日本と対戦するベトナム代表の秘密兵器とは [写真]=Getty Images,AFC
4試合を終えてすでに2敗とワールドカップ出場に黄信号が灯っている森保ジャパンは、11月11日にアウェイでベトナム代表と対戦する。最終予選初出場のベトナムはここまで4連敗と結果が残せずにいるが、今節は同予選で初めて有観客(定員の30パーセント)でのホーム開催が決定。今まで以上にモチベーションを高めて大一番を迎え、格上日本からの勝ち点獲得を虎視眈々と狙っている。今回はベトナム代表で警戒すべき選手たちを紹介する。この中から近い将来、Jリーグに活躍の場を移す選手が現れるかもしれないので、注目して見てほしい。
★MFグエン・クアン・ハイ(ハノイFC、24歳)
ベトナム攻撃陣のコンダクターを務める技巧派レフティ。JリーグやKリーグをはじめ海外の複数クラブが熱視線を注ぐベトナムの大エースで、人気と実力の両面からタイ代表チャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)と双璧をなす東南アジアのスター選手だ。大舞台で力を発揮する強心臓と正確な左脚のキックを持ち、最終予選初戦となったサウジアラビア戦では見事なミドルシュートで先制ゴールを決めた。FKの名手であり、国際大会でも数々の印象的なゴールを決めてきた。とくに大雪の中で行われたAFC U-23選手権2018決勝ウズベキスタン戦で決めた直接FKは、「雪原に架かった虹」と称されファンの心に残っている。2021年末でハノイFCとの契約が満了を迎えるため、その動向にも注目が集まる。
★MFグエン・ホアン・ドゥック(ベトテルFC、23歳)
昨季ベトテルFCのVリーグ初優勝に貢献し、今季はAFCチャンピオンズリーグにも出場して大きな成長を遂げた。ベトナム人選手としては大柄で185センチの長身であり、高いドリブル技術で縦への推進力を生み出す。繊細なボールタッチと左脚から繰り出す強烈なミドルシュートを併せ持ち、ベトナムメディアからは“小さなモーツァルト”と呼ばれる。グエン・クアン・ハイと同様、このところ海外クラブからの獲得オファーがとくに多い選手だ。
★FWグエン・コン・フオン(ホアン・アイン・ザライFC、25歳)
“ベトナムのメッシ”の異名で知られるドリブラー。かつて水戸ホーリーホックでプレーした経験を持つ。最近のベトナム代表ではスーパーサブ的な起用が目立つが、日本人選手との対戦経験が豊富なため、日本戦では先発起用の可能性もある。強引につっかけるドリブルが持ち味。海外での武者修行を経て2020年にVリーグ復帰し、昨季はレンタル先のホーチミン・シティFCでシーズン途中加入ながら6得点を挙げる活躍を見せた。古巣ホアン・アイン・ザライFCに復帰した今季は12試合に出場し6得点を記録。ボールを持っただけでスタジアムを沸かせる稀有な存在だ。若手時代にJ2に挑戦して挫折を味わったことや、U-19代表の頃から日本代表とは幾度となく激戦を繰り広げてきたことなどから、日本戦は特別な思い入れを持って挑む。
★FWグエン・ティエン・リン(ベカメックス・ビンズオンFC、24歳)
今回のW杯アジア予選(2次予選・最終予選)で7ゴールを挙げているベトナムの点取り屋。この記録により、“ベトナムの英雄”レ・コン・ビン氏(元北海道コンサドーレ札幌)が持つベトナム人選手のW杯予選1大会最多得点記録に並んだ。フィジカルと技術を併せ持つ国内屈指のセンターフォワードで、年々ゴール前での落ち着きが増しており、エースストライカーとしての風格が出てきた。同予選では、アンダー世代の代表から長くチームメイトとしてプレーしてきたグエン・クアン・ハイとの息の合ったコンビがさえわたっており、第3節中国戦ではクアン・ハイのアシストから同点ゴールを決めている。
文=宇佐美淳