[写真]=Getty Images
名古屋戦で2アシストの主力を欠くことに
AFCチャンピオンズリーグのラウンド16でセレッソ大阪を下した浦項スティーラースは、準々決勝で“三度目の正直”を実現した。グループステージで一度も勝てなかった名古屋グランパスを自国に迎え、3ー0で勝利したのだ。
試合は名古屋に押し込まれた前半から一転、後半は浦項が主導権を握る展開に。コーナーキックからFWイム・サンヒョプが先制点を決めると、MFイ・スンモの強烈な右足シュートで追加点。最後は後半アディショナルタイムにイム・サンヒョプが自身2点目となるゴールでとどめを刺し、グループステージで1分け1敗と負け越した相手にリベンジを果たした。
準決勝で相まみえるのは、Kリーグの強豪であり前回王者の蔚山現代だ。両チームは“東海岸ダービー”と呼ばれる伝統のライバル関係にあるが、浦項は今季Kリーグで1分け2敗と勝てていない。加えて、今回はMFシン・ジンホ、MFコ・ヨンジュンという2人の主力が累積警告により出場停止。とくに、昨季に蔚山現代のキャプテンとしてACL優勝を経験したシン・ジンホの欠場は痛く、名古屋戦で2アシストの活躍を披露したチームの絶対的存在を欠いて戦うことになった。
総合力で劣る浦項にとってカギとなるのは……?
ただ、「苦労してベスト4までやってきた。選手がいないのであればいないなりに戦うべきだ」というキム・ギドン監督の言葉のとおり、ここまでくれば最後は総力戦だ。蔚山現代は全北現代モータースとの準々決勝を延長戦の末に勝ち上がっていて体力の消耗も激しいだけに、コンディションの利を生かせば浦項にも勝機はある。
浦項はタイトルが懸かった重要な試合で蔚山現代に勝利してきた歴史がある。2013年にはKリーグ最終節で迎えた首位・蔚山現代との直接対決を後半アディショナルタイムの決勝ゴールで勝利し、劇的な逆転優勝に成功。2019年には4ー1、2020年には4ー0と終盤戦で大勝を収め、蔚山現代のリーグ優勝を阻んだ。アジアの舞台で迎える今季4度目の対戦でも浦項が底力を発揮するはずだ。
「当初の目標はベスト16であったが、選手の頑張りのおかげでベスト4まで勝ち進むことができた。あと1試合勝てば決勝だ。ここまできた以上は優勝に挑戦したい」とはキム・ギドン監督の言葉。戦力面で他のチームよりも劣る浦項は、指揮官の緻密な戦略のもとで強固な組織を作り上げ、一発勝負の決勝トーナメントを着実に勝ち上がってきた。
国内ではFAカップ敗退、Kリーグでも優勝の可能性がすでに消滅している。最後に残されたACLのタイトルを懸けて、浦項はアジア2連覇を目指す蔚山現代に決死の戦いを挑む。
文=ピッチコミュニケーションズ