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リーグ・アンMVPやプレミア得点王も…欧州サッカー界を代表するボックス内への“侵入者”たち

2022.07.22

ランキングで上位に入った選手たち [写真]=Getty Images

 選手の能力や価値を測るデータはたくさん存在する。代表的なのはゴール数やアシスト数といった結果に直結する数字だ。だが、中には結果に表れにくいデータもある。今回はそんなデータを紹介しよう。
 
 ドリブルで仕掛けるタイプの攻撃的プレーヤーの貢献度を見極める上で、1つの指標になるのがボールを運んだ回数や距離だ。敵を抜き去らなくてもボールを運ぶだけでチームに推進力が生まれる。そのため「ボール運び」は重要なデータだが、今回注目するのは「ボックス内(ペナルティエリア内)にボールを運んだ回数」である。
 
 ドリブルで敵陣のボックス内に侵入することで、味方の決定機を作ることも、自らシュートを放つことも、はたまたPKを誘発することだってできる。敵チームからすれば、厄介極まりないプレーと言えるだろう。というわけで、2021-22シーズンの欧州5大リーグで「ボックス内にボールを運んだ回数」を見ることにしよう。こちらが欧州5大リーグのボックス内への“侵入者ランキング”だ!

[写真]=Getty Images
 

■9位タイ(55回) イアゴ・アスパス(元スペイン代表FW/セルタ)

イアゴ・アスパス
 
 9位に入ったのは昨季のラ・リーガでFWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)の27得点に次ぐゴール数を記録したイアゴ・アスパスだ。ラ・リーガで7季連続の2桁ゴールを達成した点取り屋は、得意の左足から繰り出すシュート精度に定評があるが、ボックスの外でパスを受けると、自らボールを運んでスペースを生み出してから左足を振り抜く。昨季は18ゴールをマークし、ラ・リーガ通算4度目のサラ賞(スペイン人最多得点者に与えられる賞)を受賞した!
 

■9位タイ(55回) ホセ・ルイス・モラレス(スペイン人FW/レバンテ→ビジャレアル)

ホセ・ルイス・モラレス
 
 55回でアスパスと並んだのは、同じくスペインのアタッカーだ。レバンテで公式戦311試合に出場してきた34歳のホセ・ルイス・モラレスは、昨季のラ・リーガで13ゴール・7アシストを記録。センターフォワード(CF)やウイングとして得意のドリブル突破を何度も見せ、レバンテのチーム総得点(51)の39%に直接関与した。チームが降格したことを受け、今オフにはビジャレアルへの移籍を決断。
 

■8位(58回) アルバロ・ガルシア(スペイン人FW/ラージョ・バジェカーノ)

アルバロ・ガルシア
 
 8位にもスペイン人がランクイン。昇格組のラージョを12位に導いた快速ウィンガーのアルバロ・ガルシア(29歳)である。4月のバルセロナ戦でも味方のパスに反応して敵DFラインの裏に飛び出し、ワントラップでボックス内に持ち込んでそのままフィニッシュ。敵地カンプ・ノウで値千金の決勝ゴールを挙げた。
 

■7位(61回) ブカヨ・サカ(イングランド代表MF/アーセナル)

ブカヨ・サカ
 
 7位に入ったのはアーセナルの期待の星、ブカヨ・サカ(20歳)だ。サイドバックもこなせるレフティーは、昨季アーセナルでウイングに定着すると何度も鋭いドリブル突破を見せ、21歳未満の選手としては欧州5大リーグで最多となるゴール関与数(11得点・7アシスト)を記録。2シーズン連続でクラブ年間最優秀選手に選ばれた。
 

■6位(70回) ラファエル・レオン(ポルトガル代表FW/ミラン)

ラファエル・レオン
 
 ミランの11年ぶりのリーグ優勝に貢献したアタッカーも上位にランクインした。ラファエル・レオン(23歳)は、長い足でボールをまたぎながら左サイドからボックス内に仕掛けるほか、敵の最終ラインの背後に飛び出し一気に加速して自らフィニッシュへと持ち込む形を得意としている。2021-22シーズンはキャリア初のリーグ戦2桁ゴール(11点)をマークし、セリエAで最優秀選手賞を受賞。ドリブルで抜き去った選手の数も昨シーズンのセリエAでNo.1だった!
 

