし過去には、さまざまな理由でバルセロナ行きを断った選手たちがいる。今回はそんな5人の選手を紹介する。
※カッコ内は(現所属クラブ/国籍)
写真=Getty Images
コケ(アトレティコ・マドリード/スペイン)
アトレティコが18年ぶりのリーグ優勝を飾り、UEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)でも準優勝を果たした2014年夏。同僚のフィリペ・ルイス、ジエゴ・コスタ、ティボー・クルトワがチェルシーに移籍(※クルトワはレンタル期間終了による復帰)する中、コケにも退団の可能性が浮上した。シャビの後継者としてバルセロナが獲得を狙っていたのだ。しかし、コケの“アトレティコ愛”は揺るがなかった。のちのインタビューで当時の心境をこう明かしている。
「僕の中で、バルセロナに『ノー』と言うのは難しいという声も聞こえてきた。だけど、僕は自分の“家”でもあるアトレティコで長く続けたかった。クラブを出るタイミングではなかったし、クラブは僕を売却する必要がなかった。最高の時期を過ごすアトレティコから、なぜ出て行かなければならないんだい?」
クラブ生え抜きのコケにとっては、アトレティコこそが最高に居心地の良い場所だったのだろう。トップチームで10年目を迎えた今季はキャプテンとしてチームをけん引。シメオネイズムの体現者としてピッチを駆け回っている。
ケヴィン・ガメイロ(バレンシア/フランス)
セビージャに所属していた2015-16シーズンに、UEFAヨーロッパリーグ(以下EL)3連覇を達成して大会ベストイレブンにも選出。その活躍ぶりが認められ、バルセロナへの移籍話が浮上したものの、最終的にアトレティコ・マドリードの一員となった。
バルセロナ行きを諦めた理由は、本人いわく「3人の“怪物”がいるから」。“怪物”とは、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールのいわゆる“MSN”のことで、ガメイロはたとえ移籍しても多くの出場機会を望めないと考えたという。「彼らは90分出場したがるだろう。ラスト10分でもベンチに下がるのを嫌がるはずだ」というコメントを残している。
ただアトレティコでは、2017-18シーズンのEL優勝を経験したものの、アントワーヌ・グリーズマンとジエゴ・コスタから定位置を奪うことはできず、現在はバレンシアでプレーしている。
ラファエル・ゲレイロ(ドルトムント/ポルトガル)
現在はドルトムントで活躍するゲレイロも、バルセロナへの移籍を拒んだ選手の一人。2016年夏にポルトガル代表でEURO制覇に貢献すると、大会中にブレイクを遂げた左サイドバックのもとには複数のオファーが届いたという。ドルトムント、パリ・サンジェルマン、そしてバルセロナ。当時ロリアンに所属していたゲレイロにとっては、どれも魅力的な移籍先だったはずだ。
コケと同じように、「バルセロナに『ノー』というのはとても難しかった」という。しかし「決断しなければならない時、最も納得のいくオファーだったのがドルトムント」だった。
ドルトムントを選んだ理由として、ウスマン・デンベレの存在を挙げている。レンヌでプレーしていた同選手とリーグ・アンで対戦した時、同じタイミングでドルトムントに移籍することが分かったという。「一緒にプレーしたい」と話していたことから、ドイツ行きに迷いはなかった。
もっとも、2人の共演が実現したのは1シーズンだけ。2017年夏、デンベレは1億ユーロ以上の移籍金と引き換えに、バルセロナへと移籍した。
ダリヨ・スルナ(現役引退/クロアチア)
2017年1月の移籍市場では、一人のベテラン選手に大きな注目が集まった。ダリヨ・スルナ。当時34歳の元クロアチア代表DFは、右サイドバックが手薄なバルセロナの補強リストに入っていたのだ。残り少ないキャリアを考えれば、夢のような話だっただろう。しかしスルナは周りの声に耳を貸さず、数カ月後には14年を過ごしたシャフタールとの契約延長にサインした。彼もまたクラブへの忠誠を示したのだ。
「バルセロナとのことはみんなが知っていると思うが、自分の魂はここにある。困難な選択を強いられたが、誘惑に屈するわけにはいかなかった。だからすぐに決断を下したよ。会長と話した際には、『新たな契約を結びたい』、『バルセロナでCLを制覇するより、シャフタールで国内リーグを勝ち取るほうが幸せだ』と伝えた」
シャフタールには2018年まで在籍し、公式戦500試合以上に出場。その間に26のタイトルを獲得した。現役ラストイヤーとなった2018-19シーズンはカリアリでプレーしたものの、昨年夏に引退を発表すると、再びウクライナへ。古巣のコーチに就任し、第二の人生もシャフタールにすべてを注いでいる。
ダヴィド・ルイス(アーセナル/ブラジル)
バルセロナには、これまで数多くのブラジル人選手がやってきた。ロマーリオ、リヴァウド、ロナウジーニョら攻撃的なアタッカーだけでなく、エジミウソン、ジュリアーノ・ベレッチ、アドリアーノらDFも地中海に面するこのビッグクラブに確かな痕跡を残してきた。しかしブラジル人にとって憧れとも言えるバルセロナへの移籍を断った選手もいる。現在アーセナルに所属するD・ルイスだ。
2013-14シーズンの開幕からまもなく、チェルシーに所属していたD・ルイスはバルセロナから「正式なオファーがあった」と明かす。当時、バルセロナに所属していた同胞のネイマールとダニエウ・アウヴェスからも熱烈なラブコールを受けたが、“自分の判断”でイギリスに残ることを選んだ。
同シーズン終了後、D・ルイスは電撃移籍を果たすが、ここでもスペイン行きを選択することはなかった。新天地はパリ・サンジェルマン。移籍金は5000万ポンド(現在のレートで約65億円)だった。バルセロナの何が悪かったのだろうか。本人はその理由をこう明かしている。
「彼ら(バルセロナ)が何度か僕を獲得しようとしていたのは確かで、どれも良い話に思えた。でも僕のことを本当に望んでくれていたのはパリ・サンジェルマンだと最後には気づいたんだ」
(記事/Footmedia)
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