[写真]=Getty Images
3日に1試合のペースで進むリーグ戦
ワールドカップ予選による約2カ月の中断が開け、中国スーパーリーグ(CSL)が7月15日に再開した。そこから各チームは、猛暑の中国南部と東部(グループAは広州、グループBは蘇州で開催されている)でほぼ3日に1試合のペースで試合をこなしており、本稿執筆時点で、グループAは12試合、グループBは11試合を消化している。スケジュールは進んでいるが、選手のコンディションには不安が募る。
グループAで首位に立つのは、シーズンオフに強化を果たした数少ないチームの一つ、山東泰山だ。ここまでグループ最小となる8失点の堅守をベースに、元ベルギー代表MFマルアン・フェライニが8得点と得点ランキングのトップに立つ活躍で力強くチームを牽引している。
第9節でその首位チームを2ー1で下した広州FCが、勝ち点3差の2位につける。所属する5人のブラジル出身選手が全員、中国に帰化しており、今季の選手全員が中国人であることは特筆しておくべきだろう。またここまでリーグ最多の29得点を記録するなど、地力の高さは今もリーグ随一と言える。
3位にはダークホースとの呼び声も高い深圳FC。ブラジル出身のアラン・カルデチと香港出身のタイ・ウェイチュンの主力2人には、中国サッカー協会が新たな帰化選手候補として注目しているようだ。
グループBが行われている蘇州では、新型コロナウイルスの新規感染者が増加しているため、第5節から無観客に。また第8節は、大型台風の予報により延期されている。
順位表では現在、首位から5位までが勝ち点6差にひしめく混戦模様に。首位には予想どおり上海海港が立っているものの、開幕前にフッキをフリーでアトレチコ・ミネイロに放出したこともあり、前線の迫力が低下気味。さらに8月にはマルコ・アルナウトビッチをボローニャに売却しており、攻撃面にさらなる影響を及ぼしそうだ。
同じ勝ち点の2位には昇格したばかりの長春亜泰、勝ち点1差の3位には負債のかさむ河北FCがつけ、驚きを提供している。逆に伝統的な2つの強豪、北京国安は4位、上海申花が5位と不甲斐ない戦いが続いている。
“売り先行”の静かな夏のマーケット
夏の移籍市場は7月30日に閉じられ、移籍情報サイト『Transfermarkt』によると、中国勢が関わった移籍は248件だったという。
前回までの当コラムでも紹介した新たなサラリーキャップや厳しい財政チェックの影響もあり、どのクラブも売りが先行。なかでも広州FCは、タリスカをサウジアラビアのアル・ナスルに、パウリーニョもサウジアラビアのアル・アハリに放出しており、著しい戦力の低下に直面している。北京国安はここ半年以上、パンデミックの影響などで母国ブラジルに足止めされていたレナト・アウグストをついに諦め、コリンチャンスにフリーで放出した。
最も高額の移籍金は、上海が河北のパウリーニョの獲得に支払った約5億円。国外からの新戦力の最高額は、北京がファマリカオンのアンデルソン・シウバの移籍に費やした約2億5000万円だ。国際的に知られたビッグネームといえば、CSKAモスクワへのローン期間を終えて大連人足に戻ってきたサロモン・ロンドンとなる。財政面の制限やパンデミックの影響が色濃く反映された、静かなマーケットだった。
今季のCSLは結局、予定されていた全30試合から、全22試合に短縮されることになった。現行の2つのグループリーグは第14節までとなり、その後は各グループの上位4チームが、別のグループの下位4チームと2度ずつ対戦し、最終順位を決める。その第2ステージは、12月1日から来年1月3日の間に開催される予定だ──CSL史上初めて、年をまたいでリーグ戦が行われることになる。
W杯の予選突破を目指す中国代表を考慮して協会が一方的に下した決断だが、国内のファンには不興を買っている。
文=Ming Zhao(趙明)
翻訳=井川洋一
By サッカーキング編集部
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