■5位(71回) モハメド・サラー(エジプト代表FW/リヴァプール)

モハメド・サラー
 
 トップ5入りを果たしたのはプレミアリーグの得点王モハメド・サラーだ。昨季はボックス内で圧倒的な決定力を見せつけ23ゴールを記録。プレミアリーグ得点王に輝くとともに、13アシストでアシスト王まで射止め、自身2度目となる記者選考と選手選考の年間最優秀選手の個人賞2冠を達成した。
 
 ボックス内へのボール運びはプレミアリーグで2位となる71回。高速ドリブルで巧みにエリア内へ侵入するとリーグ最多のシュート数を記録した。一人でゴールを生み出せる稀有な存在は、今オフにリヴァプールと新たに3年契約を締結し、サポーターを安心させた。
 
 ちなみに、サラーと共にプレミアリーグ得点王に輝いたトッテナムの韓国代表FWソン・フンミンは、ボックス内へのボール運びが53回。トップ10入りこそ逃したものの、欧州5大リーグで12位だった。
 

■4位(76回) ジェラール・デウロフェウ(元スペイン代表FW/ウディネーゼ)

ジェラール・デウロフェウ
 
 カンテラ出身の28歳のウィンガーは昨季セリエAで大復活。リーグ最多となる「76回」のボックス内侵入を果たして、自身キャリア最多となるリーグ戦13ゴールを叩き出した。快速ドリブラーとして名を馳せたデウロフェウは、スペインを離れたあとにイングランドで躍動し、バルセロナに買い戻されたほどの才能。その後は下降線を辿っていたが、2020年から在籍するウディネーゼで見事に輝きを取り戻した。
 

■3位(88回) ジャック・グリーリッシュ(イングランド代表MF/マンチェスター・C)

ジャック・グリーリッシュ
 
 このランキングは彼のためにあるものと言っても過言ではない。26歳のテクニシャンは、トップ10に入った選手の中で最少となるリーグ戦3ゴールに留まりながら「88回」のボックス内侵入を達成した。サイドでボールを持つと、完全に引いた相手に対しても、敵にボールをさらしながら細かいタッチで前進。そして、オーバーラップする味方をおとりに使ってボックス内に切れ込んでしまう。
 
 2019年にアストン・ヴィラでプレミアリーグに昇格して以降、グリーリッシュはこのランキングの常連だ。2019-20シーズンはプレミアリーグで4位となる63回。翌20-21シーズンは欧州5大リーグで最多の80回。そしてシティに引き抜かれた昨季もプレミア最多(欧州で3位)の“ボックス侵入数”を誇った。引いた相手に対してもボックス内にボールを運び込める貴重な存在だ。
 

■2位(90回) キリアン・エンバペ(フランス代表FW/パリ・サンジェルマン)

キリアン・エンバペ
 
 2位には、現在来日中のフランスの至宝がランクイン。23歳のアタッカーは、昨シーズンの欧州5大リーグで最多となるゴール関与数(28ゴール・17アシスト)を誇り、リーグ・アンの最優秀選手に選ばれた。爆発的なスピードでボールを運び、ゴール前では細かいテクニックを披露。リーグ・アンでは4シーズン連続で得点王に輝くとともに「ボックス内にボールを運んだ回数」でも同リーグで3季連続1位を記録している。
 

■1位(101回) ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表FW/レアル・マドリード)

ヴィニシウス・ジュニオール
 
 エンバペを抑えて1位に輝いたのは、22歳の“ブラジルの宝石”だ。左ウイングからのドリブル突破を得意とする同選手は、欧州5大リーグで最多となる426回の前方へのボール運び(敵陣方向に5ヤード以上、もしくは敵ボックス内へのドリブル)を記録し、ボックス内侵入数でも見事に1位に輝いた。昨季は自身初のリーグ戦2桁ゴール(17ゴール)に加え、これまた初の2桁アシスト(10アシスト)をマーク。ボールを運んで得点に絡む、最も価値のある選手と呼んで良いだろう。

(記事/Footmedia

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

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