[写真]=Getty Images
再感染の状況を考慮すれば予断は許さない
2月上旬に開幕する予定だった2020年シーズンの中国スーパーリーグ(CSL)は、新型コロナウイルスの影響により延期されている。状況がいったん落ち着いたように見えた頃には春の開幕も期待されたが、再び感染者が増えたことやサッカー協会のリーダーシップの欠如などもあり、まだシーズンは始まっていない。あるいはこのまま中止になってしまうのだろうか。
協会は先ごろ、リーグに対して次のような短縮案を提案した。CSLに所属する16チームを半数の8チームずつに分け、例年の半分のレギュラーシーズンを行い、その順位によってチャンピオンシップ出場チームや降格チームを決めるというものだ。
さらに移動による感染拡大のリスクを抑えるべく、従来のホーム&アウェー方式ではなく、上海と広州での集中開催のアイデアも提案。地元紙によると、リーグは遅くとも6月中の開幕を目指していた。しかし、政府の許可が下りずに頓挫してしまっている。
国内では、今シーズンのCSLが中止されてしまうとする悲観的な見方もあれば、7月中に開幕を迎えると楽観的に捉えている向きもある。ウイルス感染のリスクをより抑えるべきであるとして、開催地を大都市から小規模の都市へ変更するプランなども出されているが、北京での再感染の状況を考慮すれば予断は許さない。
外国籍選手枠が再考される可能性が浮上
そんななか、外国籍の選手や監督を巡る動向にも注目が集まっている。CSLは2019年末に、リーグの競争力を高めるべく、各クラブの外国籍選手枠を5、その同時出場枠を4に拡大した。
新型コロナウイルスが猛威を振るいだした今年初め、外国籍の選手や監督の多くは故郷のある欧州や南米など、中国国外にいた。3月28日に政府が突如としてすべての外国人の入国拒否を決めると、多くのクラブは複数のキープレーヤーや指揮官が不在のまま、新シーズンへの準備を始めなければならなくなった。
ただし上海上港のように、その法令が発令される前に主要外国籍選手を帰還させているクラブもあり、アンフェアな陰謀ではないかといぶかしむ者もいる。ほかのクラブは特別ビザを支給してもらって外国籍選手を戻しているところもあったりと、進捗状況はまちまちだ。よって、昨年末に拡大された外国籍選手枠が再考される可能性も浮上している。
もっとも、著名な外国籍選手を迎えて急速に力をつけようとする手法には、新たな影が差している。これまでにアレシャンドレ・パトやルイス・ファビアーノ、アクセル・ヴィツェルらを乱獲し、2017シーズンには初めて昇格したCSLで3位に入った天津天海が、5月中旬に解散したのだ。
2006年に天津で誕生したクラブは昨年、親会社である製薬会社が商品の効能を偽った広告を出したことで、社長兼クラブ会長が逮捕され、運営は行政に託された。しかし、新たな親会社を募るも買い手はつかず、さらには今シーズンのリーグが延期されたことで収入がなくなり、破産とリーグからの退会の申請をしていた。
下部リーグに目を向けると、財政状況はよりひどくなる。2部と3部の合計11クラブが賃金未払いでリーグから除外され、さらに4クラブが同じ道を進みそうな状況だ。
これまでにも指摘されてきた身の丈に合わない経営を続けてきた多くのクラブが、新型コロナウイルスの影響でさらに財政を悪化させた結果と言える。近年の中国クラブの成功は、裕福なオーナーの巨額資金によるところが大きく、そこが崩れてしまうと一気に瓦解する。マッチデーの収入などは少ないため、新たな参入者は多くない。
長期的な発展を目指すには、欧州のようなファイナンシャル・フェアプレーを導入すべきだろう。新型コロナウイルス後の世界を予想しても、身の丈にあったクラブ運営が必須と言えよう。
文=Ming Zhao(趙明)
翻訳=井川洋一
By サッカーキング編集部
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