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【アジア最前線:タイ #18】タイリーグ初の日本人優勝監督になるのは……?

2022.03.14

[写真]=Getty Images

「石井ブリーラム」と「手倉森BGパトゥム」のタイトル争い

 21ー22シーズンのタイリーグ優勝争いが、佳境を迎えている。第25節を終えて首位に立つのは3シーズンぶりの王座奪還を狙うブリーラム・ユナイテッド、2位で追うのが昨季の王者であるBGパトゥム・ユナイテッドだ。両チームを率いるのはブリーラム・ユナイテッド石井正忠監督、対するBGパトゥム・ユナイテッド手倉森誠監督と、日本人指揮官によるタイトル争いとなっている。

 石井監督は、シーズン開幕時には昨季から指揮を執る同リーグのサムットプラカーン・シティを率いていた。だが、昨年12月に退任してブリーラム・ユナイテッドの新監督に就任。今季のブリーラム・ユナイテッドは序盤から首位を走っていたものの、11月にライバルのBGパトゥム・ユナイテッドに敗れるなどやや失速し、ブラジル人指揮官のアレシャンドレ・ガマ監督が退任。その後任として、タイでの初指揮となった昨シーズンにその手腕を高く評価されていた石井監督に白羽の矢が立った。

 一方、昨季に独走で初優勝を果たしたBGパトゥム・ユナイテッドは、今季は2度の監督交代劇があるなどやや苦しいシーズンを送ってきた。それでも地力を見せて、手倉森監督の初采配となった2月27日の時点で3位につけていたものの、残り8試合で首位のブリーラム・ユナイテッドとの勝ち点差は10という状況。連覇に向けて黄色信号が灯りつつあるなかで手倉森監督体制はスタートした。

 タイリーグではこれまでも多くの日本人監督が指揮を執ってきたが、リーグタイトルを手にした者はまだいない。リーグ終盤を迎えて日本人指揮官が率いるチーム同士が優勝を争う今シーズンは、タイリーグ史上初となる日本人の優勝監督の誕生が確実な状況だ。

ブリーラムが優勝に王手、次節BGパトゥムと直接対決

 ともにシーズン途中からの体制スタートとなった「石井ブリーラム」と「手倉森BGパトゥム」だが、それぞれ悪くないすべり出しを見せている。

ブリーラム・ユナイテッドの石井監督は初陣となった1月22日のチェンマイ・ユナイテッド戦でアウェイながら4ー1と快勝すると、上位争いを演じるバンコク・ユナイテッド、ムアントン・ユナイテッドにも勝利して3連勝と好発進。ポリス・テロに引き分け、プラチュアップFCに敗戦と勝ち点を落としたが、その後は再び5連勝と勝ち点を重ね、ミッションである王座奪還へ向けて順調に歩を進めている。

 一方、BGパトゥム・ユナイテッドの手倉森監督は2月27日のスパンブリーFC戦が初采配となり、こちらも2ー0の白星スタートで2位に浮上。アウェイで2位を争うバンコク・ユナイテッドとの重要な一戦となった2戦目は、退場者を出しながら追いついて勝ち点1を獲得した。そして、3月10日行われた3戦目ではアウェイで吉田靖監督が率いるサムットプラカーン・シティに3―0で快勝を収めて2位をキープしている。

 手倉森監督はサムットプラカーン・シティ戦後の会見で、「前節と今節、次のリーグカップを含めた3試合はACLのシミュレーションとして考えようと選手たちと話していた」とコメント。逆転でのリーグ制覇を狙いながらもローテーションでさまざまな選手の組み合わせを試し、来月から始まるAFCチャンピオンズリーグのグループリーグも見据えてのチャレンジも行っているようだ。

 リーグ戦は両チームともに5試合を残しており、首位のブリーラム・ユナイテッドが勝ち点57、2位につけるBGパトゥム・ユナイテッドは45。ブリーラム・ユナイテッドが圧倒的優位な状況で優勝に王手をかけている状況だが、3月20日の次節ではBGパトゥム・ユナイテッドとの直接対決を控えている。石井監督が優勝を決める勝利を収めるのか、手倉森監督が一矢報いるのか。今シーズンのタイリーグは、日本人監督対決でクライマックスを迎えようとしている。

文=本多辰成

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