[写真]=YONHAP NEWS/アフロ
川崎との死闘後も国内で首位の座をキープ
往年のJリーガー、ホン・ミョンボ監督も「ベスト4で戦うべきだった」と認めた川崎フロンターレとの対決は、まさに“死闘”だった。
ラウンド16でJリーグ王者をホームに迎えたアジア王者の蔚山現代は、120分間で決着がつかなかった激闘をPK戦の末に制した。最後はFW家長昭博のキックを左手一本でセーブしたGKチョ・ヒョヌがチームに勝利をたぐり寄せた。
川崎戦以降のリーグ戦は3勝1敗。大邱FC戦の敗北で2位の全北現代モータースに勝ち点1差まで迫られたものの、首位の座を守ることには成功している。この間、ジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリが4試合3ゴール、Uー24韓国代表で東京オリンピックに出場したDFソル・ヨンウが9月の月間最優秀若手選手賞に選ばれるなど、数選手の活躍も目立った。
一方、シーズン終盤にして主力に負傷者が続出する事態も発生している。キャプテンの元韓国代表MFイ・チョンヨンが左足首、元アビスパ福岡MFウォン・ドゥジェがヒザを負傷して戦列を離れると、DFキム・テファンは10月の韓国代表招集時に右ふくらはぎを負傷。同じく代表に選ばれていたFWイ・ドンジュンは、ハムストリング負傷のためアウェーでのイラン代表戦を欠場した。
いずれも準々決勝への出場は不透明であり、仮にも全員欠場となれば大きな痛手であることは間違いない。
昨季とは打って変わり、今季は因縁のライバルをリード
とはいえ、大会2連覇を目指すアジア王者が準々決勝で敗れるわけにはいかない。それが全北現代との“現代家ダービー”ともなればなおさらだ。
今シーズンの蔚山現代は全北現代を相手に3試合で1勝2分けと勝ち越しており、その1勝もアウェーで挙げた4ー2の大勝だ。6試合で2分け4敗と一度も勝てず、目の前で史上初のリーグ4連覇と2冠(Kリーグ、FAカップ)を達成される屈辱を味わった昨季とは打って変わり、蔚山現代がライバルを一歩リードしている。
準々決勝が行われる全州ワールドカップ競技場は全北現代の本拠地であり、実質相手のホームゲームではあるが、蔚山現代としては臆することなく無敗継続に乗り出すはずだ。
なお、ACLでの対戦は2006年以来15年ぶり2度目。当時は蔚山現代がアウェーで3ー2と勝利するも、ホームで1ー4と大敗を喫し決勝進出を逃した。一方、勝ち上がった全北現代は同年のアジア王者に輝いた。
Jリーグ王者を下したかと思えば、次に待ち受けるは昨季国内王者の因縁のライバル。アジア王者としての真価が問われる正念場を、果たして蔚山現代は乗り越えることができるだろうか。
文=ピッチコミュニケーションズ