[写真]=Getty Images
CSLが5カ月遅れの開幕
新型コロナウイルスの影響により延期されていた中国スーパーリーグ(CSL)が、7月25日に開幕した。形式は通常時のホーム&アウェーの総当たり戦ではなく、16チームを2つに分け、大連と蘇州でレギュラーシーズンを集中開催する。9月末までにこれを終え、その後は政府の指導のもとにレギュレーションを決する見込みだ。
ただし、中断期間中にはリーグに所属するチームの約半数が解散を申し入れたと報じられている。理由はコロナ禍の財政難と戦力不足で、降格を恐れる各クラブのフロントがさらなる痛手を被りたくないという意図が透けて見える。昨シーズン終了後に天津天海が消滅したばかりということもあり、リーグ側はCSLのメンツを保つべく、その要求を拒否。代替案として、これまでは最下位2チームが自動的に降格していたルールを最下位のみとし、15位のチームは、リーグ1(2部リーグ)の2位チームとプレーオフを行うことになった。
レギュラーシーズンでは、各チームはリーグに指定されたホテルに滞在する。スタジアムに観客は入れず、輸送も厳重に管理され、疫病の感染拡大の阻止に努めるという。スタジアムへの入場を禁じられたファンのために、リーグは全試合を無料で放映することを決めた。
さらなる変更点として、外国籍選手枠の緩和がある。現地の報道によると、試合のメンバーに5人を登録でき、同時に4人まで起用できることになった。ただし、前回のコラムでも記したように、入国制限により、中国入りできていない外国籍選手も多い。そのためフェアプレーの観点から、もし相手が外国籍選手を1人しか登録していなければ、対戦チームは3人まで、相手がゼロであれば2人までというルールが制定されている。
本稿執筆時点では、13チームが全外国籍選手を連れ戻しているが、それ以外の天津泰達、河北華夏、青島黄海のスタッフは慌ただしく奔走していることだろう。いずれにせよ、入国後2週間は隔離されることになるし、そもそも8カ月の空白期間があったため、マッチフィットネスも懸念される。
優勝候補筆頭は個人能力で図抜ける昨季王者
また助っ人の中には、中国から離れようとしている選手もいるようだ。天津泰達の元ドイツ代表FWザンドロ・ヴァーグナーは、欧州への帰還を望んでいると報じられており、クラブに契約の早期解消を申し出た模様。北京国安の韓国代表DFキム・ミンジェはトッテナムに誘われているらしく、条件面の折り合いがつけば、同胞ソン・フンミンとチームメイトになりそうだ。
変更点や不透明な側面も多いが、上位争いはこれまでと同じクラブによって繰り広げられるだろう。優勝候補筆頭は、昨シーズン王者の広州恒大だ。パウリーニョ、タリスカ、パク・ジスに加え、帰化したブラジル出身者を3人(エウケソン、アロイジオ、フェルナンジーニョ)擁しており、個人能力では図抜けている。最多リーグ優勝記録を「9」に伸ばせなければ、ファビオ・カンナバーロ監督の責任が問われることになるはずだ。
昨シーズン2位の北京国安は、2009年以来のリーグタイトル奪還を狙い、元リヨンのブルーノ・ジェネジオ監督を招聘。帰化したブラジル人選手アランを含め、中国語を母国語としない選手が8人もおり、タレント力では広州にも引けを取らない。オスカル、フッキ、マルコ・アルナウトヴィッチと、こちらも一線級の助っ人をそろえる上海上港にも、リーグを制するだけの力はある。
そのほかの注目選手も必然的に、外国籍選手となる。広州富力のムサ・デンベレ、大連人職(監督はラファ・ベニテス)のマレク・ハムシク、山東魯能のマルアン・フェライニといった国際的なビッグネームのほか、昨シーズン、29得点を挙げてリーグ記録を更新したイスラエル代表FWエラン・ザハヴィ(広州富力)にも期待がかかる。
文=Ming Zhao(趙明)
翻訳=井川洋一
By サッカーキング編集部
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